花輪線

最終更新日2008.01.30.


● 基本データ

 花輪線は、IGRいわて銀河鉄道線の好摩駅から、安比高原、十和田南を通って奥羽本線の大館駅に至る地方交通線(ローカル線)である。
 福島駅から青森駅までを東北本線と奥羽本線が東北地方を大きく並走する。これらを連絡する5つの路線のうち最も北にあるのが、この花輪線である。ただ、平成14(2002)年12月1日に東北新幹線の盛岡-八戸間が開業した際、岩手県内の東北本線(盛岡-目地間)がIGRいわて銀河鉄道に移管された為、厳密には東北本線には連絡していない。JR東日本盛岡支社管轄路線としては「飛び地路線」となっている。しかし、(途中駅を発着する数本の列車を除いて)花輪線内を走る全ての列車が、IGRいわて銀河鉄道に乗り入れ盛岡発着となる。花輪線沿線の乗客は盛岡にむかう際、自動的にIGRいわて銀河線の割高な運賃を(別途)払わなければならないので、問題となっている。
 路線の建設は、大館からは秋田鉄道が、好摩から国鉄花輪線として両端からはじまった。先に開業したのは大館側で、大館-扇田間が大正3(1914)年7月1日に開業した。大正4(1915)年1月19日には大滝温泉、同年12月25日には初代毛馬内(現;末広)、大正9(1920)年7月4日には2代目毛馬内(現;十和田南)、大正12(1923)年11月10日には路線のむきを変え陸中花輪(現;鹿角花輪)まで延伸開業した。このうち、毛馬内(現;十和田南)-陸中花輪(現;鹿角花輪)間は、改正鉄道敷設法(大正11(1922)年4月11日に公布)に規定された予定線「青森県三戸ヨリ秋田県毛馬内ヲ経テ花輪ニ至ル鉄道」の予定線を一部カバーする形になった。
 一方、好摩からは平館までが大正11(1922)年8月27日に開業、以降大正15(1926)年11月10日には赤坂田、昭和2(1927)年10月30日には荒屋新町、昭和4(1929)年10月25日には田山、昭和6(1931)年10月17日には陸中花輪まで延伸開業して、既設の秋田鉄道に接続した。昭和9(1934)年6月1日に秋田鉄道を国有化し花輪線に編入、現在の形が完成した。
 東京から青森を結ぶ東北自動車道は、八甲田山系を避ける為、盛岡から先十和田湖の西を通り弘前を経由して青森市街地へ入っていく。花輪線の好摩から十和田南までの区間はこの東北自動車道と並走する形になっている。これゆえ、高速バスなどに乗客が取られているのが現状である。しかし、沿線には八幡平、安比高原や湯瀬温泉などの観光地も多く、快速列車「八幡平」を走らせたり、十和田八幡平四季彩ラインの愛称を付けるなど、JRも力を入れている。

