中央本線

中央西線(金山〜塩尻間)へ >>>

最終更新日2012.02.05.


● 基本データ

 中央本線は、東京駅から新宿駅・塩尻駅を経由して名古屋駅までを結ぶ路線である。東京や名古屋周辺の通勤路線であると同時に、主要幹線として東京・名古屋と山梨県・長野県南部を結ぶ大動脈ともなっている。
 国土交通省監修『鉄道要覧』等によれば、厳密にはこのうち東京駅-神田駅間は東北本線、代々木駅-新宿駅間は山手線となっているので、これに準じることにする。また、東京駅-塩尻駅間を中央東線、塩尻駅-名古屋駅間を、中央西線と呼ばれることもある。それぞれ、JR東日本、JR東海の管轄となっているので、(塩尻の)東西でページを分けることにした。
 現在、どちらの路線の列車も、塩尻駅から篠ノ井線松本駅方面に直通しており、逆に両路線を直通する列車は(1部の貨物列車を除き)基本的にはない。

 中央本線は、甲武鉄道が明治22(1889)年4月11日、新宿-立川が開通したのにはじまる。のちに国有化される甲武鉄道だが、開通当時から新宿-甲府-諏訪-名古屋というルートを決定していた。また、新宿-立川間建設の際、沿線自治体からの要望を突っぱね"ルートを一直線にした"という逸話も残っている(この区間の地図をみると面白い)。
 甲武鉄道の路線は東西に伸び、西は八王子(明治22(1889)年8月11日)まで、 東は牛込(明治27(1894)年10月9日)、飯田町(明治28(1895)年4月3日)まで延伸開業した。明治34(1904)年、甲武鉄道が飯田町-中野間で日本最初の電車運転を開始させる。そして、明治37(1904)年12月31日、御茶ノ水まで延伸した。
 これを受けて、国は明治34(1901)年8月1日八王子から上野原間に官設鉄道を開業させる。さらに路線は西に、大月(明治35(1902)年10月1日)、甲府(明治36(1903)年6月11日)、韮崎(同年12月15日)、富士見(明治37(1904)年12月21日)、岡谷(明治38(1905)年11月25日)と伸び、ついに(明治39(1906)年6月11日塩尻まで達し、既開業の篠ノ井-塩尻間鉄道を編入、八王子-篠ノ井間が中央線となった。
 明治39(1906)年の鉄道国有法により、同10月1日甲武鉄道御茶ノ水-八王子間が買収され国有化し、八王子-篠ノ井間鉄道に編入、御茶ノ水-篠ノ井間鉄道となる。その後、明治42(1909)年10月12日、国有鉄道線路名称設定で昌平橋-篠ノ井間が中央東線となり、路線は塩尻から先へ、同年12月1日奈良井間まで延伸した。その際、塩尻-篠ノ井間が篠ノ井線として分離される。
 木曽福島まで路線が伸びてきていた中央西線と、明治44(1911)年5月1日路線がつながり全線が開通した。昌平橋-名古屋間が中央本線に改められた。ちなみに、中央本線が東京駅まで伸びるのは、大正8(1919)年3月1日のことである。
 岡谷駅から塩尻駅までの間は、山脈を避けて辰野駅を経由していたが、昭和58(1983)年に全長約6kmの塩嶺トンネルを抜けてみどり湖駅経由の短絡線が開通し、大幅なスピードアップが実現した。現在どちらの路線も中央本線に属する。辰野駅経由の迂回路線は、伊那谷出身の代議士で鉄道局長の伊藤大八という代議士が誘致したので「大八回り」と呼ばれることもあったが、当時の技術力では長いトンネルを掘れなかったので、塩尻峠を避けるために迂回させただけであるという説もある。

 東京-高尾(大月)間は、東京都市圏輸送区間で、御茶ノ水駅-三鷹駅間は複々線で緩急分離運転が行われている。高尾(立川)-塩尻間は、中距離電車区間である。高尾駅から甲府駅を経て塩尻駅から篠ノ井線に乗り入れて松本駅まで運転される(一部立川発着)。甲府駅発の一部列車や小淵沢駅、上諏訪駅発の列車はさらに篠ノ井線を進み、篠ノ井駅より松本、さらに信越本線にも乗り入れ長野駅まで運転される。辰野駅-塩尻駅間は、ほとんどの列車がこの区間のみの折り返し運転となっているが、朝夕を中心に松本駅や岡谷駅まで直通する列車が数本設定されている。辰野駅-塩尻駅間を往復する列車には、荷物車を改造した123系(クモハ123-1)が使われ、ミニエコーの愛称で呼ばれている。車内はロングシートとなっている。
 また、2007年のNHK大河ドラマ「風林火山」放送にあわせて、新宿-塩尻-長野間に風林火山号が運行された(写真は信越本線安茂里駅で撮影したもの)。



