鹿児島本線

最終更新日2012.02.22.




門司港-八代間 232.3km  川内-鹿児島間 49.3km  計281.6km

※ 全線的に本数が多いので乗りつくしは容易。ただ、八代(新八代)-川内間は、九州新幹線か肥薩おれんじ鉄道に乗らなければならない。
● 基本データ

 鹿児島本線は、門司港駅から博多駅、博多駅から南に進み、鳥栖駅、熊本駅を経由して熊本県の八代駅までと、鹿児島県の川内駅から鹿児島県の鹿児島駅までを結ぶJR九州の幹線路線である。北九州市、福岡市をはじめ、九州西海岸の熊本市、鹿児島市などの主要都市を結んでいる。
 昭和2(1927)年に門司港-鹿児島間が全通し、ながらく同区間が鹿児島本線であったが、平成16(2004)年3月13日、新八代-鹿児島中央間に九州新幹線が開業したのを機に、八代-川内間が第三セクターの肥薩おれんじ鉄道に移管され、一方利用客の多い川内-鹿児島中央(旧西鹿児島)間はJR九州の経営のままとなるなど、大きく路線が分離された。将来、九州新幹線が博多まで延伸したときには、同様の扱いがされることが予定されている。
 日本初の私鉄(半官半民)である日本鉄道の営業が好調なのを見て、設立されたのが九州鉄道である。この九州鉄道が、明治22(1889)年12月11日、博多-千歳川仮停車場間を開業させたのが、鹿児島本線いや九州初の路線なので、九州の鉄道のはじまりといえるだろう。1日3往復運行され、所要1時間23分だったとか。
 千歳川仮停車場とは、久留米の北、筑後川(当時は千歳川と呼ばれていた)の北岸にあった仮の駅。本来は博多-久留米間で開業する予定だったものが、千歳川(現;筑後川)の氾濫で工事が遅れ、こうなったようだ。翌明治23(1890)年3月1日、久留米まで開業し千歳川仮停車場は廃止されている。
 路線は、博多から北東と、久留米から南へと伸び、北東へは、赤間、遠賀川、黒崎そして門司(現;門司港)まで。南へは、高瀬(現;玉名)、熊本まで開業。明治24(1891)年7月1日、門司(現;門司港)-熊本間が開業したことになり、九州鉄道の八代線となった。北九州地区で、明治35(1902)年12月27日小倉-戸畑-黒崎間が戸畑線として開業している。更に、熊本から川尻、松橋、そして明治29(1896)年11月21日八代(後に球磨川)間が開業、明治40(1907)年7月1日九州鉄道は国有化されている。
 国防上の理由と鹿児島に最短コースで行ける事から八代から球磨川に沿って路線の建設は進み、明治41(1908)年6月1日八代-人吉間が開業。今までの八代線から人吉線と改称された。同年7月1日、小倉-戸畑-黒崎間が複線化され人吉線に編入、旧線区小倉-大蔵-黒崎間は大蔵線となった(明治44(1911)年10月1日廃止)。明治42(1909)年10月12日の線路名称制定で門司(現;門司港)-人吉間が人吉本線とされた。
 一方、鹿児島から人吉へは、鹿児島-国分(現;隼人)まで開業していた(明治34(1901)年6月10日開業)鹿児島線を延伸する形で工事が進められ、明治36(1903)年1月15日横川(現;大隅横川)、同年9月5日吉松まで延伸開業している。明治42(1909)年11月21日最大の難所、人吉-吉松間の山越えルートが完成し、門司(現;門司港)-人吉-鹿児島間が鹿児島本線となった。
 門司から鹿児島まで路線が繋がったが、人吉-吉松間が、スイッチバックやループのある急勾配の難所で、早くから海沿いのルートの建設が求められた。八代から南へは肥薩線として、鹿児島から北へは川内線として、それぞれ建設が進められた。肥薩線は、大正12(1923)年7月15日日奈久まで、大正14(1925)年4月15日佐敷、大正15(1926)年9月12日湯浦まで延伸開業している。川内線は大正2(1913)年10月11日東市来まで、同年12月15日串木野、大正3(1914)年6月1日川内町(現;川内)、大正11(1922)年7月1日西方、同年10月15日阿久根、翌大正12(1923)年3月25日野田郷、同年10月15日米ノ津、大正15(1926)年7月21日水俣までと小刻みに開業している。これは、海沿いのルートも建設が大変だったことがうかがえる。昭和2(1927)年10月17日湯浦-水俣間が開業、新幹線開業以前のルートが完成した。この際、八代-川内-鹿児島間を鹿児島本線に編入、従来の鹿児島本線八代-人吉-鹿児島間は肥薩線となった。

