隣に座ったO女史が急に聞いてきた。
「エイザちゃんも明日の卓球大会、でる?」
食べかけの定食(鶏肉の豆板醤焼き)を頬張りながら答える。
「声かけてもらったんで、そのつもりですが」
「エイザちゃん、卓球うまい?」
「いえ、ラケットとボールを使うスポーツは全滅です。」
O女史、ニヤリと笑って、続ける。
「得意なスポーツってあるの?」
ちなみにO女史は雨が降ろうが台風が来ようが、ラジオ体操を鉄アレイを持ってやる人である。
ついでに言えば、第1と第2の間に、腕立てを10回やる人である。
「えーと、短距離走は早いですよ。あと幅跳びとかハードルもそこそこ」
「へー、陸上系なんだ」
O女史は黙っていれば「美人」の元おねーさんである。
黙ってさえいれば。
しかし、O女史の舌には毒がある。
ついでに言葉には牙がある。
まるでネズミをいたぶる猫のような笑みを浮かべて続ける。
「でも、ハードルが上手そうには見えないんだけど」
まるで自分がO女史の前の丼の中身(今週はビビンバ丼)になったような気がする。
が、動揺は見せてはいけない。
「へー、そうですか?」
ちょっと挑発的なニュアンスで返す。
どう返してくるか。
最近太ってきたとか、年取ってきたとか、運動神経鈍そうとか。
反撃の準備を頭の中で準備する。よし、準備はできている。
しかし、一撃はもっと重かった…。
_ 「だって、人生のハードルにいつも引っかかってるじゃん」
「あの、そんな肉食獣みたいな笑顔でからかわないでくださいよ…」
O女史は両手を頭の上にあげた。まるで耳のように。
「肉食獣なんて、ひどいなぁ。私は『カワイイうさぎさん』だよ」
という、ツッコミはついに私の口からは出なかった…
_ 追記:なんとか当日中に間に合った…
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_ ぱ [人生のハードルにひっかかるのは、(1)跳躍力が足りない(2)ハードルが高すぎる、(3)隣接レーンから妨害が入る、のど..]
_ クマ三郎 [ハードルの続く人生と、何もない荒野の真っ只中を進む人生とでは、どちらが幸せなのだろう…。]
_ エイザ [一番ハードなのは、誰もいない荒野でハードルをすることでは?]
_ ぷろふっさーK [篠原凉子や穴井夕子もパードルだったそうな…]