飯山線

最終更新日2008.01.10.


● 基本データ

 飯山線は、長野県の豊野駅から新潟県の越後川口駅に至る地方交通線(ローカル線)である。長野県では千曲川、名称が変わって新潟県では信濃川に沿って走る。また、日本有数の豪雪地帯を走ることで知られ、冬場は雪と戦う鉄道やそれを取り巻く人々の力強さを感じ取ることができる。

 明治時代、東京と大阪を結ぶ路線が中仙道に沿って作られることになっていた。この際、中仙道から新潟と結ぶ鉄道として実地調査が行われたのが、飯山線の第一歩である。しかし、「中仙道幹線」を建設する為、直江津線が明治18(1885)年に開業、それに接続する北越鉄道が、東京と新潟を結ぶ路線となってしまい、(飯山線建設の)計画は立ち消えになってしまった。
 「飯山盆地に鉄道を」と、大正になると千曲川沿いに鉄道を作ろうという動きが民間で起こり、地元の熱意で、豊野・飯山を結ぶ飯山鉄道が大正6(1917)年設立された。しかし第一次世界大戦の影響で工費が高騰、着工が危ぶまれる事態になったが、水力発電所の工事鉄道に利用するということで信越電力(のちの東京電力)が資本参加、飯山鉄道の着工が決まった。
 大正10(1921)年10月20日、豊野-飯山間が開業。大正12(1923)年12月1日西大滝まで延伸開業した。その先は、信越電力の発電所工事と沿線町村の熱望によって、県境の森宮野原まで開業した。大正14(1925)年11月19日のことである。
 一方で国によって建設されていた上越北線と十日町とを結ぶ連絡線が計画され、昭和2(1927)年6月15日、越後川口-越後岩沢間が国鉄十日町線として開通した。その後、路線は南に伸び、同年11月15日十日町まで延伸開業した。飯山鉄道も路線を伸ばし、昭和2(1927)年6月1日森宮野原越後外丸(後の津南)、同年11月6日越後田沢まで開通。昭和4(1929)年9月1日、十日町まで延伸し、国鉄十日町線と結ばれた。
 昭和19(1944)年6月1日、飯山鉄道が戦時買収により国有化され、十日町線を含めて飯山線となった。飯山鉄道の国有化の背景には、戦争遂行のために沿線のブナ林を軍が必要としていたということがいわれれいる。
 1987年4月1日、JR東日本に移管されて現在に至る。かつては、優等列車として急行「野沢」(昭和61(1986)年11月1日廃止)・「うおの」(昭和57(1982)年11月15日消滅)などが運転されていたが、現在は普通列車のみの運転である。



豊野-越後川口間 96.7km

※ 全線を通して運行される列車は少なく、戸狩野沢温泉か十日町で乗り換えになることが多い。
また、夏季は大雨、冬季は大雪により運休することがあるので注意が必要。



[車窓の楽しみ方]
 飯山線の始発は豊野駅だが、全ての列車は長野発となる。車輌は新型気動車キハ110系。長野駅から出発した列車は信濃平をのんびり走り、立ヶ花駅から千曲川に沿うようになる。冬季の早朝は水温より気温の方が低くなるので、川面からが発生し、雲の中を走っているようになることがある。全線を通して川沿いの比較的高いところを走るので眺めは最高である。
 替佐駅では、夏と冬には「故郷」春と秋には「春の小川」「紅葉」のメロディーが流れる。童謡作詞家高野辰之が、この地で生まれ育ったからなのだが、千曲川に水田、リンゴ畑に茅葺屋根の家など、のどかな風景が広がる車窓を見ていると、歌詞が頭の中をすんなり流れてくる。
 戸狩野沢温泉駅でラッセル車をすれ違う。これからむかう場所の雪の多さを覚悟させられる。山が深くなると同時に雪が深くなり、それと当時に世界から色が消えていきようだ。車窓からの風景も水墨画のように変わる。
 県境の駅、森宮野原駅は日本一の積雪(7m85cm)を記録した駅である(昭和20年2月12日)。この記録はいまだに破られていない。駅脇に立つ標柱をみると、その高さに驚かされる。駅周辺の民家でも屋根に2m位の雪があるのが当たり前で、天気がいいと皆さん雪かきにせいを出していた。
 寒いと温泉が恋しくなる。森宮野原駅から徒歩10分の所に宮野原温泉があり、千曲川から信濃川へ名前が変わる場所で温泉を楽しむことができる。越後の国新潟県に入ってから、長野県の旧国名"信濃"川になるのだから面白い。おそらく、信濃から流れてくる川って意味なのだろうか。
 名前も信濃川に変わると川幅も広くなるようだ。遠くに大きな街が見えてくると十日町駅に到着する。越後湯沢から金沢方面の短絡線北越急行と交差する十日町駅は、近代的な駅である。
 駅から徒歩10分の十日町博物館には、縄文時代の火焔式土器が展示されている。電柱の看板が博物館まで案内してくれる。また、同じく駅から徒歩10分の越後妻有交流館(キナーレ)温泉を楽しむことができる。
 十日町からは比較的平坦な場所を走り、最後に信濃川を渡って、終点越後川口駅に到着する。
 車窓は、進行方向(越後川口駅)にむかって、右側が楽しい。



● 乗りつぶし記録

  ・2005.12.17. 長野・飯山線攻略作戦豊野→森宮野原→越後川口間に乗車。完乗達成。



● 駅舎写真

豊野駅(2007.12.) 飯山駅 戸狩野沢温泉駅(2005.12.)
森宮野原駅(2005.12.) 十日町駅(2005.12.) 越後川口駅(2005.12.)



● おすすめ撮影ポイント

 撮影ポイントは、JR線路線別撮影地飯山線にて紹介している。(このページに戻る際は、ツールバーの"戻る"を使って下さい))。
 他に、千曲川と列車が写し込める、替佐-蓮間など。



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