昼食時。ビビンバをかき混ぜながら、O女史がため息ひとつ。
「なに、ため息なんぞついているんですか」
「うん、週末からの海外出張の件でねぇ」
そう、O女史は仕事で東南アジアの某王国に出張するのである。
「そういえばちょっと政情不安ですよね。デモとかやってましたし」
定食のから揚げをかじりながら聞いてみる。
「ううん、それは大丈夫なの〜」
やはりそうか。暴徒やゲリラくらいではO女史はビビらないか。
「じゃあ、なにが不安なんですか?」
O女史はお手上げのポーズをしながら叫ぶ。
「だって、タヌキと一緒ですよ。出張中、ずーっと一緒ですから!」
・・・確かに出張中ずーっとタヌキ課長と一緒に行動する予定なのだ。私なら絶対逃げる。というより出張やめるかもしれない。
「なぁに、捨ててきちゃえばいいじゃん。山奥にさ」
無責任なことをいうのはナベさん。50過ぎの伊達男。唐辛子をいっぱいかけたカレーを頬張りながらニヤリと嗤う。
うーん、その手があったか・・・。しかし、あんなものを捨てていったら日本の評判が悪くなるのではないだろうか?とりあえず反論してみる。
「産業廃棄物を捨てるな、と王国政府に叱られるのでは」
姐さんが後を引き継ぐ。
「・・・外来種による生態系の破壊が心配ね」
「ブラックバスとか、アメリカシロヒトリとか、セイタカアワダチソウとかそういう奴か・・・」
左手を顎にあてて考え込むナベさん。
「確かに日本の評判が悪くなるのは困るな・・・」
確かに困る。でもタヌキ課長が近くにいるのも大変なのだ。悩ましいところである。
「白い粉でも持たせようか?でもって王国の官憲にチクるとか・・・」
ねぎミソラーメンをすするのをやめて、無茶なことを言うのはワタさん。50過ぎの実直そうなおじさん。しかし時々すごいことを言う。
「言い逃れは上手そうよ・・・おべんちゃらとか賄賂とかもね」
姐さんがため息をつきながら言う。ここまで言われる管理職ってどうなんだろう。
「私に責任押し付けられそうですから・・・残念!」
再度O女史がお手上げポーズ。
仕方がない。私もアイディアを出そう。
「素直にロケットランチャーで飛行機狙うか・・・」
「それ、つまんないです」
いきなりO女史に却下される。しかしテロ行為をつまらないの一言で斬って捨てるO女史もO女史である。
「っていうより、Oちゃんも乗ってるんじゃないの?」
当然出てくる疑問をチョーさんが突っ込む。
「・・・たしかに。私も乗ってますから。残念!」
今頃、気付くなよ。
ここで、ナベさんがニヤリと嗤う。
「せっかくのエイザの人脈が生きるとこだったのに・・・残念だなぁ」
「なんスか、それ?」
思わず食いついてしまうと、ナベさんが楽しそうに続ける。
「やっぱり工作員同士のネットワークとかあるんだろ?」
「知りません、っていうか『工作員』ってなんなんですか!」
「あ、秘密だった?ワリィワリィ」
・・・どうしてどこにいっても「工作員」扱いされるのだろう。
「秘密も何も、そんな事実はありません!」
「いや、3年前の不審船に乗って新潟に上陸したんだよな」
・・・人を勝手に「デブパーマ王朝」の臣民にしないでいただきたい。
というより、なんにでも唐辛子をかける人に言われたくない。
だが、既に解き遅く、チョーさん、姐さん、O女史が口々に勝手なことを言い始めるのであった。
「エイザちゃんって横浜市チベット区出身じゃ・・・」
「○○スタンとか、そういう名前の国の様な気がするけど・・・」
「いずれにしても工作員は確定ですから!残念!」
世の中には「工作員オーラ」とかあって、私はそれを四六時中出しているのだろうか。
でも、そんなオーラを出していたら、工作員失格ではないかと思うエイザであった。
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つまりわしらはシンパってコトかい(笑)
↑あっ、それ読んでて思った(笑)。 「ロケットランチャーで飛行機狙う」とか「工作員」だとか、まるっきり相楽軍曹だのぅ。<br>職場の方々もそういったイメージでエイザ氏をみているのでは?<br>(笑)。
騙されるな!奴は工作員ではない、反体制ゲリラの方だ!<br>…それはそうと、元ネタがわからないですから!残念!
え?かなり有名な歌ですぜ、シークレットエージェントマン。清志郎でしょ。
コメント、ダンケ・シェーンです。<br> あいあん様>ご想像にお任せします>シンパ<br> ともりん様>いや、軍曹よりは正体の秘匿ができている…ハズ<br> クマ三郎様>工作員と反体制ゲリラとどう違うんだ?<br> けんけん様>ご指摘の通りです。アルバムでは清志郎と坂本冬美のデュエットが実にグルービィでした。