因美線

最終更新日2012.02.22.


● 基本データ

 因美線(いんびせん)は姫新線の東津山駅から山陰本線の鳥取駅を結ぶ地方交通線(ローカル線)である。路線の名前は、鳥取の因幡の国、津山がある美作の国からきている。

 大正8(1919)年12月20日、因美軽便線として鳥取-用瀬間が開業したのが因美線のはじまりである。「鉄道敷設法」ではなく「軽便鉄道法」により軽便鉄道として建設されたのだが、軌間(レールの幅)は軽便鉄道のもの(軌間762mm)でなく他の路線と同じ(軌間1067mm)だったのが面白い。大正11(1922)年9月2日、軽便線の名前が取れ因美線に改称。 大正12(1923)年6月5日、用瀬-智頭間が延伸開業した。
 一方、津山からも路線建設がはじまり、昭和3(1928)年3月15日、津山-美作加茂間が因美南線として開業、同時に鳥取-智頭間が因美北線に改称された。岡山-鳥取間の物見トンネルの工事が竣工、昭和7(1932)年7月1日、智頭-美作加茂間が開業し、因美線が全通した。姫津線が姫新線(姫路-新見間)として整備される際、昭和11(1936)年10月10日東津山-津山間が姫新線に編入された。

 昭和62(1987)年4月1日、国鉄分割民営化によりJR西日本に移管された。岡山から津山線、そして因美線と山陽・山陰を繋ぐ路線(陰陽連絡線)の1つとして急行砂丘が走るなど重要路線であったが、智頭から南東に短絡線として智頭急行が整備、智頭-上郡間が平成6(1994)年12月3日に開業すると、岡山・京都からの鳥取への特急は智頭急行経由になってしまった。平成9(1997)年急行砂丘は廃止。
 智頭急行が開業すると、現在は、陰陽連絡線の使命は、因美線・智頭急行経由に移ってしまい、特急が行き交う鳥取-智頭間、普通それも日に7往復ほどの東津山-智頭間、と因美線は2つに分断された感がある。
 完全なるローカル線となってしまった東津山-智頭間だが、(智頭急行が開業した際)有名だったタブレット交換、腕木式信号機などがなくなってしまい、寂しい限りである。
 しかし、ローカル線として切り離されたからこそ、この区間には味わいのある駅が多く、おすすめしたい路線の1つである。

東津山-鳥取間 70.8km

※ 智頭-鳥取間は特急や普通がほぼ1時間おきに走るが、東津山-智頭間は普通それも日に7往復ほどしかないので注意が必要(特に日中)。



[車窓の楽しみ方]
 東津山から出発すると、すぐ姫新線との分岐し、岡山三川の1つ吉井川の支流、加茂川に沿って中国山地に入っていくが、加茂川を見える場所は少ない。
 山を登って美作滝尾、山を下って美作加茂。そして、山を登って美作河井と幾度と山を越え、岡山-鳥取県境を目指す。唸るエンジン音とレールを擦過する音でかなりの勾配を登っているようだが、周囲の山がそれほど急峻ではないので、(関東山地や奥羽山脈の路線に比べて)それほど登っているようには感じられなかった。加茂を出発すると加茂川に沿って走るようになり、車窓には、中国山地の杉を木材を切り出している場所や石を採掘している場所(知和-美作河井間)が写り、社会の勉強をしているようで楽しい。
 途中、美作滝尾は平成7(1995)年に公開された『男はつらいよ』第48作(そして最終作)でロケに使われたので有名な駅である。乗客の中にもそれを知ってる方が多く、駅舎にカメラをむけていた。また、知和駅は駅寝をするの(駅の待合室で宿泊すること)に最適と、車掌さんにすすめられたが、なかなかよさそうだ。また、待合室にあったポスターには、もちろんこの動物。しかし、近いうちに風化しそうだ。
 美作河井を出発すると県境にある物見トンネルに入る、約3kmもあるので暗闇はしばらく続く。トンネルを越えると那岐、中国山地の中にある駅なので木立に囲まれているよう。180度中国山地の山々が取り囲んでいるので、夜、月を見ながら、大きな声を出したら反響していた。那岐のお隣は土師。盆地状の底にある駅なので、晴れたら星がきれいそうだ。
 土師から、智頭急行の路線と合流して智頭。ここから乗り換えとなる。国道53号(智頭街道)と並走しながら、幾度目かの山越えをして、流し雛の里として有名な用瀬。そして、若桜鉄道と合流して、比較的な大きな町である郡家に着く。郡家から国道29号とともに鳥取市街に入っていく、徐々に家や建物が増えてくると終点鳥取に到着する。
 車窓は、進行(鳥取)方向右側が面白い。だが、たまに左側も楽しんでみたい。



● 乗りつぶし記録

  ・2006.03.12. 出雲撮影旅行で、東津山→美作河井→知和→土師→那岐→鳥取間に乗車。完乗達成。
  ・2011.10.10. 山陰遠征で、郡家→智頭間に乗車。



● 駅舎写真

東津山駅(2006.03.) 美作滝尾駅(2006.03.)未下車 美作加茂駅(2006.03.)
知和駅(2006.03.) 美作河井駅(2006.03.) 那岐駅(2006.03.)
土師駅(2006.03.) 智頭駅(2006.03.) 郡家駅(2011.10.)
鳥取駅(1999.03.)



● おすすめ撮影ポイント

 昭和初期の改札が残る知和駅。使われなくなったレールが残る美作河井駅。中国山地の山深い那岐駅など。列車より、むしろ駅をモチーフした写真がおすすめである。



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