名松線

最終更新日2006.09.10.


● 基本データ

 名松線(めいしょうせん)は、紀勢本線の松阪駅から雲出川の渓流沿って、終点伊勢奥津駅に至るJR東海の地方交通線(ローカル線)である。
 鉄道改正鉄道敷設法に「奈良県桜井ヨリ三重県名張ヲ経テ松阪ニ至ル」と計画され、名張と松阪を結ぶことから、名松線と名付けられた。しかし、実際には松阪側より建設がはじまり、昭和4(1929)年8月25日、松阪-権現前間が開業した。同年10月29日からはじまった世界大恐慌により建設速度は落ち、昭和5(1930)年3月30日井関駅まで、昭和6(1931)年9月11日家城駅まで、そして昭和10(1935)年12月5日、伊勢奥津駅まで延伸開業したところで建設は中止されてしまった。戦争の影響や、参宮急行電鉄(現近鉄大阪線)が松阪から名張まで青山トンネルを貫通して直線で結ぶ鉄道を完成させた(昭和5(1930)年)ことが大きな理由となっている。
 戦後も過疎化や近鉄線の路線拡充により、結局名張までたどり着くことはなかった。それどころか乗客は減り続け、第3セクターにしても採算が取れないことから、ついには廃線・バス転換という話が出ることに。国鉄末期には、特定地方交通線第2次廃止対象線区に選ばれていた。昭和57(1982)年8月、三重県全域を襲った台風10号により名松線全線が不通となり、国鉄はバス転換の方針を打ち出し、同年11月に廃止承認の申請を提出した。しかし、熱心な反対運動や、(国道368号線などの)道幅が狭くバスを走らせるのは困難と判断されたことで、復旧作業が続けられ、翌昭和58(1983)年6月に全線の運行を再開。昭和60(1985)年には廃止対象から除外され廃止承認申請が取り下げされた(代替道路未整備を理由に廃止対象から除外された路線として岩泉線がある)。昭和62年(1987)年4月1日、国鉄分割民営化によりJR東海に移管され、現在に至る。



松阪-伊勢奥津間 43.5km

※ 日中7往復程度しかなく、しかも盲腸線ので、乗りつぶしには周到な計画が必要。


[車窓の楽しみ方]
 名松線の0kmポストは松坂駅のホームに書かれているもので、こんなタイプは、はじめて見た。車輌は、1両編成で紀勢線の接続列車からだと座れないくらいになる。
 松阪を出発すると、広々とした平野を走る。松阪から2つ目の権現前からは雑木林の森をいくつか抜けるようになるが、全体的に水田の中を走ってゆく。一志駅から北に約150mの所には、近鉄川合高岡駅があり、近鉄線を利用して大阪・名古屋方面に出ることができそうだ。
 井関を出てトンネルを抜けると、進行(伊勢奥津)方向右側に雲出川とそれが造り出した割と広い平野が、バンと広がるので驚かされる。しばらく川に沿って走るのだが、どんどん登っているような感じ(列車後方より撮影)。
 路線の半ばにある家城は唯一列車交換ができる駅、ほとんどの列車がここで交換をする。また、最近では少なくなった家城でタブレット交換も行われる。家城を出発すると棚田の中にあるS字の線路を登ってゆき、いよいよ杉の森の中へ入っていく。家城付近は美杉町(現松阪市)といっていた位で、とても美しい杉を見ることができる。太く立派な幹は青銅のよう、そして蒼い林が幾重にも重なり、素晴らしい。いっそのこと、美杉線と改称してもいいのでは、と思ったくらいだ。
 伊勢竹原を出発すると後方に君ヶ野ダムを見ることができる。また、進行(伊勢奥津)方向右手には、山の緩やかな傾斜に集落が点在する里山の風情を楽しめる。しばらく、素晴らしい杉の林が続き緊張していたので、ほっとするような気分である。伊勢鎌倉を出ると、いよいよ渓谷が美しくなってくる。鵜が自分の羽で影を作り魚をおびき寄せている光景などが楽しめた。
 伊勢八知が近づくと、進行方向右手に大きなプールが見える。美杉リゾートの施設の一つで、一体が観光スポットになっている。また、温泉も楽しむこともできる。伊勢八知を出発すると貯木場に積み上げられたを見て、さらに、深い渓谷の中へ。伊勢八知-比津間が最も渓谷が深いように思われた。対岸の道路もとても狭く、曲がりくねっていた。
 大きく右にカーブし、集落が増えると終点伊勢奥津駅に到着する。駅舎は杉がふんだんに使われ、気持ちがよい。また、駅構内には給水タンクがあり、SL時代の遺構を見ることができる。駅前に出ると、伊勢本街道の宿場町だったらしく、古くからの街並が続いていた。
 車窓は、進行(伊勢奥津)方向右手が面白い。



JR東海制覇記念



● 乗りつぶし記録

  ・2005.08.19. JR東海攻略作戦で、全線乗車予定が豪雨の為運転中止にあい松阪→一志間に乗車。
  ・2006.08.16. 北九州攻略作戦で、松阪→伊勢奥津間に乗車。完乗達成。
  ・2006.08.16. 同、で伊勢奥津→伊勢八知→松阪間に乗車。往復完乗達成。



● 駅舎写真

松阪駅(2001.09.) 一志駅(2005.08.) 家城駅(2006.08.)
伊勢八知駅(2006.08.) 伊勢奥津駅(2006.08.)



● おすすめ撮影ポイント

 撮影ポイントは、JR線路線別撮影地名松線にて紹介している。(このページに戻る際は、ツールバーの"戻る"を使って下さい))。他、ダム堰を流れ落ちる水と列車が撮影できる家城-伊勢竹原間など。



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