好摩-大館間 106.9km
※ 全線を乗りつくすには2時間半近くかかる。
また、日中本数が少なくなるので注意が必要。
[車窓の楽しみ方]
 花輪線の始発駅は好摩(こうま)駅。有名な詩人石川啄木はこの駅から東京に出発したそうで、駅には記念プレートがある。また、「霧ふかき好摩の原の停車場の 朝の虫こそすずろなりけり」と啄木が歌った詩が歌碑として駅内に残る。啄木は、往来のたびに好摩の地を詠んだそうで、街郊外(駅から徒歩10分ほど)のところの夜更森にも、啄木の歌碑がある。これは、啄木の妹、三浦光子さんによる書なのだそうだ。"好摩の原"と歌った通り駅や町は高原の中にあり、夜更森からの眺望は素晴らしい。
 好摩は始発駅でもあり、(JRとIGRいわて銀河線とを分ける)分岐駅でもある。なので駅表示も両社で仲良く分け合っている。好摩を出発した列車は、IGRいわて銀河線(旧東北本線)の線路と分岐し、好摩の原と呼ばれる平地の中を走っていく。やがて、車窓左前方には南部富士の異名をとる岩手山が秀麗な姿を見せてくれるようになる。さらに、大更駅付近から先は八幡平が見えてくる。松尾八幡平駅から先は山の中を進むようになる。松尾八幡平から次の安比高原の前後は33.3パーミルという急勾配が続く峠区間で、「龍ヶ森越え」といわれる峠の難所だった。SLの時代には3両も連ねて越えていたが、新型気動車キハ110系はそんな峠を軽快に登っていく。そしてスキー場で名高い安比高原駅は標高504m。かつては龍ヶ森とよばれた同駅が花輪線の最高点となる。駅名に高原がつくだけあって、しばらくは高原の中を走るようになるが、徐々に下り勾配がきつくなり、並走する川とともに坂を駆け下っていくようになる。荒屋新町駅から先は谷が深くなり、谷の底を東北自動車道や国道282号線と仲良く進んでいき、その谷を作ったであろうを何度となく渡って、岩手-秋田の県境を越えていく。県境を越えると湯瀬温泉駅に着く。  湯瀬温泉は米代川の渓流にたたずむ温泉場。温泉場というより湯治場といった雰囲気がぴったりな場所であった。また、駅にはこの地で二百年も生き抜いたケヤキの木がオブジェとして展示されているが、うろにはぬいぐるみのリスがいてかわいい。
 温泉街は湯瀬温泉を出発してから、進行(大館)方向左手に見える。また、右手上の方には唐傘松も見ることができる。隣の八幡平駅までは、もっとも谷が深くなり、素晴らしい渓谷美を楽しむことができる。八幡平からは盆地状の土地を進み、路線名の由来となった鹿角花輪駅を過ぎ、大館方面からの線路と合流し、十和田南駅となる。十和田南は名の通り、十和田湖の南に位置するが湖までは約20kmほどある。また、その途中の大湯温泉にはストーンサークルがある。そこまで行かなくても駅内に本物そっくりのストーンサークルがあり、実物がどのようなものはうかがい知ることができる(実物はもう少し小さいかもしれない)。そして、珍しいのはこの駅で平地のスイッチバックが行われることだろう。こうして、進行方向をし、終点の大館を目指す。
 十和田南を出発すると、米代川を渡る。先程まで渓流であったので、その川幅の広さに驚かされる。そして大館付近まで、この米代川に沿って走っていくようになる。やがて列車は大館盆地に入り、ゆったりと進んでいく。扇田-東大館間で再び米代川を渡ると、大館盆地の広大な水田地帯が広がる。しかし、それほど長くは続かず、大館の市街地がはじまる。奥羽本線の線路をオーバーパスで越えてから、路線は大きく右カーブし、やがて奥羽本線と合流、終点大館に到着する。
 車窓は、安比高原までは進行(十和田南)方向左、その先十和田南までは右側が楽しい。進行方向が変わって、十和田南からは進行(大館)方向左右それほど差がないが、米代川が迫ってくるので、右側が面白い。




● 乗りつぶし記録

  ・2007.11.24. 東北完乗作戦好摩→湯瀬温泉→大館間に乗車。完乗達成。



● 駅舎写真

好摩駅(2007.11.) 松尾八幡平駅(2007.11.) 湯瀬温泉駅(2007.11.)
十和田南駅(2007.11.) 末広駅(2007.11.)未下車 大館駅(2007.11.)



● おすすめ撮影ポイント

 撮影ポイントは、JR線路線別撮影地花輪線にて紹介している。(このページに戻る際は、ツールバーの"戻る"を使って下さい))。
 岩手山や八幡平の麓をゆく列車が撮影できる通称「龍ヶ森越え」と言われる安比高原付近、岩手山をバックに水田をゆく好摩-大更間など。



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