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エイザの奇妙な冒険


2006-03-14 「エイザ!お前は女に甘すぎるんだ!もうお前ともこれまでだ!」「そう言うなよ〜♪」

_ 「エイザ!お前は女に甘すぎるんだ!もうお前ともこれまでだ!」「そう言うなよ〜♪」

金曜日の夕方。パソコンとファイルと書類と格闘していると、フミさんが途方にくれた顔で近づいてくる。

フミさんは昨年度入社の女性社員。小柄で色白、青いセルフレームが知的なお嬢さんである。

しかし、クマ三郎くんの偏愛する所謂「めがねっ娘」ではない。いつも丁寧な口調だが隙がない。相手を追い込まずに状況をうまくコントロールする「腹黒メガネ系」。フミさんがこうやって近づいてくるときは、たいていろくなことにならないのである。

それはともかく、近づいてきたフミさんがにっこり笑って尋ねてくる。

「エイザさん、お時間ありますか?」

「ない!」

即答する。フミさん相手に情けは無用である。

「実は困っているんです〜」

・・・キミは困ったときしか来ないだろう、という言葉は飲み込んでおく。

「実は・・・運動会の件なんですけど・・・総務からのメンバーが足りないんです〜」

フミさんは困ってまーす的な口調で続ける。何度この口調にほだされ、だまされ、こき使われたことか。今日はだまされないぞ!

 ここで説明せねばなるまい。うちの工場では年に何回か、労働組合と共催でいくつかの懇親イベントを開催している。そのうちのひとつが「運動会」である。「運動会」といってもたいしたものではなく、夕方に開催。2つくらいの種目で競い合う、というものだ。

ちなみに去年の種目は「綱引き」と「玉入れ」。私は「綱引き」に参加させられ、翌日全身筋肉痛に苦しんだ記憶がある。

「運動会って、今日か?」

「はい」

・・・今日やるイベントのメンバーを今日集めるな、という言葉は飲み込んでおく。

「私は不参加にしておいた、と思うが」

ちょっとイジワルな口調で切り返す。しかしフミさんはまったく動じた気配もなく、助けてー的口調で答える。

「実は・・・参加予定のムジナ部長とキツネ課長が外出先から戻って来ていないんです。で、総務からの参加者がひとりもいないので・・・」

「総務のメンツが立たない、ってことか・・・」

仕方ない、一肌脱がないわけにはいかないか。

・・・なんか、だまされてるぅ〜。

会場の体育館に行くと実行委員のヨッシーと労働組合の支部長が待っていた。支部長曰くヨッシーに頼まれて連れてこられたとのこと。フミさんもヨッシーも「準備不足」である。総務の仕事は「前捌き」だと、何度も言ってるだろーが!少しは「学習」しろ!プラナリアだって「学習」するんだぞ!

「では、運動会をはじめまーす」

長髪、メガネのヨン様似の実行委員の宣言で運動会が始まった。種目は「変わりモノリレー」と「長縄跳び」。「長縄跳び」はわかるけど「変わりモノリレー」ってなんだ?

「リレーは1チーム15人で行いまーす。人数は足りてますかー」

ええ、ギリギリですが何とか足りてますよ。我々は「青チーム」だそうで、S・Kの2研究所と総務の寄り合い所帯である。で、なぜかフミさんからタスキが回ってきたので、首に掛けておくことにする。

「では、最初の2人は『二人三脚』で向こうのコーンを回ってくださーい。続いて次の2人は大玉を押してくださーい。次の3人は台車を押してくださーい。」

・・・確かに変わったリレーだわ。

しかし、解説は続く。

「次の3人はお玉に入れたピンポン玉を落とさずに運んでくださーい。で、最後の5人は「馬跳び」しながらゴールしてくださーい」

これはアンカー用タスキですか・・・ということは馬跳び確定ですか・・・。一番疲れそうな種目だ・・・イヤだなぁ。

「では、位置について!よーい、ドン!」

ピストルの音とともに4チームいっせいにスタート。と同時にスピーカーから「トランペット吹きの休日」が流れ出す。

・・・いかん、この音楽を聴くと、無性に走りたくなってしまう!行くぞ野郎ども!狙うは1等、それだけだァァァッ!!

というわけで、うちのチームはめでたく1等になり、50点獲得したのであった。

「では、次は長縄跳びでーす」

ヨン様(仮)がマイクにむかって叫ぶ。こちとら20年ぶりに馬跳びなんぞしたので、息が上がっているのですが・・・。

しかし、ヨン様(仮)はお構いなしに続けた。

「ルールは簡単。3分間に何回跳べるかを競います。点数は跳んだ回数×跳んだ人数でーす」

・・・ていうと、8人で7回多く跳ばれたら、50点差はパー。何のためのリレーだったんだ、と言う言葉は飲み込んでおく。

こうなったらヤケクソ。縄跳びでも何でも跳んでやる!

「では、位置について!よーい、ドン!」

ピストルの音とともに4チームいっせいに長縄跳びを跳び始める。しかし、これがツライ。10回も跳ぶと足が疲れてくる。20回跳ぶと膝が上がらなくなってくる。

誰か、引っかかってくれないかなぁとか考えるが、誰も引っかからない。30回、息が切れてくる・・・もうダメだ〜。

が、BGMは「ロッキー 愛のテーマ」。う、このくらいで弱音を吐いてはいかん!悔しいけれど、ボクは男なんだな・・・。エイドリアーン!

気がつくと、60回ちょっと跳んだところで、誰かが力尽き、縄の回転が止まる。研究所の若いメンバーと交替して、地獄の長縄跳びから逃れることができたのだった。

結果、我々は800点を獲得、長縄跳びも1等、そして総合優勝の栄冠も勝ち取ったのである。

しかし、私には気になることがあった。リレーには参加し、3人がかりでピンポン玉を運んでいたフミさんが、なぜか長縄跳びの時にはいなくなっていたのである。

「フミさーん!どうして縄跳びのとき、いなかったのよ?」

しかし、フミさんは悪びれずにこう答えるのだった。

「あら、バレてました?疲れるので、隠れていたのに♪」

そして、笑顔で続ける。

「まぁ、懇親会でビールでも飲んで、細かいことは忘れてしまいましょうよ♪」

・・・おのれ!7回生まれ変わっても、忘れねーぞ!

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
_ クマ三郎 (2006-03-14 23:20)

「どっちにつく?」「女ァ〜!」「だろうな!」

_ エイザ (2006-03-15 21:01)

クマ三郎さま>さすがに今回の元ネタはすぐわかったか。<br>結構わかりにくいと思って、後のセリフを追加したのですが。<br>今度、タイトル元ネタクイズでもやりましょうか。


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