神田-代々木間 8.3km  新宿-塩尻間 211.8km  岡谷-塩尻間 27.7km  計247.8km

特急列車も普通列車も充実しているので、乗りつぶしは容易。ただ、普通列車の場合は数回の乗換えが必要になる。



[車窓の楽しみ方]
 神田駅から代々木駅までは、都心を走るのだかお堀沿いを走り比較的多くの緑をみることができる(多くの路線が交差する御茶ノ水付近にて(1990年撮影))。神宮球場が近い信濃町駅のホームではドア案内にボールがあしらわれていて、将棋会館が近い千駄ヶ谷駅では水飲み場に将棋の駒が居座る。東京体育館は千駄ヶ谷駅前にある。
 新宿駅を出るとすぐ、進行(高尾)方向左側に首都東京の象徴、高層ビル群が姿をあらわす。中野駅から先は高架になり、家の屋根が、地平線の先まで幾重にも広がる(私はこの光景が割と好きである)。途中、純情商店街で有名になった高円寺がある。立川駅を出ると多摩川を渡り八王子駅、そして高尾駅に着く。
 高尾山には天狗の伝説があり駅舎には大きな天狗の面がある。駅ホームの天狗に見送られて高尾駅を出発すると景色は一変、山の中を走るようになる。小仏トンネルや幾つかのトンネルを越え大月駅へ。独特な山容を持つ岩殿山が見えたら大月駅となる。大月駅から谷に、中央道、国道20号が集結するので、それぞれが並走する風景が楽しめる。笹子トンネルを抜けると、勝沼ぶどう郷駅、車窓にブドウ畑が多くなり、ブドウの産地だと実感できる。勝沼ぶどう郷駅からは甲府盆地に入る。甲府盆地の入口にある塩山駅は日本最古の日の丸がある街、戦国大名である武田氏縁の雲峰寺に家法として伝わっているそうだ。また、武田信玄の墓がある恵林寺は駅北西3kmほどのところにある。またこの盆地はブドウの他、桃が取れるので山梨市駅には桃のオブジェがある。中央本線は、盆地の北側を走るので盆地の広がりを(中央道より)感じることができる。運が良いと、進行(小淵沢)方向左側の山の上に富士山が見えることもある。そうして、甲府駅に着く。
 甲府駅からは韮崎駅へ。韮崎から勾配がきつくなり、モーター音が気になるようになる。丘陵地の上を走るので眺めがよい。やがて、進行(小淵沢)方向左手には甲斐駒ヶ岳、右手には八ヶ岳の素晴らしい山々が望むことできる。深田久弥の『日本百名山』でもこの区間の光景が絶賛されている。また、春には線路の両側がピンクに包まれ、文字通り「桃源郷」の雰囲気を味わえる。そうして、小淵沢駅に着く。途中、戦国時代長篠の戦で敗れた武田氏が城を移そうとした新府城があるが、新府駅から徒歩10分位のところにある。また、国蝶であるオオムラサキをはじめ多くの蝶や自然を観察できるオオムラサキセンターへは、日野春駅から。こちらも徒歩10分ほど。車窓からわずかだが蝶の形をした施設を見ることができる。
 小淵沢から富士見間は高原列車の雰囲気を味わえる。中間にあるのが信濃境駅。ここは、1997年10月からTBSのドラマで撮影された「青い鳥」の舞台駅。また、駅南南東1kmの所には縄文時代の井戸尻遺跡があり、駅舎内でも遺跡の出土品を見ることができる。富士見駅を出発すると、一転下りが続くようになる。隣のすずらんの里駅のホームに立つと待合室がホームに対してかなり傾いているので、いかに勾配が急であるかよく分かる。諏訪湖に流れる川がいくつか集まってくると茅野駅に着く。茅野は寒天の里として知られ、駅内で地域の産物として展示されている。縄文時代、諏訪湖の北部和田峠より産出された黒曜石が交易の手段として全国に広まってことが知られている。この黒曜石の原石が茅野駅ホームで見ることができる。よく観察してみると黒く輝く破片があることがよく分かる。また、太平洋戦争中市の北部にあった諏訪鉄山から茅野駅まで専用鉄道で活躍した機関車C12が、駅前展示されている。
 茅野を出るとすぐに上諏訪に着く。上諏訪では昔駅ホームで温泉に入ることができたが、現在では足湯のみ楽しむことができる。そして、夏の期間は夜ホームで花火を楽しめる。また、諏訪氏の居城だった高島城へは、駅から徒歩15分程。その天守閣展望台からの諏訪湖の眺めは素晴らしい。上諏訪駅付近から、進行(塩尻)方向左側に諏訪湖と寄り添い、下諏訪駅。駅ホームには諏訪神社のお祭り御柱で使われた木が展示されている。お隣は岡谷駅。そして、高速道路の高架橋を跨ぐと、線路は辰野支線(大八回り)と分岐するが、新線の方はすぐに長い塩嶺トンネルに入っていく。トンネルを抜けるとみどり湖。冬場は、ここで銀世界に変わることがある。トンネルから坂を下るようになるが、駅も傾いているので面白い。そして坂を駆け下ると塩尻駅に到着する。
 一方、辰野支線(大八回り)は、伊那谷の深い谷を回り込むようにUの字に進む。岡谷から天竜川にそって南にむかうが、このあたりの天竜川は大河とは思えないほど川幅が狭い。やがて、市街地が広がると辰野になる。辰野からは飯田線が分岐し、中央本線の線路は北に進路を変え、再び深い谷の中を走っていく。塩尻宿から飯田方面に通じる伊那街道の最初の宿場町だったのが小野。駅周辺には古くて大きな民家が残る。また駅北と南に小野神社と矢彦神社が祀られているからであろうか、この地域は憑(たのめ)の里と呼ばれている。小野神社は諏訪大社より一年遅れの年に御柱祭が行われていて、昔より「人を見るなら諏訪御柱、綺羅を見るなら小野御柱」と、勇壮さでは諏訪御柱も凌ぐと言われるほどなのだそうだ。こうして、新線と合流して、終点塩尻に到着する。



