気仙沼線

最終更新日2008.01.29.





前谷地-気仙沼間 72.8km

※ 快速は1時間、普通なら2時間かかるので、時間短縮をはかるのなら快速を選びたい。
また、前谷地-本吉間で午前中本数が極端に少なくなるので注意が必要。
● 基本データ

 気仙沼線は、石巻線の前谷地駅から三陸海岸に沿って走り、大船渡線の気仙沼駅に至る地方交通線(ローカル線)である。
 大正11(1922)年4月11日に公布された改正鉄道敷設法に「宮城県気仙沼ヨリ津谷、志津川ヲ経テ前谷地ニ至ル鉄道」と規定され、昭和に入り北の気仙沼から南の前谷地の両方から建設がはじまった。戦局の悪化で一時中断しているが、戦後建設が再開した。
 北からは気仙沼線として建設がはじまり、昭和31(1956)年4月11日に開業した大船渡支線の気仙沼-気仙沼港間に南気仙沼駅を設定し、昭和32(1957)年2月11日南気仙沼-本吉間が開業した。この際、気仙沼-南気仙沼間、南気仙沼-気仙沼港間が気仙沼線に編入された。一方、南の前谷地からは柳津線として建設がはじまり、昭和43(1968)年10月24日前谷地-柳津間が開業した。
 以降、国鉄再建の動きが加速し、赤字が見込まれる全国の路線の廃線、または建設が中止、そして第三セクター化がはかれるようになり、気仙沼線の残る区間の建設も危ぶまれるようになった。しかし、昭和52(1977)年12月11日柳津-本吉間が開業し、全通した。国鉄線としては、「滑り込みセーフ」といってもよいだろう。ということで、ローカル線としては、比較的新しい路線である。
 路線の起点が前谷地駅であるが、ほとんどの列車が石巻線に入り、小牛田駅が始発駅・終着駅となっている。仙台から気仙沼を結ぶ目的で建設された大船渡線が政治的な思惑の結果、大きく蛇行する路線となってしまった。代わりに気仙沼線が仙台と気仙沼や南三陸の都市と結ぶ使命を帯びるようになり、仙台から気仙沼までを快速(「南三陸」)が運行されるなどしている。
 比較的新しい路線なので、新型の気動車(キハ110系など)が投入されているが、国鉄時代の気動車(キハ48など)が現役で元気に働いているので楽しい。


[車窓の楽しみ方]
 前谷地駅の0kmポストを見ながら列車がスタートすると、石巻線と分かれて大きく左カーブをする。前谷地の集落はすぐに切れ、広大な水田地帯が広がるようになる。隣の和渕駅を過ぎると江合川、のの岳駅を出発すると迫川など、北上川の支流をいくつか渡りながら列車は進んでいく。これらの川は路線の東に流れる旧北上川にすぐ合流する。列車から旧北上川が見えないが、車窓の東には小高い山が連なるように見えるのでその麓を流れていることが分かる。そして、川幅の広い北上川を渡ると柳津(やないづ)に着く。
 柳津は昔の柳津線(前谷地-柳津間)の終着駅。つまりここから先は、後年作られた訳で、今までの車窓とはがらりと変わり水田地帯から山の中のものとなる。急勾配を登るようになってくるが、橋脚などが比較的新しいものなのでこの区間が昭和50年代に作られたものだと分かる。陸前横山駅を出るとすぐに長いトンネル(横山トンネル)に入る。初めは登り勾配だったものが、やがて下り勾配になりトンネルを出ると陸前戸倉になる。陸前戸倉を出て1つ目のトンネルを抜けると、急にが広がる。しばらく内陸部を走っていたので、これには驚かされる。しかし、リアス式海岸を走る路線ゆえ、ゆっくり海を楽しみことができず、言うならば海・トンネル・海の繰り返しであろうか。集落が増えてくると歌津駅に着く。
 歌津駅からは地図上では海岸部を走っているが海が見える場所は少なく、断続的にトンネルが続き、トンネルを抜けると盆地状の土地になり家屋や集落が見え、再びトンネルに入り、時々海が見える程度になる。前谷地を出発してから約1時間、津谷川を渡ると本吉駅に到着する。
 本吉から先、大谷海岸までが気仙沼線の車窓のハイライト、美しい海岸線に沿って走るようになる。入り組んだ地形のリアス式海岸では珍しい砂浜が見えたり、また海が深くなりエメラルド・グリーンの海面が見えたりと変化が大きくて面白い。同じ、リアス式海岸でも青森県東岸を走る八戸線のものと比べて、景色が穏やかなのが分かる。気仙沼の人によれば、北に行けば行くほど、リアス式海岸は険しくなるのだそうだ。分かるような気がする。
 大谷海岸からは平地を走るようになり、その先に海が見えるような風景に変わる。そして、気仙沼市街を流れる大川を渡ると南気仙沼駅に到着する。こちらの方が中心街に近いのか、多くの乗客が降りていった。
 南気仙沼より路線は⊂の字のように、市街地を包むように登りながら走っていく。途中にあるのが不動の沢駅。ここは市街地の外れになるのは、ホームの端で夜星景を楽しむことができた。大きくカーブし、再び大川を渡ると、駅周辺の住宅街が広がり、大船渡線と合流すると、終点気仙沼駅に到着する。
 海のギャングと恐れられているサメだが、そのヒレが高級中華食材であるフカヒレになることも知られている。ここ気仙沼ではサメ類の九割近くを占める日本一の水揚げ港で、もちろんフカヒレの生産量も日本一なのだそうだ。なので、駅前には町のシンボルとして灯台、そしてサメが元気に泳いでいる。



● 乗りつぶし記録

  ・2007.11.23. 東北完乗作戦前谷地→気仙沼間に乗車。完乗達成。
  ・2007.11.23. 同、不動の沢→南気仙沼→気仙沼間に乗車。



● 駅舎写真

前谷地駅(2007.07.) 南気仙沼駅(2007.11.) 不動の沢駅(2007.11.)
気仙沼駅(2007.11.)



● おすすめ撮影ポイント

 撮影ポイントは、JR線路線別撮影地気仙沼線にて紹介している。(このページに戻る際は、ツールバーの"戻る"を使って下さい))。
 他に、列車が北上川を渡る御岳堂-柳津間、三陸海岸をゆく列車が撮影できる小金沢-大谷海岸間など。



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