今日は工場の「方針説明会」。要するにエライ人が今期のテーマだの目標だのを工場メンバーの前で説明をする会である。そろそろ集合時間だ、と席から立ちあがろうとするといきなり電話が鳴る。
電話を済ませ、急いでいかなきゃ、と立ちあがろうとするとまたもや電話。見回すと誰もいない。みんな会場である体育館に行ってしまったようだ。
・・・ひょっとして私まで体育館に行ってしまうと事務所がカラになってしまうのでは・・・。どうしてうちのエライ人はこんな簡単なことに気が付かないのであろうか。しかたがないので自主的に留守番することにする。後で怒られたらそのときだ、・・・ってこういうことで怒られる覚悟をしなけりゃいけないのもウツである。
こういうときに限って電話が鳴りまくり、応対に追われたりする。約2時間後に総務メンバーが戻ってきたときには電話メモだらけ。しかも自分の仕事は全然、進まない。気分的に疲れた2時間であった。
そして昼休み。お昼のビビンバ丼の半熟卵を崩しながら、ナベさんに尋ねてみる。
「ナベさん、今日の方針説明会、どうでした?」
50過ぎのリーゼントダンディ、ナベさんは辣油で真っ赤に染まったちゃんぽんから顔をあげて答えた。
「あ〜そうだなぁ、ヒヤヒヤしたよ。」
「へ?」
なんだ、そりゃ?私はどんなことを言われたのか、聞きたいんですが。
しかし、ナベさんはそのまま続ける。
「ホラ、体育館、雨漏りしてるからさ。エライ人の頭に雨漏りしないか、ヒヤヒヤしてたよ」
・・・なんだそりゃ。まぁ、設備担当としては気になるのはわかります。しかし私が聞いているのはそうじゃなくて・・・。
「いっそのこと、エライ人がずぶ濡れになればよかったんだよ」
ちゃんぽん――ただし辣油なしなのでスープが白い――をすすっていたワタさんが口を挟む。
同じく50過ぎ、ヒゲのない波平さんといった風貌のワタさん。穏便な口調でさらりとムチャクチャいう。
「いや、そりゃそうだな。エライ人がずぶ濡れになったら補修費予算もおりるだろうし」
「エライ人も、工場長じゃなくて、専務とか常務じゃないと」
「いっそのこと、次回は来賓席の上あたりに穴でも、開けとくか」
「で、前の夜からバケツかなんか仕掛けておくとか」
いきなり悪巧みを始める総務ベテランコンビ。いや、私の聞きたいのはそんなことじゃなくて・・・
「いや、話の内容はどうだったかなぁ〜って、聞いたつもりなんスけど・・・」
それまでいかにして体育館の雨漏りで来賓席を水浸しにするか、方法を検討していた2人がこちらを振り向く。
「スピーカーの声がワレてて、よく聞こえなかった」
「いやー、キレイごとだね。それしかおぼえてない」
この工場大丈夫かしら、と不安になるエイザであったが、ベテランコンビによる検討は次の段階に移っていく。
「じゃあ、スピーカーも直したいよな」
「それも2ヶ所じゃなくて6ヶ所ぐらいに分散させないと、よく聞こえないよ」
まぁ、プロ意識・改善意識は充分のようではあるが。
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>6ヶ所ぐらいに<br>サラウンド体育館スピーカーシステム、カッコイイ。
コメント、バリガド(グロンギ語?)<br>アカン、ホントにネタ切れ。<br>クマ三郎様>体育館みたいな広い空間だと、エコーがかかって聞き取りにくいんだ、これが。