「ふぁ、ふぁ、ぶわっくしょん!」
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホゴホッ!」
「ズルズル、ズビズバーッ!」
季節の変わり目。それは、激しい気温と湿度の変化のため、風邪をひきやすい時期ではある。しかし・・・。
「雨降ってるのに、なんで空気が渇いてるのよ!」
「昼飯、食いに行ったら、外の方があったかいんだもんなぁ」
季節にも、人間にも合わせることのできないビル空調のせいで、風邪をひく人が続出である。あっちでクシャミ、こっちはセキ、向こうの人は鼻水をすすり、そっちの人はティッシュペーパーが手放せない、ある意味「地獄絵図」である。・・・少し大げさかもしれないが。
そして、私の正面に座っているサイさんは、クシャミ・鼻水・鼻詰まりの三重苦状態で、冒頭の効果音を奏でているのである。
「サイさん、お願いだから、うつさないでくださいね〜」
サイさんの隣に座るチョーさんが苦笑しながら言う。扁桃腺の手術をしたばかりのチョーさんからしてみれば、死活問題ではあるが、当のサイさんはぶっきらぼうに答える。
「そんなこと、(ズルズル)コントロールできるわきゃ、(ズビー)ねーだろ(ズバー)。」
全くその通りである。ちなみに途中に入る効果音は、鼻水をすすったり、洟をかんだりしているからである。
「うーったく、(ズビー)鼻水が止まらねぇ(ズバー)」
机の上に置かれたティッシュを1箱/1日ペースで消費しながら、サイさんがぼやく。チョーさんはもはや処置なしとみて、あごに下げていたマスクを引き上げる。相手の善意に頼るより自己防衛。これは風邪の予防から国防問題まで有効な心構えといえる。
「エイザちゃんは、大丈夫?」
マスク越しのぐぐもった声で、チョーさんがて尋ねてくる。確かに少し体調を崩しかけているところはあるが、まだ問題になるほどではない。
「今のところは大丈夫ですよ。いつまで持つか、分かりませんが」
少し片頬を歪めて続けてみたりする。
「まぁ、『バカが風邪ひかない』そうですから」
するとチョーさんがニコニコと返してくる。
「僕もなんだ、なんだ仲間じゃん!」
すると、チョーさんの向かいに座っていたチュンリさんもニコニコしながら続ける。
「わたしもなんです。な〜んだ、エイザさんも仲間じゃないですか!」
・・・今にも肩を組んで「俺たち、ボンクラーズ!」とか言い出しそうな一体感。非常にいい雰囲気が3人の間に共有される。
「あ〜、(ズルズル)俺はバカじゃないんだ(スバー)。よかったぜ(ズビー)。」
そして、サイさんはスビスバ洟をかみながら、ボンクラーズを冷ややかな目で眺めながら、つぶやくのであった。
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ちっちっち。<br>何とかは風邪をひかないのではない、風邪を知らんのだよ。