阪和線

最終更新日2012.02.09.


● 基本データ

 阪和線は大阪環状線の天王寺から大阪平野を南下し、和泉山脈を越え紀勢本線の和歌山までと、途中鳳から東羽衣までの支線を持つJR西日本の幹線路線である。

 大阪-和歌山間の輸送は、明治36(1903)年3月21日に全通を果たした南海鉄道の南海本線が絶対的な強みを持っていた。この阪和間の輸送に切り込むため京阪電気鉄道や大阪商船などが出資することにより阪和電気鉄道が設立され、昭和4(1929)年7月18日、阪和天王寺(現;天王寺)-和泉府中間が開通した。南海鉄道に対抗する目的から高速化が求められ、当初から全線電化で複線化がなされていた。また、同時に浜寺に存在した海水浴場(現;浜寺公園)への輸送の為、鳳-阪和浜寺(現;東羽衣)間も開通している。昭和5(1930)年6月16日、和泉府中-阪和東和歌山(現;和歌山)間が延伸開業し全通した。
 阪和電気鉄道時代には南海鉄道に競り勝つ為、早くから高速列車が運行され、昭和8(1933)年12月20日には、大阪−和歌山間をノンストップ45分で走り抜ける電車(当時は「超特急」と呼ばれた)を運行している。これは戦前の電車では最も早い記録(表定速度[区間の平均速度]81.6km/h)である。表定速度においては、戦後の昭和34(1959)年に国鉄特急「こだま」号が東京-大阪間を表定速度83.5km/hで運転するまで、実に26年間破られていない。また、現在でも同区間を走る特急が45分前後で走り抜けていることを見ても、いかに早かったが分かる。
 しかし、南海鉄道が海岸部を走るのに対し、阪和電鉄は、内陸の人口希薄な地域を走るため、区間輸送需要に乏しく、また和歌山自体が京都や神戸に比して都市規模が小さいことから、両社は少ない直通客を取り合うことになり、やがて阪和電気鉄道の経営体力は悪化し、昭和15(1940)年12月1日阪和電気鉄道は南海鉄道に吸収合併されることになり、同社の山手線となった。その後、阪和間の直通路線を有していなかった国鉄に昭和19(1944)年5月1日、戦時買収され、阪和線となった。

 戦後、様々な快速や優等列車が運行されたが、現在は新大阪・京都から紀勢本線にむかう特急「くろしお」や特急「スーパーくろしお」や、同じく新大阪・京都から平成6(1994)年9月4日の関西国際空港開港にあわせて開業した関西空港線に乗り入れる特急「はるか」が阪和線内を走る。また、「紀州路快速」が全線を通して運行され、途中の鳳で関西空港に乗り入れる「関空快速」との併結・分割する形を取っている。新大阪・京都からの優等列車の乗り入れは、平成元(1989)年7月22日天王寺駅構内の改良工事(阪和線→大和路線の渡り線)が完成してからで、平成20(2008)年3月15日、同じく天王寺駅構内の改良工事で関西本線との連絡線が複線化し、大阪環状線に直通する「直通快速」の運転が開始された。
 このように、関西国際空港や紀勢本線へのアクセス路線として、または沿線乗客の輸送と、重要な役割を果たしている。


天王寺-和歌山間 61.3km 鳳-東羽衣間 1.7km 計63.0km

※ 特急・快速・普通ともに本数が多く、乗りつくしは楽。支線の本数も多い。

[車窓の楽しみ方]
 天王寺を出発した列車は、大阪のビジネス街の建物群の中を進んでいく、我孫子町付近から徐々に住宅街が増えてくる。杉本町を出ると大和川を渡り、堺市になる。谷のような地形の底を走るようになり、南海高野線と頭の上でクロスすると三国ヶ丘。三国ヶ丘を出発すると、進行(和歌山)方向右手にこんもりとした森が見えてきて、それが隣の百舌鳥近くまで続くが、それが日本最大のお墓である大山古墳(仁徳天皇陵)である。こうして、鳳になる。

 ここから羽衣支線が分岐するが、鳳の羽衣支線ホームは駅の一番西にあり、大きくカーブをした構造になっている。羽衣支線では専用の列車がのんびり往復をしている。ここで支線の車窓を紹介する。鳳を出発するとすぐに高架になり、大阪市街が車窓に広がり気持ちがよい。国道26号線をまたぎ、進行方向右手前方に大阪湾に架かるが見えてくると、列車は減速し、相対式2面1線のホームで高架駅である東羽衣に到着する。

 鳳からも住宅街の中を進み、東岸和田、東貝塚と過ぎていくが、進行(和歌山)方向左手に生駒や紀伊山地の山々が見える。こうして日野根になるが、日野根から関西空港線が分岐していき、関西空港自動車道や国道が頭の上を通過していく。やがて、阪和自動車道や紀伊山地が近づいてくると和泉鳥取。ここから住宅街から山岳地へと大きく車窓を変える。トンネルと蛇行を繰り返し山を登り、紀伊山地を抜け大阪-和歌山県境を越えると、今度は一転下りになり、紀ノ川が作り出した平野にむかって駆け下っていく。大きく右カーブし、西に紀ノ川の流れに沿って進むようになって六十谷。ここから今度は左にカーブし紀ノ川を渡り、和歌山市街に入っていく。進行方向左から和歌山線が、右から紀勢本線の支線が合流してくると、終点和歌山に到着する。
 車窓は進行(和歌山)方向左右それほど差がないが、個人的には住宅街の先に生駒の山々が望める左側が好きである。



● 乗りつぶし記録

  ・2000.03.20. 近畿旅行で、天王寺→日根野/日根野→和歌山間に乗車。
  ・2000.03.20. 同、三国ヶ丘→百舌鳥間に乗車。
  ・2001.09.08. 南紀・近畿旅行で、和歌山→天王寺間に乗車。
  ・2008.07.19. 近畿完乗作戦で、東羽衣→鳳→東羽衣間に乗車。完乗達成。
  ・2011.01.09. 近鉄乗りつくしで、天王寺→浅香→天王寺間に乗車。
  ・2011.03.11. 大阪撮影&乗りつくし旅行で、天王寺→浅香→天王寺間に乗車。
  ・2011.07.31. 南紀遠征で、和歌山→天王寺間に乗車。



● 駅舎写真

天王寺駅(2006.07.) 杉本町駅(2011.01.) 浅香駅(2011.01.)
堺市駅 鳳駅(2008.07.) 東羽衣駅(2008.07.)
日根野駅(2000.03.) 和歌山駅(2008.07.)



● おすすめ撮影ポイント

 撮影ポイントは、JR線路線別撮影地阪和線にて紹介している。(このページに戻る際は、ツールバーの"戻る"を使って下さい)
 他に、大和川を渡る列車が撮影できる杉本町-浅香間、大阪-和歌山県境に残る自然の中を走る列車を撮影できる山中渓-紀伊間など。



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