石勝線

最終更新日2006.05.16.


● 基本データ

 石勝線は、千歳線の南千歳駅から室蘭本線の追分駅を通って、新夕張、占冠を経由し新得駅に至る路線(幹線)で、新夕張-夕張駅間の支線をもつ。
 現在は、札幌と十勝・釧路地方を結ぶ短絡路線として重要な位置を占めているが、路線が整備・建設が具体化したのは昭和30年代と最近のことである。札幌-十勝連絡線は、大正2(1913)年12月10日(釧路線として)開業した根室本線が担っていたが、このルートは夕張山地を迂回し滝川を経由していた為、時間短縮がはかれず、直接石狩平野に路線を出す計画は明治頃からあった。しかし、それには北海道を南北に連なる日高山脈を貫かねばならず、技術的に困難なことであった。
 国内有数の炭田地帯である夕張から掘り出された石炭を室蘭港まで運ぶ為、北海道炭礦鉄道が明治25(1892)年11月1日、追分-紅葉山(現;新夕張)-夕張間を開業させたのが石勝線の前進である。明治39(1906)年10月1日北海道炭礦鉄道が買収・国営化され、明治42(1909)年10月12日夕張線となった。
 その後、紅葉山(現;新夕張)から占冠を経由して北へ根室本線金山駅までの路線(紅葉山線)、新得から占冠を経由して南へ日高に至る路線(狩勝線)、そして千歳空港駅(現;南千歳)から追分間(追分線)が、それぞれ計画・建設されたが、実際に建設されたのは、紅葉山(現;新夕張)-登川間(大正5(1916)年7月11日延伸開業)と千歳空港駅(現;南千歳)-追分間(昭和56(1981)年10月1日)のみである。また、夕張地域の炭鉱から産出される石炭の輸送を目的とした私鉄・専用線が数多く分岐していたが、石炭産業の衰退と共に現在ではその全てが廃止されている。
 しかし前記の通り、札幌・十勝短絡線の必要性から新線の建設が日本鉄道建設公団により進められ、昭和56(1981)年10月1日、千歳空港駅(現;南千歳)-追分間、新夕張-新得間が開通し、石勝線となった。それに先立ち同年6月30日に夕張線の紅葉山−登川間が廃止されている。これにより、従来の根室本線経由より、約46km短縮されている。ちなみに、路線名は、石勝線が結ぶ地域の旧称、石狩国・十勝国から採られている。


南千歳-新得間 132.4km  新夕張-夕張間 16.1km

※ 特急が1時間に1本運転されており、また支線も1〜2時間に1本運転されているので、乗りつぶしは容易。
また、青春18きっぷの特例、特急利用(新夕張-新得間)も利用できる。他線とも接続しているので計画しやすい。


 石炭産業の衰退によって過疎化が進み沿線全体に元気がないが、開通後まもなく石勝高原駅(昭和62(1987)年2月1日駅名改称で現トマム駅)周辺でスキーリゾートの開発が進み、多くの観光客を呼ぶようになってきている。開発に合わせて、昭和60(1985)年2月に北海道初となるリゾート列車(アルファコンチネンタルエクスプレス)の運転が開始され、トマムエクスプレス、そしてトマムサホロスキーエクスプレスに引き継がれている。
 平成5(1993)年3月急行まりもが廃止され(まりもは平成13(2001)年7月夜行特急として復活)、楓-新得間は特急列車のみの運転となり、1日1往復のみの極限ダイヤで注目を集めていた楓駅が平成16(2004)年3月13日に廃止され、新夕張-新得間は特急しか走らない珍しい路線となっている。なお、この区間は青春18きっぷで特急が乗れる特例区間となっている(他には、海峡線蟹田-木古内間がある)


[車窓の楽しみ方]
 北海道の中心を通過する路線とあって、石勝線の0kmポストは北海道をかたどっている。
 南千歳を出発した列車は千歳線と分岐し、左に大きく曲がり北海道の原野に入っていく。室蘭本線と合流すると追分駅。室蘭本線と別れ路線は山の中へ。追分駅から夕張川に沿って走る。滝ノ上付近の竜仙峡や新夕張駅近くの紅葉山付近が素晴らしい。
 新夕張駅から北へ、炭鉱の街々を見ながら進むが、今ではそれを感じられるものは少ない。終点、夕張駅も何となく物寂しい感じ。しかし、駅前にはスキー場や温泉施設(レースイの湯)があり賑やかである。夕張と言えば、かつて炭鉱で栄えた街として有名だが、映画『幸福の黄色いハンカチ』のロケ地となり、映画の町へとそのイメージを変えつつある。駅から徒歩15分のところに、「ゆうばりキネマ街道」があり、本町商店街の建物の壁面に懐かしい映画の看板が並び往年の映画街を楽しむことができる。
 特急券なしで特急に乗れることで有名な石勝線。しかし、その為には新夕張で下車しなければならない。新夕張駅は山間にある駅なので、夜ホームで星空をのんびり楽しむのも一興である。
 新夕張からは、昭和56(1981)年に完成した新線に入っていく。高架とトンネル、そして時々あらわれる分岐部のスノーシェルターなど近代的な路線で、北海道の他の路線とだいぶ雰囲気が違うように感じられる。高架とトンネルが多いので、ゆっくり車窓を楽しめないが、時折あわられる光景では、日高山脈の険しい山なみを見ることができる。また、途中に設けられた信号場を通過するが、これらは駅として計画されていたもので、その為か、近くには集落があるが、今でも住人が住んでいるような住宅は少ないように感じられた。しかし、そこにこそ北境の厳しい環境に生きる人々のたくましさを感じることができる。
 沿線では比較的大きな街占冠を過ぎると、トマムの谷に入りリゾート地トマムに着く。ホームに近い出口は閑散としているが、跨線橋を登るとそこには約200mほどの通路があり、それを渡った所にペンション風の待合室やみどりの窓口がある。また、有名なアルファリゾートへは、ここからバスとなるが、便は頻繁に出ているようだ。ちなみにトマムは苫鵡と書くようだ。鵡の字はここから日高地方に流れ下る鵡川からきているのだろうか。
 トマムを出発すると、進行(新得)方向左手に超高層ホテルの建つトマムリゾートを眺め進んでいくが、ここらへんが石勝線で一番標高の高い場所である。あとは一路下りとなり、新狩勝トンネル内の上落合信号場で根室本線と合流、路線を大きく蛇行させながら狩勝峠を下り、新得に到着する。
 車窓は左右大差がないが、南千歳-占冠間は進行(新得)方向右手、占冠-新得間は進行(新得)方向左手が良い。



● 乗りつぶし記録

  ・2001.05.11. 最東端の地へ、南千歳→新得間に乗車。
  ・2005.03.15. 流氷作戦で網走へ、その後(夜行特急まりもにて)新得→南千歳間に乗車。
  ・2006.03.17. 北海道完乗作戦で、南千歳→新夕張→夕張→新夕張→南千歳間に乗車。完乗達成。
  ・2006.03.18. 同、南千歳→トマム→南千歳間に乗車。
  ・2006.03.18. 同、(夜行特急まりもにて)南千歳→新得間に乗車。



● 駅舎写真

南千歳駅(2006.03.) 追分駅(2006.03.) 新夕張駅(2006.03.)
夕張駅(2006.03.) トマム駅(2006.03.) 新得駅(2006.03.)



● おすすめ撮影ポイント

 撮影ポイントは、JR線路線別撮影地石勝線にて紹介している。(このページに戻る際は、ツールバーの"戻る"を使って下さい)



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