最近「ウォームビズ」なる単語が流行っている。
要するに暖房を弱めて、エネルギー消費を抑えましょう、地球環境を守りましょう、という運動である。
実にすばらしい。非の打ちどころがない。そう、言葉だけは常に美しいけど・・・。
うちのような古い事務所にはパッケージエアコンがない。ビル全体空調で20℃に設定すると、当然事務所内は18℃を切る。部屋の中にいても寒いのである。
当然、メンバーは作業服の上にジャンパーを羽織ったり、ラグをひざにかけたり、フリースを作業服の下に着込んだりして寒さをしのいでいるのだ。
私は、といえばワイシャツの上に緋色のコットンシャツを着て、その上に作業服を着ている。首周りや袖口から緋色のコットンシャツがのぞいている形だ。
水色の作業服と色のとり合わせが良くないのは承知の上。寒さをしのげるのなら、些細なことは気にしない。
しかし、気になる人もいる。そう、われらがO女史である。
「エイザ〜、だめだよ〜」
突然、O女史が呼び止める。立ち止まる私にO女史がいつものネコじみた笑顔で笑いかける。
「だめだよ〜、会社で手首切っちゃ」
「なに言ってるんですか、そんなことしませんよ」
「でも、袖口真っ赤じゃん」
・・・確かに袖口は赤い。赤いが・・・しかし・・・。
「袖が赤けりゃ、全部血ですか。大体、襟だって赤いんです」
そんなシャツ1着染まるほど出血したら死んでしまうような気がする。
しかし、O女史は笑顔のまま、さらりとスゴイことを言う。
「頚動脈を切っちゃダメですから!」
それは死にます。すぐ死にます。絶対に死にます。
「そんなもん、会社でも家でも切れるか〜!!」
「切ろうよ〜、頚動脈。スパッと」
あんたは切りたいのか、切られたくないのか、どっちなんだ。
「あ、そうそう、手首切るときは『ヨコ』じゃなくて『タテ』ですから」
わざわざ自分の左手首を右手の人差し指でなぞって見せたりする。
「『タテ』に切ると、止血がしにくいのと、縫いにくいのとで効果抜群ですから」
なにが「効果抜群」なのだろうか。そもそも「手首の切り方教室」なぞ始めないでいただきたい。
とにかく、このままだと「手首の切り方教室」が「実習」にまで進んでしまいそうなので、こっちから突っ込みかえす。
「大体、服装については、あなたにだけは言われたくないです」
O女史は作業服の上から、黒いジャンパーを着ている。これはいい。
下に同じく黒いオーバーズボンを穿き、もはや作業服が露出しているところはない。
まぁ、ここまでもいいとしよう。
問題は、ここから。
なぜかホルスタインの様な模様の入った毛布を肩にかけているのである。
「ゲートウェイからもらってきたのはわかります。事務所内ではそれでもいいです。お願いですから、その格好でお客様に会いに行くのは止めてください。」
ウシ柄の毛布を被った美女が広報担当。うちのイメージが崩壊しかねない。いや、きっと崩壊する。間違いなく崩壊する。
「やっぱりダメ?」
「ダメ」
可愛く首をかしげてみてもダメです。もうお互いそんな年じゃないでしょうが。
「じゃ、その赤シャツ勘弁してあげるから」
「してくれなくてもいいから、ウシ柄でお客様に会いに行くのはやめましょう」
可愛らしくウフッとか笑ってもダメです。子持ちなのは知ってます。
「ケチ」
口を尖らせて拗ねないでください。
ここで、突然O女史、満面の笑顔を浮かべる。ポンッと手を打って続ける。
「じゃ、腰に巻くから。ウシ柄スカートならOK!」
「OKなわきゃないじゃないですか!無地とかチェックならまだしも・・・」
「えー、チェックは良くてウシ柄はダメなの〜?なんで〜?」
・・・かくしてレベルの低いファッション談義は続いていくのである。
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エイザさんの会社は全員作業服。で、O女史だけは真紅の皮ツナギ。だと思ってたんだが・・・?
あいあん様>皆さん、O女史を何だと思っているんですか。一応、いい年した大人なのでちゃんとした格好してます。<br>首にドクロのネックレスとか、スパイク付ショルダーアーマーだの、真っ赤な皮ツナギなんぞ着てません。ええ、着てないんだぁぁぁぁ!!(必死)