磐越西線

最終更新日2012.02.04.


● 基本データ

 磐越西線は、福島県の郡山駅から会津若松駅を経由して新潟県新潟市の新津駅までを結ぶJR東日本の幹線路線である。猪苗代湖、磐梯山、白虎隊の歴史がある会津若松、蔵の街喜多方など、福島県内でも観光客の多い路線である。また、会津若松-新津間には森と水とロマンの鉄道という愛称が付けられている。

 日本鉄道の奥州線(現・東北本線)が、明治20(1887)年7月16日郡山まで開業したことで、郡山と新潟を会津経由で結ぶ鉄道の建設運動が起こった。しかし、翌年の磐梯山大噴火により被害が猪苗代周辺地帯を直撃、数万人の死傷者が出る大惨事になり鉄道建設どころではなくなる。大噴火から数年、猪苗代復興、会津若松周辺の商工業の発達、そして国防上の軍事路線として新潟への鉄道建設は必要という事で、明治25(1892)年に公布された鉄道敷設法に「新潟県下新津ヨリ福島県下若松ヲ経テ白河、本宮近傍ニ至ル鉄道」として規定されることになった。ちなみに本宮(もとみや)町は郡山の北に位置し、安達太良神社の門前町として郡山より賑わっていた町だったようだ。
 明治27(1894)年5月、宮内盛高ら有志が郡山-若松-新津を経て新潟に至る岩越鉄道(がんえつてつどう)を設立。路線建設を政府に申請し、明治30(1897)年5月本免許状が下付され、建設がはじまった。明治31(1898)年7月26日に郡山-中山宿間が開業、翌年7月15日には若松(現会津若松)に、明治37(1904)年1月20日には喜多方まで開業した。当初計画では、会津盆地を西に抜け野沢に至るルートであったが、喜多方町が岩越鉄道に働きかけ、現在のような(会津若松から)大きく北にむかう路線となった。ルート変更の為、喜多方町が岩越鉄道の大株主となったとか。
 明治39(1906)年3月公布された「鉄道国有化法」により、同年11月1日岩越鉄道は買収され国鉄岩越線となった。喜多方以遠は官設線として延長され、新津側からも信越線(現信越本線)の支線として順次延長された。大正3(1914)年11月1日には、野沢-津川間が開業して全通した。
 大正7(1917)年10月10日に平郡線が全通したのをうけ、東北地区の太平洋と日本海を結ぶ東北横断線が完成した。これを祝う祝賀会が郡山町で開催され平郡線を磐越東線と改称、同時に岩越線に磐越西線と改称することが発表された。この日、若松駅が会津若松駅と改称されることも決まった。しかし、市名は若松のままで、市名が会津若松に改称されるのは、昭和30(1955)年のことである。「いったん決めたものは容易に変えぬ」戊辰戦争で最後まで戦った会津の頑固さがうかがえる。
 平成16(2004)年10月23日に起きた新潟県中越地震で上越線や信越本線が不通となったため、磐越西線を利用する臨時列車が運行された(貨物運行も)。
 SLによるばんえつ物語号が運行されているのが有名だが、平成18(2006)年秋、SLのC57が点検を受けることになり、代わりにDD53DD51、そしてSLのD51が牽引することになりファンを喜ばせてくれた。




