呉線

最終更新日2006.09.17.


● 基本データ

 呉線は、山陽本線の三原駅から港町呉を通って同線の海田市駅に至るJR西日本の幹線路線である。呉線の歴史は、師団司令部が置かれた軍都広島と軍港呉を結ぶ必要から路線の西側である海田市-呉間が、官営の呉線として明治36(1903)年12月27日開業した。後に山陽鉄道に貸渡され(明治37(1904)12月1日)、明治39(1906)12月1日国有化、国有鉄道線路名称制定で明治42(1909)年10月12日、同区間が呉線となった。そして、昭和10(1935)年3月24日広まで延伸している。
 路線の東側である三原-呉間の建設が着手されたのは遅く、三呉(さんぐ)線として三原-須波間が、昭和5(1930)年3月19日開業した。その後、昭和6(1931)年4月28日安芸幸崎まで、昭和7(1932)年7月10日竹原まで、昭和10(1935)年2月17日三津内海まで延伸した。同年11月24に広まで路線が延び全通。三呉線を呉線に編入する形で、現在の路線が完成した。
 呉周辺は、海軍の呉造艦工廠があるなど沿線には多くの軍事施設が存在するので、軍艦や軍事機密が見えないように、戦前・戦中は列車の窓の鎧戸を下ろすよう命じられていたことは有名な話である。また、戦時中、軍港呉に物資を運ぶため複線化が計画され、レールが敷かれる直前まで準備がなされていたが、戦局の悪化で中止、そのまま終戦を迎えることになった。
 並走する山陽本線の同じ区間が、急勾配が連続している為、戦後山陽本線のバイパスとして利用され、昭和45(1970)年9月15日には電化されている。しかし、最近では呉をはさんで東西で大きく様変わりした。
 路線の西側、海田市-呉間は広島都市圏として沿線の開発が急速に進み、通勤・通学輸送が主体となっている。この区間のほとんどの駅にすれ違い設備が整えられ、増便に対応しているが、単線では限界に近いダイヤが組まれている。現在、呉以西の複線化が検討されている。
 一方、路線の東側の三原駅-広駅間は、海のすぐ近くまで走る区間が多く、観光路線としての性格を持つようになり、公募により"瀬戸内さざなみ線"という愛称が付けられた。瀬戸内海の眺望が最もよい、安芸幸崎駅-忠海駅間は、25km/h程度の低速で走行することで、乗客サービスに努めている。これには、(この区間に並行する道路がないため)保守コスト削減の一面もあるようだ。景色がよい、本数が少ないなど、ローカル線の風情を醸し出している。
 平成17(2005)年10月1日から観光列車として、快速「瀬戸内マリンビュー号」の運転が開始された。快速だが、平成18(2006)年3月18日のダイヤ改正で、広-三原間が各駅停車になった。「瀬戸内マリンビュー号」はキハ47形気動車を改造しており、電化されている全区間で、気動車が走行するのは全国でも珍しい。
 珍しいと言えば、本来駅本屋(駅長室)があるほうから1番線、2番線…と付けていくのが普通だが、呉線各駅の乗り場は、駅本屋の場所に関係なく上り本線から1番線、2番線…の順となっている。



三原-海田市間 87.0km

※ 三原-呉間は1時間に1本、呉-海田市間は快速(通勤ライナー・安芸路ライナー)
を含めて15分間隔の運転となっている。落差が激しいが、乗りつくしは容易。



[車窓の楽しみ方]
 三原から西に出発する列車は105系が使用されることが多い。三原から出発した列車は、高架を走り山陽本線と分かれ、南に進む。その後、三原市街を走り沼田川を渡る。川を渡ると、すぐに海岸沿いの丘の上を走るようになり、進行(海田市)方向左手遠方には、しまなみ街道の大きな橋が見えるなど眺めがよくなる。全線で進行方向の左手に海が広がる。
 三原から15分ほど、安芸幸崎を出発すると呉線最高のビューポイント、安芸幸崎-忠海間を通過する。穏やかな瀬戸内の海は美しい。私は、小学4年から中学2年まで瀬戸内の海を見ながら育ったので、とても懐かしい気がした。何だか包み込むような穏やかさである。この区間は、是非「瀬戸内マリンビュー」に乗車して楽しんで貰いたい。瀬戸内の眺望が楽しめるように車内が改造されているので。2両編成だが、1号車は自由席なので席は気にしなくてもよいが、やや混雑するのが残念なところである。ビューポイントを通過すると忠海、はい、ただのうみ(笑)。安芸長浜駅近くには竹原火力発電所があり、家が増えてくると、竹林や街並みが残る竹原に着く。
 竹原から山の中へ、安芸津で再び海沿いを走りドッグかきの養殖場などが見える。ここら辺から、海・山・海の繰り返し、山の中の路線は大きく蛇行し、できるだけ海に沿って走りたがっているよう。また、時々見えるのだが、家屋の瓦からのぞく海は心地よい。路線が街に近づくと造船所が見えるなど、この沿線は造船に密接に関わっているようだ。
 仁方駅に近くづと、下蒲刈島に渡る安芸灘大橋が見え、そうして広駅に着く。広駅からしばらくして黒瀬川を渡り、安芸阿賀駅。ここから長いトンネルを抜けると、呉市街が広がる。大きくカーブして川を渡ると、呉駅に着く。
 呉駅の駅名標が示す通り、ここは戦艦大和が誕生した街。10分の1戦艦大和が展示されている大和ミュージアムは、駅から徒歩で10分ほど。館内には、零戦や特殊潜航艇海龍が展示されており、戦争について深く勉強することができる。また、ミュージアム裏に出ると、呉港が一望できる場所があり気持ちがよい。
 呉からは105系の他に、115系(広島色)が加わる。また、ここから本数がぐんと増え、快速(通勤ライナー・安芸路ライナー)は普通より5分ほど早く広島に着ける。呉駅から大きく左にカーブし、進行(海田市)方向左か後方に呉市街が見えるが、どんどん遠ざかる。
 しばらくすると再び海に沿って走り、近くに島が見えるが、これが江田島。そして、路線と江田島間の海が音戸瀬戸になる。観光施設の呉ポートピアや多くの海水浴場があるなど、絶好の観光ポイントになっているようだ。広島湾の雄大なを眺め、瀬野川を渡ると、終点海田市駅に到着する。
 海が進行(海田市)方向左手に広がるので、車窓は左側が絶対によい。



● 乗りつぶし記録

  ・2006.08.20. 北九州攻略作戦で、海田市→呉→三原間に乗車。完乗達成。



● 駅舎写真

三原駅(2006.08.) 竹原駅(2006.08.) 広駅(2006.08.)
呉駅(2006.08.) 海田市駅



ともりんが行ってみたいおすすめ撮影ポイント

  何と言っても、海沿いギリギリを走る安芸幸崎-忠海間。他、海沿いを走るので撮影ポイントは多そう。



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