根室本線

最終更新日2006.05.22.


● 基本データ

 根室本線は、道央の滝川から帯広、釧路を経て、道東の根室へと至る443.8kmと北海道一長い路線である。
 旭川と釧路を結ぶ幹線鉄道として北海道官設鉄道によって建設が進められたもので、旭川、釧路双方から建設がはじまった。旭川からは、北海道官設鉄道十勝線として、明治32(1899)年9月1日に旭川-美瑛間が開業、以降、明治33(1900)年8月1日下富良野(現:富良野)、明治34(1901)年9月3日落合まで延伸開業した。一方、釧路からは北海道官設鉄道釧路線として、明治34(1901)年7月20日に釧路-白糠間が開業、そこから路線は西に延び、明治36(1903)年3月1日音別、同年12月25日浦幌、明治37(1904)年8月12日豊頃、同年12月15日利別、明治38(1905)年12月1日帯広まで延伸開業した。なお、北海道官設鉄道は明治38(1905)年4月1日に国に移管されている。明治40(1907)年9月8日、狩勝峠(旧線)を越える落合-帯広間が結ばれ、全通した。これにより、旭川-釧路間の路線名が釧路線となった(同年10月12日)。
 これにより、道央と道東が結ばれたのだが、旭川へ大きく迂回するルートであった為、時間短縮を目的として滝川-下富良野間の建設が全通の2年後の明治44(1911)年に下富良野線として着工されている。途中、空知大滝の難所があったため建設が思うように進まず、大正2(1913)年12月10日にようやっと開通した。これにともない、滝川-釧路間を釧路本線と改称。下富良野(現;富良野)-旭川間が分離され、富良野線となった。滝川-下富良野間の開業は、札幌-釧路間の所要時間を約1時間短縮しただけでなく、この区間の炭鉱開発(芦別・赤平など)にも貢献している。
 釧路から順次東に路線が建設され、大正6(1917)年12月1日厚岸、大正8(1919)年11月25日厚床、大正9(1920)年11月10日西和田、大正10(1921)年8月5日根室まで延伸開業した。根室まで開業したことで、滝川-根室間が根室本線と改称された。釧路-根室間は平成3(1991)年7月1日に花咲線運輸営業所の設置にあわせて「花咲線」の愛称がついている。
 昭和7(1932)年10月1日整備・開通の石北本線とともに、道東開拓の大幹線としての役割を果たしてきたが、道路が整備されるとその座は奪われるようになり、昭和58(1983)年10月23日に白糠線(白糠-北進)が、昭和62(1987)年2月1日に広尾線(帯広-広尾)が、同年3月22日に士幌線(帯広-十勝三股)が、平成元(1989)年4月30日に標津線(標茶-根室標津・厚床-中標津間)が廃止、平成元(1989)年6月3日には池北線(池田-北見)が第3セクターの北海道ちほく高原鉄道に転換され、支線を持たない本線となった。ちなみに北海道ちほく高原鉄道は平成18(2006)年4月20日廃止さている。
 しかし、時間短縮という意味では、滝川経由でも十分ではなく、日高山脈・夕張山地を抜ける短絡線が計画・建設されることになった。石勝線が昭和56(1981)年10月1日開業し、札幌方面への所要時間が大幅に短縮がはかられた。さらなる高速化として、JR北海道と釧路市が出資し設立した道東高速鉄道開発鰍ェ平成9(1997)年3月関連事業を行い、283系特急・スーパーおおぞらの130km/h運転が実施され、札幌-釧路の所要時間が3時間40分に短縮された。なお、根室本線滝川-新得間はメインルートから外され、ローカル線のみとなり本線としては寂しい運行となっている。
 また、平成18(2006)年3月18日のダイヤ改正で、道内の定期運行の夜行列車がはまなす(青森-札幌間)とまりも(札幌-釧路)の2本になった。そのうち特急まりもは根室本線(新得-釧路間)を走り、季節運転では根室まで延長されている。
 沿線には、映画『鉄道員』で有名になった幾寅駅や、フジテレビでドラマ『北の国から』で舞台となった富良野駅などがある。そして、東根室駅は日本最東端の駅として知られている。



