可部線

最終更新日2010.09.04.




横川-可部間 14.0km

※ 朝夕に緑井止の列車があるが、距離も短く20分おきに運行されているので、乗りつくしは容易にできる。
● 基本データ

 可部線は、山陽本線の横川から分岐し、太田川に沿って北上し広島市北部の可部に至るJR西日本の地方交通線(ローカル線)である。可部から先、三段峡まで路線は延びていたが、この区間は平成15(2003)年12月1日廃止されている。
 可部線の歴史は、日本最初の乗合バスが明治36(1903)年1月に横川-可部間で営業を開始したものが基本となっている。路線のほうは、明治42(1909)年12月19日大日本軌道が広島支社線として横川-祇園(現;下祇園)間を開業させたのにはじまる。この時は、軌道法に基づいて建設され軌間762mmの蒸気機関車による軌道線であった。翌明治43(1910)年11月19日古市橋、同年12月25日太田川橋(現;上八木)、太田川の架橋工事が完成し、明治44(1911)年6月12日可部町(現;可部)間が開業した。
 大正8(1919)年3月11日同区間が可部軌道に譲渡され、更に可部軌道は大正15(1926)年5月1日広島電気に合併された。広島電気時代にこまめに改軌(762mm→1067mm)・電化(直流600V)(それに伴う経路変更)が行われ、昭和5(1930)年1月1日太田川橋完成により、全線改軌・電化が完成した。しかし、昭和6(1931)年7月1日広浜鉄道へ譲渡されることになる。
 路線建設より前、明治29(1896)年12月広島県加計村(現;加計町)の住民らが"広島から加計を経て浜田(現;浜田市)まで"の鉄道の敷設願いを政府に提出した。これを受け政府は、大正11(1922)年4月11日に公布された改正鉄道敷設法で「広島県広島付近ヨリ加計ヲ経テ島根県浜田付近ニ至ル鉄道」(別表第94号予定線)と規定した。これにより、昭和11(1936)年9月1日、横川-可部間が買収・国有化され、可部線となった。
 可部より先の路線は国鉄によって建設されることになり、昭和11(1936)年10月13日可部-安芸飯室間が開業、以降戦後になって昭和21(1946)年8月布まで、昭和29(1954)年3月30日加計までが延伸開業した。この際、坪野-田之尻間で国鉄路線延長が2万kmに達するという記念すべき場所となったが、新規開業するも乗客数は伸び悩み、昭和43(1962)年9月4日、可部-加計間(32.0km)が「赤字83路線」に挙げられ廃止勧告を受けることになってしまった。勧告を受けるも建設は続き、昭和44(1969)年7月27日三段峡まで延伸、横川-三段峡間(60.2km)が開業した。その後も山陰本線の浜田駅を目指し、今福線として建設が進められたが、国鉄再建法の施行(昭和55(1980)年)により工事は中断。現在でも所々に遺構が残る。
 昭和62(1987)年4月1日国鉄分割民営化によりJR西日本に移管されたが、非電化の可部-三段峡間は赤字が続き、JR西日本は同区間の廃止の意向を決めた。しかし、地元の要望を受け入れ、平成12(2000)年11月、104日間に及ぶ列車の試験増発が行われた。しかし目標としていた輸送密度(1日1kmあたり)800人には達しなかった(759人)。更に平成13(2001)年4月から1年間、同様に試験増便が再開されたが、輸送密度は487人にとどまり、廃止の方針が発表された(平成14(2002)年5月27日)。こうして、平成15(2003年)11月30日、同区間は廃止。これはJR初となる廃線となった。その後、地元自治体を中心とする同区間の第三セクターへの移行も検討されたが、資金難等により断念された。
 可部以南では、太田川放水路建設の為、昭和37(1962)年10月1日、横川-安芸長束間の路線の付け替えが行われるなどした。最近では、平成3(1991)年3月16日全列車が広島(更には呉線に)に乗り入れ、平成6(1994)年8月20日アストラムラインの開業により、大町駅が開業した。
[車窓の楽しみ方]
 可部線の始発駅は横川駅、ただ元は私鉄路線で、国鉄時代は貨物も扱っていたので山陽本線のホームからやや離れている。路線の始発を示す0kmポストは可部方向にある。
 横川を出発した列車は、太田川(放水路)を渡る。トンネルをくぐり再び太田川沿いを走ると最初の駅三滝に着く。太田川の対岸に広島市街が広がり、とても気持ちのよい風景が望める。また、三滝のホームでは、吹き抜ける風も心地よかった。しばらく、川と並走するが、安芸長束に近づくと離れていく。
 安芸長束から住宅街の間をぬうように走り、まるで専用軌道を走る路面電車のような感じであった。進行(可部)方向左手に広島市の西に広がる山があり、家々の間から山が見え、徐々に近づいてくるようになる。
 高架路線になると大町。駅の更に上層には、広島新交通アストラムラインの高架がある。高架を下り、川を渡り山陽自動車道が上を通過すると緑井に着く。
 七軒茶屋を出発すると進行(可部)方向右に道路があわられ、しばらく並走するので、ますます路面電車に乗っているように感じる。梅林を出て、道路は左に移り上八木を出ると離れていった。再び太田川を渡ることになる。進行(可部)方向左手に一緒に渡る国道54号の鉄橋もなかなかよい。渡った後、進行(可部)方向左手に国道54号が寄り添い、終点可部に到着する。
 可部駅(ホーム)は十手のような形をしており刀止め部分に列車が発着する。廃線となった長い部分にも線路が残っており、その先から、今にも列車が来そうであった。
 車窓は、進行(可部)方向左の方が太田川が望めるので楽しい。



● 乗りつぶし記録

  ・2007.03.30. 南九州攻略作戦で、横川→可部に乗車。完乗達成。
  ・2007.03.30. 同、可部→横川に乗車。往復完乗達成。
  ・2010.08.23. 九州鉄道記念館号撮影で、大町→横川間に乗車。



● 駅舎写真

横川駅(2007.03.) 三滝駅(2007.03.) 大町駅(2010.08.)
梅林駅(2007.03.) 上八木駅(2007.03.)未下車 可部駅(2007.03.)



ともりんが行ってみたいおすすめ撮影ポイント

 太田川を渡る上八木-中島間など。



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