[車窓の楽しみ方]
 鹿児島本線の始発駅は門司港駅。昭和17(1942年)4月1日関門トンネル開通計画に伴い門司駅から改称、トンネル開通後はメインルートから外されてしまったが、明治24(1891)年7月1日開業した九州を代表する駅である。また、駅舎はネオ・ルネッサンス様式といわれる左右対称の外観デザインが特徴な九州最古の木造駅舎として有名である(大正3(1914)年1月15日完成)。また、九州全ての鉄路はここを基準としている。正確にはこちら
 進行(博多)方向左側に風師山の山々を見ながら門司港駅を出発した列車は、2つ目の門司駅で本州からやってきた鉄路と合流する。ここで、客車はトンネル用の機関車から、九州用(交流用)の機関車交換される。
 門司を出発して列車はほどなく小倉駅に着く。小倉の駅舎はモノレール(北九州高速鉄道)が発着するなど面白い駅。また、改札に至る階段はまるで壁にある写真のようで驚かされた。
 小倉駅を出てすぐ川を渡るが、この際進行(博多)方向左側に小倉城の森が見える。こうして西小倉、ここから日豊本線が分かれていく。小倉駅を出発すると進行(博多)方向右側に工場群が増えてきて北九州工業地帯に入ったことを実感できる。しばらく北九州都市高速と並走する。そして、戸畑駅付近から洞海湾を渡る若松大橋が見えてくる。赤い橋梁が印象的である。戸畑から大きく左にカーブして、進行(博多)方向左手に、スペースワールドの遊戯群が見える。夜景も印象的であった。また、日本初の製鉄所の高炉も車窓から見ることができる。八幡・黒崎を過ぎると段々住宅街も増えはじめ折尾。折尾駅は筑豊本線との連絡駅。もともとそれぞれ違う鉄道会社の路線だったので、珍しい地上立体交差構造をしている。日本最古の立体交差駅であり、建設当時そのまま(明治24(1981)年2月28日)の煉瓦も連絡通路に残っている。
 折尾から隣の水巻駅を出発すると筑紫山地より流れ出した遠賀川を渡る。ここら辺から工場群は姿を消し、のんびりとした里山の風景がしばらく続く。福間付近から福岡の市街地に入るのか、住宅街が増えはじめ、香椎線の連絡駅香椎駅に着く。香椎駅隣の千早駅を出発すると、西鉄宮地岳線と香椎-福岡貨物ターミナル間の貨物支線とで仲良く多々良川を渡る。ともに河口側(進行方向右手)に架かっている。特に印象的なのは西鉄のコンクリート橋、11連も続くそれは美しい。運がよければ、西鉄宮地岳線の列車が走っているのが見られる。また、この上空は福岡空港滑走路の延長線上にあるので、車窓から飛行機を見ることができる。篠栗線や山陽新幹線の路線が近づいてくると吉塚駅。そのまま高架を進んで博多駅に到着する。博多の一番の歓楽街といえば中州。駅から西へ徒歩10分程(地下鉄やバスもあり)。立寄って博多ラーメンを楽しみたい。また、地元では博多うどんも評判なのだとか。
 博多を出発して隣の竹下駅付近で、進行(久留米)方向左を走っていた博多南線の高架が鹿児島本線の路線を跨ぎ大きくカーブして右方向に消えて行く。お隣の笹原駅を出発すると都市高速5号線と次いで西鉄大牟田線の路線が頭上を通り過ぎてゆく。
 斉明天皇7(661)年に勃発した白村江の戦い、敗れた大和朝廷が唐・新羅による報復と侵攻に備え、西日本各地の山城などの防衛施設を、九州北部にあったの大宰府を守る為水城(みずき)を築いた。この水城を1400年経った今でも、水城駅付近で見ることができる。山が近づき、水田などの風景が増えてくると、折尾駅で交差した筑豊本線の線路が近づき原田駅に着く。ここから住宅街と耕作地帯が混ざった風景に変わり長崎本線の始発駅、鳥栖駅に着く。駅から鳥栖スタジアムが見られるなど、サッカーが盛んな土地柄だと分かる。鳥栖からは筑紫平野に入り、広大な水田地帯を進んでいく。こうして川幅の広い筑後川を渡ると久留米駅になる。