滝川-根室間 443.8km

※ 新得-釧路間は特急・普通列車ともに多くあり乗りつぶしは容易だが。
滝川-新得、釧路-根室間は本数が少ないので注意が必要。


[車窓の楽しみ方]
 滝川→新得間、滝川の市街地を抜けると石狩川の支流空知川に沿って走るようになる。途中、炭鉱で栄えた街々を見ることができるが、今では、谷間に細長く続く市街地や、貨車引込み線の広い駅構内などからしか推し量ることができない。滝川-富良野間は全体に谷の中を走っているような感じである。長い滝里トンネルを抜けると富良野盆地に入り、空知川を渡ると富良野線と合流し富良野駅に着く。
 富良野を出発すると盆地の雄大な畑作地帯を見ながら進み、晴れていると十勝岳連峰を望むことができる。富良野からも車窓に空知川を映すが、谷がどんどん深くなるように感じる。金山駅を出発すると空知トンネルとなるが、トンネルを抜けるとかなやま湖にかかる橋を渡り、人工湖だが雄大な光景が広がる。冬季には湖面でわかさぎ釣りの色とりどりのテントが見られる。かなやま湖の端までくると、映画『鉄道員』で幌舞駅として撮影された幾寅駅となる。石狩・十勝国境が近くなると更に谷は深くなり、時々エゾシカが線路そばまでやってくる。
 落合駅を出発すると新狩勝トンネルに入り石勝線と合流、狩勝峠を越えることになる。トンネルと抜けると大きく蛇行して十勝の大地へ針葉樹林帯を下っていく。蛇行することで左右に雄大な景色を映すので感動を覚える。多くの乗客が窓に釘付けになる区間である。
 建設省国土地理院は平成5(1993)年3月、新得町を「北海道の重心地」と発表した。正確には新得駅から北に43kmトムラウシ温泉の西側(東経142°49′40″北緯43°28′2″)になるのだが、駅前にはこれを記念したヤジロベエのモニュメントがある。これは地元の小学生がデザインしたもの。あと、駅前に町営温泉があるが、休止中のようだ。
 この区間の車窓は、進行(新得)方向左側がよい。

 新得→釧路間、新得から池田までは十勝川が作り出した大地を走る。割と起伏があり、防風林が規則的に並んでいることもあり、十勝平野を見渡すことができない。牧場も多く、小豆、小麦などのが続き、貯蔵庫では馬鈴薯が出荷を待っている。十勝平野が、北海道いや日本の胃袋を支えているのが実感できる。
 高架になると帯広駅に着く。ここから南北に2つの路線が伸び、十勝の開拓に貢献した。それを記念して、明治38(1905)年に最初に鉄道が敷設された位置に復元したモニュメントが駅前にある。帯広で焼豚おにぎりで購入。川幅が広い札内川を渡ると幕別町に入る。ここはパークゴルフ発祥の地だそうだ。
 十勝川を渡ると池田。旧鳥取(因幡)藩主池田家の家臣達が入植した池田。先人達の努力も実り、今では十勝ワインの里として名が通るまでになっている。駅にある電話ボックスもブドウがデザインされるほど。また、駅前にはバナナ饅頭やステーキ弁当で有名なよねくらさんがあり、事前に(電話で)列車の到着時間を知らせると、列車まで温かいステーキ弁当を届けてくれる。池田から雄大な十勝川に沿って新吉野まで走り、ここから北に向きを変え浦幌。浦幌から再び東に向き変え、山の中を走るようになる。右や左に蛇行しながら勾配を下り厚内を出ると、太平洋の大海原が広がる。
 厚内から釧路まで海岸沿いを走り、気持ちがいい。一番眺めがいいのは、音別-古瀬間だろう。もし、283系特急・スーパーおおぞらに乗っているのなら、先頭(か最後尾)の窓が、一番の特等席、是非この区間で楽しんでもらいたい。海岸線の熊笹の原っぱ、高い木がないので見通しがよい。高い木がないのは、この原野が湿原だからだそうで、見ている限りでは想像できなかった。白糠からは人家が多くなり、庶路からは工場が多くなり、釧路に到着する。
 この区間の車窓は、進行(釧路)方向右側がよい。