● 乗りつぶし記録 八王子以東は乗車回数過多の為、大部分省略している。

  ・1979.08.   富士登山(家族旅行)で新宿←→大月間に乗車。
  ・1988.03.   金沢・岡山旅行で(今はなき)上諏訪夜行にて新宿→塩尻間に乗車。
  ・1991.08.11. サークル(天文研)の夏合宿で新宿→富士見間に乗車。
  ・1991.08.18. その帰り富士見→飯田橋間に乗車。
  ・1991.11.02. サークルの秋遠征で八王子→小淵沢間に乗車。
  ・1991.11.04. その帰り小淵沢→八王子間に乗車。
  ・1992.01.03. サークルの冬遠征で八王子→韮崎間に乗車。
  ・1992.01.06. その帰り韮崎→八王子間に乗車。
  ・1992.05.16. サークル(大学天文連盟)の春合宿で飯田橋→藤野間に乗車。
  ・1992.05.17. その帰り藤野→八王子間に乗車。
  ・1992.07.26. サークルの夏合宿で新宿→富士見間に乗車。
  ・1992.08.02. その帰り富士見→飯田橋間に乗車。
  ・1992.08.24. サークルの夏遠征で新宿→塩尻間に乗車。
  ・1992.08.28. その帰り塩尻→八王子間に乗車。
  ・1992.12.25. サークルの冬遠征で新宿→韮崎間に乗車。
  ・1992.12.28. その帰り韮崎→八王子間に乗車。
  ・1993.05.15. サークル(大学天文連盟)の春合宿で飯田橋→藤野間に乗車。
  ・1993.05.16. その帰り藤野→八王子間に乗車。
  ・1993.07.22. サークルの夏遠征で新宿→塩尻間に乗車。
  ・1993.07.26. その帰り塩尻→八王子間に乗車。
  ・1993.08.15. サークルの夏合宿で新宿→富士見間に乗車。
  ・1993.08.22. その帰り富士見→飯田橋間に乗車。
  ・1994.05.14. サークル(大学天文連盟)の春合宿で飯田橋→藤野間に乗車。
  ・1994.05.15. その帰り藤野→八王子間に乗車。
  ・1994.08.07. サークルの夏遠征で新宿→塩尻間に乗車。
  ・1994.08.11. その帰り塩尻→八王子間に乗車。
  ・2004.05.02. (日帰り)長野旅行の帰り塩尻→八王子間に乗車。
  ・2004.08.20. クマ町役場夏合宿で東京→長坂→塩尻間に乗車。
  ・2004.08.22. その帰り塩尻→八王子間に乗車。
  ・2004.11.14. 飛騨・立山旅行の帰り塩尻→八王子間に乗車。
  ・2005.07.30. 飯田・中央西線攻略作戦辰野→岡谷間に乗車。
  ・2005.07.30. そのまま岡谷→辰野→塩尻間に乗車。完乗達成。
  ・2005.08.28. 身延・小海線攻略作戦甲府→小淵沢間に乗車。
  ・2005.12.17. 長野・飯山線攻略作戦塩尻→八王子間に乗車。
  ・2007.09.22. 信州ぶらり旅東京→岡谷→上諏訪→塩尻間に乗車。
  ・2007.09.22. その帰り塩尻→八王子間に乗車。
  ・2007.11.04. 横浜線降りつくし八王子→新宿間に乗車。
  ・2008.01.06. 八王子星見駅八王子→猿橋→八王子間に乗車。
  ・2008.01.12. 黒森星見旅八王子→茅野→韮崎間に乗車。
  ・2008.01.14. 同、小淵沢→信濃境→八王子間に乗車。
  ・2008.04.06. 甲府撮影編八王子→東山梨→新府→神田間に乗車。
  ・2008.09.07. 新潟・長野旅行で、塩尻→岡谷→辰野→塩尻→甲府→八王子間に乗車。東京-塩尻間、全駅下車達成。
  ・2009.04.18. 富士急撮影旅行立川→大月/大月→立川間に乗車。
  ・2011.07.18. 三連休作戦で、塩尻→八王子間に乗車。



