仙石線

最終更新日2012.02.04.


● 基本データ

 仙石線(せんせきせん)は、仙台駅の西にあるあおば通駅から仙台駅を通り、塩釜や日本三景の松島の最寄駅である松島海岸を経由し石巻駅を結ぶJR東日本の幹線路線。路線名は起点(仙台)と終点(石巻)から1文字ずつ取ったものである。東北本線にも松島駅はあるが、五大堂や瑞巌寺などは松島海岸駅の方が近い。
 時刻表の路線図を見て頂いたら分かるように、東北本線の仙台-小牛田間と仙石線の路線は交差したりと非常に複雑な路線を辿る。これには仙石線の歴史による。仙台と塩釜に初めて線路を敷いたのは当時の日本鉄道(明治39(1906)年11月1日国有化)で、仙台-岩切-塩釜間に敷設された。しかし、これは後に東北本線となる路線の仙台から北に延ばす為の建設資材を塩釜港に陸揚げし、それを建設現場まで運ぶ為の資材運搬路線の役割を果たしていた。この後、仙台から北は、岩切-利府-品井沼を通り一ノ関まで明治23(1890)年4月16日に延伸開業し、岩切-塩竈間は支線となった。国有化の後、塩竈線と呼称。平成9(1997)年4月1日廃止されている。
 この仙台から一ノ関に抜ける路線は、利府から松島の西(約3km程)の山を通っていた為、名勝松島へのアクセスは悪く、その為に大正11(1922)年に設立されたのが宮城電気鉄道であった。この際、宮城県北部にある細倉鉱山(昭和62(1987)年閉山)を保有する高田商会の高田釜吉、同鉱山の技師である山本豊次達が貢献したとされる。同鉱山の余剰電力で鉄道を走らせようとした。しかし、高田商会の倒産や、関東大震災の影響で建設は困難を極めたが、大正14(1925)年6月5日、宮電仙台-西塩釜で開業した。開業前、仙台駅には東口がなく、この宮電仙台駅は国鉄線の地下にトンネルを掘り西口に設けられた。この工事によって宮城電気鉄道の経営を圧迫することになったが、日本で初の営業用の地下路線となった。日本初の地下鉄である東京地下鉄道(現;東京メトロ銀座線上野-浅草間)の開業(昭和2(1927)年12月30日)に先立つこと2年である。
 大正15(1926)年4月14日本塩釜、昭和2(1927)年4月18日松島公園(現;松島海岸)、昭和3(1928)年4月10日陸前小野、同3年11月22日石巻まで延伸して、全通した。すでに、開業していた石巻線の石巻駅と離れていた為に、地元では宮城電気鉄道(現;仙石線)の駅を「電車駅」、石巻線の駅を「汽車駅」と呼んで区別していた。長らくこの状態が続いていたが、平成2(1990)年7月21日仙石線石巻駅を石巻線の駅舎に統合して解消している。
 開業当初、昭和恐慌による乗客減で経営は苦戦したが、満州事変などによる景気の持ち直し、更に戦時体制に入ると、沿線に軍需工場(苦竹駅付近など)が多く建設されるようになり、通勤輸送として経営は持ち直したかに見えた。しかし、軍需工場への通勤・貨物輸送を国家主導で効率よく行う観点から、戦時買収により昭和19(1944)年5月1日国有化、仙石線となった。
 同年11月15日、勾配解消の為、東北本線の貨物用迂回線が(前記の)塩竈線を利用して、陸前山王駅-品井沼駅間に建設され(塩竈線は東北本線に編入)、やがて迂回線が本線となったため、東北本線と仙石線が一部で並走するという現在の形となった。
 仙台-苦竹間では、踏切による交通渋滞が問題となった為、地下化がはかられ、平成12(2000)年3月11日仙台-陸前原ノ町間が地下路線となった、また同時にあおば通駅まで延伸されている。この地下駅は宮城電気鉄道が建設した地下路線とは別のものである。
 そして、石巻は漫画家石ノ森章太郎の生地でもあるので、石ノ森作品を配した車輌マンガッタンライナーが運行されている。




あおば通-石巻間 50.2km

※ 東塩釜まではとても本数が多い。その先は、本数が極端に少なくなるが、それでも30分おき位に走っているので、乗りつくしは容易。


[車窓の楽しみ方]
 路線の起点を示す0kmポストはあおば通駅にある。仙石線の列車は全てあおば通駅を発着する。出発した列車は、しばらく地下を走る。陸前原ノ町を出発すると、地上に出てしばらく市街地を走るようになる。小鶴新田を出ると、進行(石巻)方向左手に水田なども見えるようになってくる。福田町を出ると七北田川を渡り、仙台東部道路(三陸縦貫道)が頭上を通過すると多賀城に着く。この先、塩釜の市街地を走るようになるのだが、うねうねと蛇行しながら進んでいく。線路が高架になると本塩釜駅。本塩釜駅を出発すると塩釜港が見え、気持ちがよい。東塩釜を出て、しばらくすると東北本線の路線が近づいてきて、松島の景観が車窓に広がる。しかし、風景が楽しめる時間はそれほど長くなく、再び原生林の中を走るようになって松島海岸駅に着く。松島観光の拠点となる駅だが、時間がなければ駅標示で雰囲気を楽しむのもよい。
 松島海岸駅を出ると、再び東北本線と並走するが、すぐに東北本線は北に消えてゆき、高城川を渡って高城町になる。しばらく水田地帯の中を走るが、陸前富山付近から東名までは海岸線を走るようになる。進行(石巻)方向右手に海や松島の島々が広がるので、とても気持ちがよい。また、思い切って陸前大塚駅で下車してみるとよいだろう。駅ホームから陸前大塚駅から松島の全景が広がるので。東名を出ると、海から離れ、風景が一転、畑作地帯が広がるようになる。吉田川と鳴瀬川を真新しいコンクリート橋で渡ると、陸前小野駅。ここから稲作地帯が広がるようになる。進行(石巻)方向右手に自衛隊松島基地が見えてくると、矢本駅。矢本を出ると、徐々に家屋が増えてくると、石巻市街に入ったことが実感できる。そして、石巻線と合流すると、終点石巻に到着する。



● 乗りつぶし記録

  ・2007.07.14. 仙台作戦仙台→あおば通→石巻間に乗車。完乗達成。
  ・2009.01.10. 仙台旅行で、仙台→松島海岸→本塩釜→仙台間に乗車。
  ・2011.06.04. 石巻ボランティア作戦で、仙台→本塩釜→小鶴新田→松島海岸/本塩釜→多賀城間に乗車。



● 駅舎写真

あおば通駅(2007.07.) 仙台駅(2007.03.) 小鶴新田駅(2011.06.)
多賀城駅(2011.06.) 本塩釜駅(2009.01.) 松島海岸駅(2009.01.)
陸前大塚駅(2007.07.) 陸前小野駅(2007.07.)未下車 矢本駅(2007.07.)
石巻(2007.07.)



● おすすめ撮影ポイント

 撮影ポイントは、JR線路線別撮影地仙石線にて紹介している。(このページに戻る際は、ツールバーの"戻る"を使って下さい))。



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