 釧路→根室間、同じ根室本線内だか、花咲線と愛称があるようにガラリと趣を変える。普通と快速しかなくのんびりとした車窓を楽しめる。運がいいとテーブルの付いた座席を独占することができる。
 釧路を出発した列車は、幣舞(ぬさまい)橋を見つつ釧路川を渡る。お隣の東釧路から釧網本線と分岐するが、釧路から直通運転されているので、ここから釧網本線に乗る客は少ない。こういった無人駅の待合室でのんびり読書を楽しむのもたまにはよい。
 東釧路から原野と山の中に入り、しばらく荒涼とした世界が続く。門静あたりから、再び海沿いを走り厚岸に着く。有名な厚岸駅弁のかき弁当は数が少ないので、朝一番の列車などで狙いたいところ。厚岸からは汽水湖厚岸湖に沿って走る。湖岸ぎりぎりを走るので、空の表情を湖面に映してくれる。厚岸湖から別寒辺牛湿原になるのだか、水平線がみえそうなくらい広い湖から雄大な湿原に車窓が変化するこの区間(厚岸-糸魚沢間)は、息の飲むようであった。
 茶別から浜中、厚床と雄大な北海道の原野が広がる。しかし、雑木林が多く、防雪林のすき間から楽しむことになる。時より、警笛を鳴らして列車が減速するが、それは線路にシカやタンチョウが出るからである。私が初めてタンチョウを見たのもこの区間である。別当賀を出ると線路は南に向きを変え、海岸段丘の上に出る。視界を遮る何の障害物もないので海が200度見渡せるなど、えもいわれぬ美しい自然が広がる。この別当賀-落石-昆布盛間は根室本線のハイライト区間であろう。
 花咲から家が増えてきて、日本最東端の駅東根室。そして、大きく左に向きを変え、終点根室に到着する。
 この区間の車窓は、進行(根室)方向右側がおすすめである。



● 乗りつぶし記録

  ・2001.05.11. 最東端の地へ、新得→釧路間に乗車。
  ・2001.05.12. 同、釧路→根室→釧路→東釧路間に乗車。
  ・2002.07.21. 最北端の地へ行った後富良野へ、その帰り富良野→滝川間に乗車。
  ・2005.03.11. 流氷作戦で網走へ、その後釧路→東根室間に乗車。
  ・2005.03.14-15. 上の帰り、根室→落石→新得に乗車。
  ・2006.03.18-19. 北海道完乗作戦で、新得→東釧路間に乗車。
  ・2006.03.19. 同、東釧路→新得→富良野間に乗車。完乗達成。



● 駅舎写真

滝川駅(2002.07.) 富良野駅(2002.07.) 布部駅(2006.03.)未下車
下金山駅(2006.03.)未下車 東鹿越駅(2006.03.)未下車 幾寅駅(2006.03.)未下車
新得駅(2006.03.) 帯広駅(2006.03.) 幕別駅(2006.03.)
池田駅(2006.03.) 音別駅 白糠駅(2006.03.)
釧路駅(2001.05.) 東釧路駅(2006.03.) 厚岸駅
茶内駅(2005.03.) 落石駅(2005.03.) 東根室駅(2005.03.)
根室駅(2001.05.)



● おすすめ撮影ポイント

 撮影ポイントは、JR線路線別撮影地根室本線にて紹介している。(このページに戻る際は、ツールバーの"戻る"を使って下さい)
 あと、狩勝峠や海岸線を走る音別-古瀬間、別寒辺牛湿原を走る厚岸-糸魚沢間なども有名。



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