 久留米を出発すると、久大本線の路線と並走し、久大本線と分岐すると、西鉄大牟田線の線路が頭上を通過していく。この後、住宅街の中を走るようになるが、徐々に密度が低くなくなり、水田が混じるようになる。西鉄大牟田線の路線が西から近づき、家屋や建物が増えてくると、西鉄の路線とともに大牟田に着く。大牟田といえば、三井三池炭鉱がある石炭の町。駅ホームでも石炭を見ることができる。また、大牟田の夏祭りでは、高さ6m、幅3m、全長は15mの巨大な曳き山が街の中を練り歩く『大蛇山』が有名だが、駅ホームにて、この大蛇山の一部を見ることができ、また時間によっては、目が光り動く姿も見られる。西鉄大牟田線は名のとおり大牟田で終点だが、JRの乗り場から西鉄の乗り場にむかうことができる。
 南荒尾付近から海に近づき、対岸に長崎県の雲仙普賢岳を望めるようになるが、路線は海岸線まで近づかないので、車窓に海が広がることはない。海から離れると長洲になる。長洲は九州金魚すくい選手権大会が行われることもあって、駅内外に金魚を多く見ることができる。こうして、玉名温泉をかかえる玉名駅に着く。温泉は駅から北へ1.5kmのところにある。駅前には、世界一の大梵鐘と呼ばれている蓮華院誕生寺の飛龍の鐘のレプリカ(複製)が堂々とした姿をあわらしている。また、西南戦争で有栖川宮親王の本営跡も駅から近い。
 玉名を出発すると菊池川を渡り、耕作地帯に入っていく。この頃から、数多くのビニールハウスが見えてくるが、すいか、メロン、そしてみかんなどの栽培用のようだ。木葉から東にむかっていた線路が南へと向きが変わる。この時、進行(熊本)方向左手遠方山の上に、明治10(1877)年の西南戦争の激戦地である田原坂の古戦場の公園が見える。田原坂は熊本への入口をめぐって激しい攻防が行われることになったのだが、線路も熊本へむかうことが困難であるかのように左右にカーブしながら進んでいく。やがて、水田が多くなり、そして、建物などが多くなると熊本に着く。

 熊本城へは、熊本駅から市電で10分程。熊本の名物は、辛子レンコンと馬刺し、辛子レンコンは病弱な藩主の為に考案された食べ物だとか。熊本は肥後の中心都市、あっんただたどこさ〜肥後さ〜♪と歌いたくなる気分になる。
 JR九州の車輌はどれも個性的なデザインで、普通列車も例外ではない、しかも車内も近未来の乗り物のように感じられた。時には、外装にデザインされた列車も来る。
 熊本を出発した列車は、数分して豊肥本線と分かれ、さらに阿蘇山から有明海に注ぎ込む白川を渡る。川を渡ると水田地帯が広がるようになる。川尻を出発すると、今度は緑川を渡り宇土に着く。宇土から三角線が分岐していき、進行(鹿児島)方向右手に宇土半島付け根に広がる山々が望める。宇土のお隣の松原付近で、宇土半島の山々は車窓からいなくなり、再び水田地帯が広がるが、今度は九州山地の西端の山々が遠方に連なるように見えるようになる。徐々に水田の中にイグサの畑が目立つようになり、有佐-千丁間では一面にイグサ畑になり、新しい畳の匂いが車内にも広がった。
 リレーつばめ用の線路が分岐し、新幹線の高架があらわれると新八代駅。新幹線用と在来線用とで駅舎が分けられており、在来線用のものはどこにでもあるような橋上駅であった。
 ここから、S字に大きく蛇行し、進行(鹿児島)方向左手に日本製紙の工場と煙突が見えると八代に到着する。

<ここから先、夜間通過の時間が多かった為、いずれ取材する予定>

 新幹線が開業し、西鹿児島から改名された鹿児島中央駅は大きく変貌した。併設されているショッピングモールの屋上には観覧車があり、驚かされる。
 また、桜島が一望できる城山公園へは、バスで20分ほど。市電&徒歩でもいけるがあまりお勧めはしない。



