宇部線

最終更新日2006.09.30.


● 基本データ

 宇部線は、山陽本線の新山口駅から周防灘に沿って、同線の宇部駅に至るJR西日本の幹線路線である。沿線にはセメント工場や炭鉱が並び、かつては貨物輸送を担ってきたが、石灰石輸送のほとんどがトラックに替わり、現在では旅客輸送が中心となっている。
 宇部市の中心部は宇部新川駅周辺だが、幹線である山陽本線まで遠い為、この間に鉄道を敷くことを目的に、何人かの発起人が集まり宇部軽便鉄道が設立された(大正10(1921)年12月21日に宇部鉄道と改称)。明治43(1910)年6月8日、重役会席上で鉄道を敷設が提案され可決、鉄道敷設の調査がなされることになった。調査は、中止を訴える厚東川下流の農民達によってかなり難航したようだが、用地買収も着々と進み、大正3(1914)年1月9日に宇部-宇部新川間が開通した。宇部-岩鼻間の厚東川に架かる656フィート鉄橋工事には、クレーンがない時代で伝馬船を利用し満潮時に担ぎ上げ架設したなど、着工から1年余りで開通とかなりな苦労がしのばれる。大正12(1923)年8月1日床波、大正13(1924)年8月17日本阿知須(現;阿知須)まで延伸。大正15(1925)年3月26日小郡(現;新山口)まで開業し全通した。
 一方、この地域にあった新沖ノ山炭鉱で産出された石炭を宇部港に運ぶ為、宇部電気鉄道が設立され、昭和4(1929)年11月29日新沖ノ山(小野田港付近)-沖ノ山旧鉱(後に宇部港)を開業させている。翌昭和5(1930)年4月29日、もともとあった専用路線を延長運転させる形で沖ノ山旧鉱-沖ノ山新鉱間が開業。また、昭和6(1931)年7月21日、宇部鉄道と宇部電気鉄道路線を結ぶ形で、宇部新川-沖ノ山旧鉱間の貨物線が開業。さらに、昭和12(1937)年1月21日本山炭鉱から産出された石炭を運ぶ目的で雀田から路線が分岐し、雀田-本山(現;長門本山)間が開業している。昭和16(1941)年11月29日、宇部鉄道が宇部電気鉄道を合併。宇部-小郡間が本線に、宇部電気鉄道が持っていた路線が臨港線となった。
 石炭などの重要物資の輸送路線として貨物輸送強化の観点から、昭和18(1943)年5月1日宇部電気鉄道が国有化、宇部鉄道本線(と貨物線)が宇部東線、宇部鉄道臨港線が宇部西線となった。この際、宇部新川駅が宇部駅に、それにあわせて宇部駅が西宇部駅に、また、沖ノ山旧鉱駅を宇部港駅に改称された。
 買収後、輸送円滑化のために複雑な路線の変更を計画、実施されたが、戦争の激化・空襲等により、宇部東線の岩鼻と宇部西線の居能の間の貨物用短絡線が昭和20(1945)年6月20日に完成したのみである。戦後、新沖ノ山から先、小野田まで開業(昭和22(1947)年10月1日)していた宇部西線を小野田線として、昭和23(1948)年2月1日分離、同時に宇部東線から宇部線に改称した。その後、宇部(宇部新川)周辺の路線が整理され、昭和27(1952)年4月20日、岩鼻-藤曲-宇部間、宇部-宇部港間が廃止、居能-宇部間に新線が敷設・開業した。こうして現在の宇部線の形が完成することになった。この際、廃止された藤曲-宇部間(の一部)は現在宇部電車区の入出庫線として利用されている。
 昭和39(1964)年9月15日、宇部駅が宇部新川駅に、西宇部駅が宇部駅に再び戻された。ちなみに、小郡駅は平成15(2003)年10月1日、新山口駅に改称されている。




新山口-宇部間 33.2km

※ だいたい1時間に1本運行されているので、乗りつくしは容易。



[車窓の楽しみ方]
 宇部線を走る列車は、105系123系。新山口を出発した列車は、しばらく山陽本線と並走する。1つ目の上嘉川が近づくと約2kmほど並走した山陽本線が離れていく。
 ここから、水田地帯が広がり、幾つかの小川を渡って列車は進んでいく。阿知須を出発すると山の中に入っていくようになり、しばらく里山のような中を走るようになる。
 床波を出発してお隣の常盤に到着する直前に、進行(宇部)方向左側の車窓にが広がる。日本地図をみると海岸線近くを走っているようにみえるが、海が(間近に)見えたのはこの区間だけで、早朝の朝靄が美しかった。
 常盤駅の北約500mところには常盤公園がある。大きな池があり、のんびり散策を楽しむことができる。ここは、江戸時代に石炭採掘の現場だったようだ。採炭量の減少により元禄年間に潅漑用の貯水池に変えられた。また、宇部興産の東見初炭坑で実際に使われていた竪抗櫓を移設して展望台なども併設されている。宇部岬から、里山から工場地帯へと、大きく風景が変わる。マンションや家屋が増えてくると、宇部市中心街宇部新川駅に着く。
 宇部新川のお隣居能駅は、小野田線の出発駅、だが小野田線の列車は全て宇部新川から出発する。街の外れにある居能駅、夜この駅で工場群の夜景星々を楽しむことができた。厚東川に架かる橋を渡り、古い街並を縫うように走ると終点宇部駅に到着する。
 車窓は、進行(宇部)方向左側が面白い。



● 乗りつぶし記録

  ・2006.08.19. 北九州攻略作戦で、宇部→居能→宇部間に乗車。
  ・2006.08.20. 同、新山口→居能間に乗車。完乗達成。



● 駅舎写真

新山口駅(2006.08.) 宇部岬駅(2006.08.) 宇部新川駅(2006.08.)
居能駅(2006.08.) 宇部駅(2006.08.)



● おすすめ撮影ポイント

  海沿いを走るわけでもなく、あまり撮影ポイントは多くなさそう。



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