● 駅舎写真

東京駅(2005.09.) 神田駅(2005.09.) お茶の水駅(1990.)
水道橋駅(2006.01.) 飯田橋駅(2006.06.) 市ヶ谷駅(2006.08.)
四ッ谷駅(2006.06.) 信濃町駅(2006.08.) 千駄ヶ谷駅(2006.08.)
代々木駅(2005.09.) 新宿駅西口(2005.09.) 新宿駅北口(2005.09.)
新大久保駅(2006.08.) 東中野駅(2006.08.) 中野駅(2005.09.)
高円寺駅(2006.05.) 阿佐ヶ谷駅(2006.08.) 荻窪駅(2006.08.)
西荻窪駅(2006.08.) 吉祥寺駅(2006.06.) 三鷹駅(2007.06.)
武蔵境駅(2007.06.) 東小金井駅(2007.06.) 武蔵小金井駅(2006.09.)
国分寺駅(2007.01.) 西国分寺駅(2006.01.) 国立駅(2006.01.)
立川駅(2006.01.) 日野駅(2010.06.) 豊田駅(2010.06.)
八王子駅(2006.02.) 西八王子駅(2006.02.) 高尾駅(2006.02.)
相模湖駅(2006.07.) 藤野駅(2006.07.) 上野原駅(2006.07.)
四方津駅(2006.12.) 梁川駅(2006.12.) 鳥沢駅(2006.12.)
猿橋駅(2006.12.) 大月駅(2006.12.) 初狩駅(2007.04.)
笹子駅(2007.04.) 甲斐大和駅(2007.04.) 勝沼ぶどうの郷駅(2007.05.)
塩山駅(2007.05.) 東山梨駅(2007.05.) 山梨市駅(2006.01.)
春日居町駅(2007.05.) 石和温泉駅(2008.01.) 酒折駅(2008.01.)
甲府駅(2005.08.) 竜王駅(2007.04.) 塩崎駅(2007.04.)
韮崎駅(2005.09.) 新府駅(2006.12.) 穴山駅(2006.12.)
日野春駅(2005.08.) 長坂駅(1999.05.) 小淵沢駅(2005.08.)
信濃境駅(2007.07.) 富士見駅(1991.08.) すずらんの里駅(2008.01.)
青柳駅(2008.01.) 茅野駅(2008.01.) 上諏訪駅(2007.09.)
下諏訪駅(2007.09.) 岡谷駅(2007.09.) 川岸駅(2008.09.)
辰野駅(2008.05.) 信濃川島駅(2008.05.) 小野駅(2008.05.)
東京-塩尻間
全駅掲載
みどり湖駅(2008.09.) 塩尻駅(2005.07.)

中央線快速 中央線各駅停車



● おすすめ撮影ポイント

 撮影ポイントは、JR線路線別撮影地中央本線にて紹介している。(このページに戻る際は、ツールバーの"戻る"を使って下さい))。



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