何故女性は給湯室が好きなのだろう?
給湯室にお茶を淹れにいくと、数人の女性陣が小声で何か話している。
邪魔をしてはいけない。
小さく黙礼し、設置してあるカップ式の自販機に小銭を投入しようとしたときだった。
ひとりの女性が振り返り、私のズボンのポケットに何かを押し込もうとしてきたのだ。
驚いた私は右ターンでその手から逃れると同時に相手に相対する。バックステップ。2歩の間合いを取る。左肩と左足を心持ち前に出す。右肘を引き、手首を起こして掌底を腰に。迎撃の構えをとり、相手をねめつける。
・・・しかし、何故私は会社の給湯室で戦闘態勢をとっているのであろうか。かなり疑問ではある。
「エイザ、なにしてるの?」
人のポケットに手を突っ込もうとした影が、ニコニコ笑いながら突っ込みをいれてくる。そう、こんなことをするのはO女史しかいない。
「人のポケットに得体の知れないものを突っ込もうとしないでくださいよ」
そもそも、人のポケットに、しかも男性のポケットに手を突っ込もうとする女性なんぞ、めったにいないと思うのだが。
後ろで見ているサトさんとウェバルさん(両方とも女性)がビックリしているじゃないですか。
「えー、得体しれなくないよ〜。失礼だなぁ」
O女史の右手にはうちの工場の製品の小瓶。それをこちらに突き出してくる。
「せっかくだから、エイザにあげようとおもったのにぃ〜」
・・・だまされませんよ、O女史。そんな方法で押し付けようとするのは、何か重大な問題があるからに決まってます。どうせ日付が切れている(賞味期限切れのこと)とかでしょう。
「いや、日付はOKだよ」
・・・あやしい。手にとって確かめたいが、そうしたら最後、押し付けられるに違いない。
そこでウェバルさんが困った顔で教えてくれる。
「・・・日付は大丈夫だけど・・・玄関の展示ケースに入っていたから・・・紫外線焼けしてるらしくて・・・」
「あ、それ言っちゃダメだって!」
充分問題じゃないですか!多少の賞味期限切れなら風味が落ちる程度で済みますが、紫外線焼けだと変質の可能性があるじゃないですか!
「そんなものを押し付けないで下さい!」
「大丈夫!OK!問題ない!」
何故そこでガッツポーズが出るのだ?というより、大丈夫の根拠はどこにあるのだろう。いや、その自信はどこからわいてくるのだろう。
人類の叡智を結集しても、その謎が解けることはないような気がするが。
「それに最悪でもコワれるのはエイザのお腹ですから!」
私にとってはそれが最大の問題であることをO女史が理解する日は何時やってくるのだろうか。
それは西暦が終わって宇宙世紀が黒歴史になり、正暦になっても無理な気がする。
蛇足
事務所に戻り、一服しに喫煙室に入ると、今日もロックさんは喫煙所の床に座り込み、テーブルに置かれたペットボトルを前に、何かをしている。
手にした何かを引っ張って伸ばしているようだ。
「ロックさん、なにしてるんですか」
手にした何かを注意深く引っ張りながら、視線をそらさず答えるロックさん。
「なぁ、ペットボトルのラベルがどこまで伸びるか試してるんだ。癒されるよ〜」
・・・本格的にヤバイ気がするのは私だけだろうか。
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癒し系キャラ、ロックさん良し!
クマ三郎様>ロックさんは「癒し系」キャラではなく、「癒しが必要な」キャラなのでは?そう、Vガンを作っているときのトミノ監督のように…