● 乗りつぶし記録

  ・2003.03.13. 九州1周旅行で、博多→鳥栖間に乗車。
  ・2003.03.13. 同、ドリームつばめにて鳥栖→博多間に乗車。
  ・2003.03.14. 同、博多→西鹿児島(現;鹿児島中央)間に乗車。
  ・2003.03.14. 同、西鹿児島→熊本間に乗車。
  ・2003.03.16. 同、ドリームにちりんにて西小倉→小倉→折尾間に乗車。
  ・2003.03.16. 同、折尾→門司/門司→門司港→西小倉間に乗車。
  ・2003.03.16. 同、寝台特急富士にて西小倉→門司間に乗車。
  ・2006.08.17. 北九州攻略作戦で、門司→博多→久留米間に乗車。門司港-八代間完乗達成。
  ・2006.08.17. 同、吉塚→博多間に乗車。
  ・2006.08.18. 同、原田→鳥栖間に乗車。
  ・2006.08.19. 同、博多→門司間に乗車。
  ・2007.03.24. 九州研修旅行で、門司→博多間に乗車。
  ・2007.03.26. その帰り、博多→門司港→門司間に乗車。
  ・2007.03.30. 南九州攻略作戦で、門司→西小倉間に乗車。
  ・2007.03.31. 同、鹿児島→鹿児島中央間に乗車。八代-鹿児島中央間完乗達成。
  ・2007.04.01. 同、新八代→八代/八代→宇土/宇土→熊本間に乗車。
  ・2007.04.02. 同、熊本→八代間に乗車。
  ・2007.04.03. 同、西小倉→門司間に乗車。
  ・2007.07.27. 西九州攻略作戦で、門司→博多間に乗車。
  ・2007.07.29. 同、鳥栖→門司間に乗車。
  ・2008.03.28. 九州完乗作戦で、門司→西小倉間に乗車。
  ・2008.03.30. 同、熊本→八代/八代→久留米間に乗車。
  ・2009.03.28. 九州研修旅行で、門司→博多間に乗車。
  ・2009.03.29. 同、博多→鳥栖/鳥栖→門司港→門司間に乗車。
  ・2009.07.18. 奄美日食作戦で、小倉→西小倉間に乗車。
  ・2009.07.19. 同、鹿児島→鹿児島中央間に乗車。
  ・2009.07.24. 同、鹿児島中央→鹿児島/西小倉→小倉間に乗車。
  ・2009.07.25. 同、小倉→門司間に乗車。
  ・2010.08.20. 九州鉄道記念館号撮影で、門司→小倉間に乗車。
  ・2010.08.21. 同、小倉→折尾/西小倉→門司港/門司港→八幡/八幡→陣原→小倉間に乗車。
  ・2010.08.22. 同、小倉→折尾→黒崎/西小倉→門司間に乗車。
  ・2010.11.23. 九州撮影旅行で、西小倉→小倉→鳥栖/鳥栖→博多間に乗車。
  ・2011.08.19. 九州遠征で、新八代→上熊本間に乗車。
  ・2011.08.20. 同、上熊本→大牟田/基山→鳥栖間に乗車。
  ・2011.08.21. 同、鳥栖→博多間に乗車。
  ・2011.08.22. 同、博多→海老津→東福間→小倉に乗車。



● 駅舎写真

門司港駅(2003.03.) 小森江駅(2010.08.) 門司駅(2006.08.)
小倉駅(2006.08.) 西小倉駅(2006.08.) 九州工大前(2010.08.)
戸畑駅(2010.08.) 枝光駅(2010.08.) スペースワールド駅(2010.08.)
八幡駅(2010.08.) 黒崎駅(2010.08.) 陣原駅(2010.08.)
折尾駅(2006.08.) 海老津駅(2011.08.) 赤間駅(2011.08.)
東福間駅(2011.08.) 香椎駅(2006.08.) 吉塚駅(2006.08.)
博多駅(2006.08.) 二日市駅 原田駅(2006.08.)
基山駅(2011.08.) 鳥栖駅(2003.03.) 久留米駅(2006.08.)
大牟田駅(2008.03.) 玉名駅(2008.03.) 上熊本駅(2011.08.)
熊本駅(2003.03.) 宇土駅(2007.04.) 新八代駅(2007.04.)
八代駅(2007.04.) 川内駅(2003.03.) 鹿児島中央駅(2007.04.)新幹線開業前
鹿児島駅(2003.03.)



● おすすめ撮影ポイント

 撮影ポイントは、JR線路線別撮影地鹿児島本線にて紹介している。(このページに戻る際は、ツールバーの"戻る"を使って下さい)



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