郡山-新津間 175.6km

※ 電化区間から非電化区間に変わるので、会津若松(あるいは喜多方)で乗換えとなる。
また、午後の時間帯、喜多方-新津間で運行される列車がないので注意が必要。



[車窓の楽しみ方]
 会津地方で、魔除として昔から愛されている玩具あかべこが、郡山-喜多方間のキャラクターである。郡山駅の磐越西線のホームへ至る階段からしてあかべこで、何だか楽しくなってくる。当然、車輌もあかべこである(ことが多い)。
 郡山駅を出発した列車は、しばらく盆地を走り、車窓に住宅街を見ながら進む。郡山から2つ目の安子ヶ島駅を出発すると山が迫ってきて、湯煙ただよう磐梯熱海駅に着く。磐梯熱海とは、平安末期源頼朝が奥州藤原氏を討伐する際、同行した伊豆の伊東氏が温泉が出るこの地を見て故郷を懐かしみ「熱海」という名を付けたといわれている。駅前では足湯を楽しむことができる。磐梯熱海からは谷が深くなり、進行(会津若松)方向左手にはその谷を作った五百川を見ることができる。南北朝時代、京に住み治の病に苦しんでいた公卿の娘『萩姫』が「都から数えて五百本目の川岸に霊泉があり、それに浸かれば全快する」というお告げを受けた。それを信じ東北にむかい、苦難の末ついに五百本目の川にたどり着き、湧き出るお湯で全快したという。この霊泉とは磐梯熱海温泉であり、車窓に見える川はその五百本目の川である。
 スイッチバックを行っていた中山宿駅を、今では何もなかったように進んでいく(スイッチバックは平成9(1997)年3月22日廃止)。中山宿からは下りになり、ちょっと猪苗代湖の湖面をのぞかせ、会津地方に入ったことを実感できる。
 地図上では湖畔を走るのだが、この後車窓から猪苗代湖を見ることはほとんどできない。しかし、この頃から進行(会津若松)方向左手に雄大な磐梯山が姿をあらわす。車窓というキャンバスに秀麗な磐梯山がきれいに収まってくれるので、磐越西線の一番のハイライト区間かもしれない。こうして猪苗代駅に着く。この猪苗代は世界的な医学者となった野口英世の故郷として知られている。翁島駅付近から再び登り勾配となり、駅を降りると郡山方面の山々を遠望することができる。猪苗代地方の英才、野口英世の生家の最寄駅は翁島駅である。アメリカロックフェラー研究所で成功して帰朝した英世を見守った見守った松が、今でも駅前にあり、駅利用者を見守っている。また、駅から徒歩5分の所には、翁島温泉玉の湯旅館があり、体を温めることができる。日中もよいが、夕暮れ時の磐梯山も素晴らしい。
 翁島駅からは、右や左に大きくカーブし、その度に磐梯山が左右に広がる。そうして、列車は磐梯町駅に着く。磐梯町駅は、今となっては珍しい木造の駅である。列車接近の標識など駅ファンにはたまらない。駅前からは、猫魔ヶ岳や古城ヶ峰などの山々を望むことができる。磐梯町駅の隣、東長原駅から会津若松盆地に入り、盆地の広がりが車窓に見える。住宅が多くなってくると、新津からやってきて、これから乗る路線が見えてくる。運がいいと新津方向からやってきた列車を見ることができる。こうして、会津若松駅に到着する。出迎えてくれるのは白虎隊の少年達である。
 ここから、列車は進行方向を変える。また、喜多方から先は非電化区間となることもあり、多くの列車が会津若松駅で運転を終える。それなので、会津若松駅では、多くの種類の列車を見ることができる。
 会津若松からは、盆地の中を北に向かってまっすぐ進み、盆地を流れる川をいくつか渡り、盆地の北側にある喜多方駅に着く。喜多方から再び山の中へ。分水嶺であり、気候区分が変わる山々に入っていくので、ここから天候が変わることが多い。山を抜け、鉄橋を渡ると、山都駅である。ここでは、山都そばが有名で、SLばんえつ物語号が運行される際、車内で販売されるのだとか。
 山都からは、ゆったり流れる阿賀野川を見ながらの旅となる。途中、山水画の世界など、谷と川と雪が作り出した作品が飛び込んでくることもある(野沢付近にて)。福島県から新潟県に入った津川駅は、その昔新潟と会津を結ぶ船が発着する町として栄えたが、鉄道の開通でその役割を終えた。また、狐の嫁入りの伝説が残っているのでも有名だ。冬場でも、雲間から薄日がさす空から小雪がちらついてきていたので、夏でも通り雨が多いのだろう。SLと桜が撮影できる咲花駅の花は咲花温泉の湯の花からきているのだそうだ。ここらへんより川幅が広くなるので、対岸に錦色をした木々を紅葉の時期に楽しむことができる。
 馬下(まおろし)駅からは、越後平野に入る。新津から乗った場合、ここ馬下で山が迫ってくるようになる。昔はここで馬から降りて徒歩になっていたのだろう。その名残を残す駅名だ。阿賀野川の流れも緩やかになり、大河のよう。家が増えてきて、左から信越本線の線路が登場すると、終点新津に到着する。




● 乗りつぶし記録

  ・2005.11.12. 常磐・只見線攻略作戦郡山→会津若松間に乗車。
  ・2006.01.08. 伊豆・新潟・福島攻略作戦郡山→新津間に乗車。完乗達成。
  ・2006.01.09. その帰り、新津→郡山間に乗車。往復完乗。
  ・2006.11.05. DD53ばんえつ物語号撮影作戦郡山←→会津若松間に乗車。
  ・2006.11.11. 福島・山形・宮城旅行新津→山都→郡山間に乗車。
  ・2007.09.23. SL会津秋まつり号撮影作戦郡山←→会津若松間に乗車。
  ・2008.03.15. 猪苗代スキー旅郡山→猪苗代間に乗車。
  ・2008.03.16. その帰り猪苗代→郡山間に乗車。
  ・2009.09.27. 会津・野岩鉄道攻略で、郡山→猪苗代→会津若松間に乗車。
  ・2011.05.07. G.W.後半作戦で、新津→五泉→新津間に乗車。
  ・2011.08.06. 夏休み遠征で、郡山→猪苗代→郡山間に乗車。
  ・2011.11.26. SLゆけむり復興号撮影で、郡山→猪苗代→広田→郡山間に乗車。



● 駅舎写真

郡山駅(2006.01.) 磐梯熱海駅(2007.09.) 中山宿(2011.08.)
川桁駅(2010.07.) 猪苗代駅(2007.09.) 翁島駅(2006.01.)
磐梯町駅(2006.01.) 東長原駅(2007.09.) 広田駅(2011.11.)
会津若松駅(2006.01.) 山都駅(2006.01.) 津川駅(2006.01.)
馬下駅(2006.11.) 五泉駅(2006.11.) 新津駅(2006.01.)



● おすすめ撮影ポイント

 撮影ポイントは、JR線路線別撮影地磐越西線にて紹介している。(このページに戻る際は、ツールバーの"戻る"を使って下さい))。
 他に、桜とSLが撮影できる咲花駅など。



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