御殿場線

最終更新日2009.01.21.


● 基本データ

 御殿場線は、東海道本線の国府津駅から箱根山の北麓を迂回するようにして走り、御殿場を経由して同線の沼津駅に至るJR東海の幹線路線である。

 現在では、箱根山麓や富士山麓をのんびり走る路線であるが、日本の大動脈東海道本線の一部だった歴史を持つ。明治20(1887)年7月11日に、新橋から国府津間まで延びた路線は、そのまま箱根山の北を迂回するようなルートで建設されることになった。こうして明治22(1889)年2月1日、国府津-静岡間が延伸開業された。
 このように、箱根を避けることには成功したが、この区間は「函嶺越え」といわれるほどの急勾配が続き、蒸気機関車もあえぎあえぎ登っていくことになった。あまりに多くの煙を周辺に吐き出すので、「山北のスズメは黒い」などといわれたほどである。そして、昭和5(1930)年10月1日に登場した特急「燕」号は運転時間を切り詰めるため、国府津・沼津での補機連結停車はたった30秒、解放も御殿場付近で走行中に(無停車で)するという離れわざも行った。こうして、東京-神戸間を9時間で結ぶという、当時とは驚異的なものであった。
 しかし、この区間は急勾配が続くので、早くから熱海経由、長大トンネルで西にむかう路線が待たれることになり、(熱海経由の)建設がはじまった。16年の歳月をかけた丹那トンネル(熱海-三島間)が昭和9(1934)年12月1日に開通、これによって国府津-熱海-沼津のルートが東海道本線になり、切り離される形となった国府津-御殿場-沼津間が御殿場線として新たなスタートを切ることになった。
 東海道本線であったことから、複線化も早く行われ、明治24(1891年1月12日御殿場-沼津間、明治34(1901)年2月5日に全線の複線化が完了した。しばらくは複線で運転されていたが、山陽本線の岩国-柳井-櫛ヶ浜間や横須賀線の横須賀-久里浜間を建設する為、御殿場線のレールが転用されることになった。この鉄材供出に伴って御殿場線は単線となり(昭和18(1943)年7月11日)、現在に至っている。各所に複線時代の名残をとどめる廃線跡が散在しており、今でも車窓から確認することができる。

 昭和30(1955)年10月1日、小田急電鉄の新松田-松田間に連絡線が開業し、新宿-御殿場間に直通の準急が気動車で運転開始された。昭和43(1968)年に電化が完成し(4月27日国府津-御殿場間、7月1日全線)、全線及び小田急からの直通準急も電車に置換えられた。電化後に急行になり、後に特急に格上げされた。特急は「あさぎり」の名称で、JR東海・小田急それぞれの車輌を用いて運行されている。




国府津-沼津間 60.2km

※ 本数も多く、また全線乗っても1時間40分ほどなので、乗りつくしは容易。



[車窓の楽しみ方]
 国府津駅を出発した列車は、東海道本線と分かれ北西に針路を変える。国府津からは神奈川県西部を流れる酒匂川に沿って走るようになるが、酒匂川が作り出した河岸段丘の東側を走るようになる。段丘の割と高いところを走るので眺めがよく、対岸には箱根山や富士山が遠望できる。しかし、松田までは沿線に住宅などの建物が多い。小田急線と短絡線で結ばれている松田駅では、その乗り入れてくる列車を見ることができる。松田を出発すると酒匂川が近づき、段々進行方向左右に山が迫ってくるようになる。
 御殿場線に乗るのは、何ていっても春を薦める。なぜかというと、山北を出発した列車は桜のトンネルを走るようになるからだ。ここからは、酒匂川が大きく蛇行し、それに合わせて路線も蛇行しながら山を登っていく。この時、複線時代の橋梁の土台などを見ることができる。東名高速道も国道246号線も箱根の北麓を越えていくので、この区間で跨いだりくぐったりと、それぞれ絡み合いながら進んでいく。神奈川県をすぎると駿河小山駅となり、金太郎伝説で有名な足柄駅をを過ぎると視界が広がってきて建物が多くなると御殿場に着く。
 御殿場を出発すると、一転下りになり列車は軽快に下っていく。そして、進行(沼津)方向右手に富士山が間近に迫る。この区間は遮るものも少なく、宝永4(1707)年に大噴火をおこした宝永火口を正面に見ることができる。進行(沼津)方向右手にあった富士山が右手後方に移り、右手に愛鷹山が広がるとゴールが近い。やがて、前方に駿河湾が見えるようになってくると、三島や沼津の市街地に入っていく。下土狩駅は現在の東海道本線ができるまでは三島駅を名乗っていた。下土狩駅を出発して東海道新幹線の高架をくぐると大岡駅、ここには珍しいことに駅構内に日本庭園がある。しばらく市街地を走り東海道本線と合流すると、終点沼津に到着する。
 車窓は、御殿場までは進行(沼津)方向左、御殿場から先は富士山が望めるので断然右が楽しい。




● 乗りつぶし記録

  ・1989.04.   ぶらり一人旅で、国府津→沼津間に乗車。完乗達成。
  ・2004.03.28. 身延旅行で、沼津→山北→国府津間に乗車。往復完乗達成。
  ・2007.04.08. 伊豆観光編で、国府津→山北→国府津間に乗車。
  ・2008.01.02. 御殿場線星見駅編で、沼津→御殿場→沼津/沼津→富士岡→沼津間に乗車。
  ・2008.08.25. 京都研修旅行で、沼津→国府津間に乗車。
  ・2009.01.02. 御殿場&伊豆星見旅で、国府津→足柄→国府津間に乗車。



● 駅舎写真

国府津駅(2006.04.) 下曽我駅(2009.01.) 上大井駅(2009.01.)
相模金子駅(2009.01.) 松田駅(2009.01.) 東山北駅(2009.01.)
山北駅(2007.04.) 谷峨駅(2009.01.) 駿河小山駅(2009.01.)
足柄駅(2009.01.) 御殿場駅(1999.11.) 南御殿場駅(2008.01.)
富士岡駅(2008.01.) 岩波駅(2008.01.) 裾野駅(2008.01.)
長泉なめり駅(2008.01.) 下土狩駅(2008.01.) 大岡駅(2008.01.)
全駅掲載
沼津駅(2008.01.)



● おすすめ撮影ポイント

 撮影ポイントは、JR線路線別撮影地御殿場線にて紹介している。(このページに戻る際は、ツールバーの"戻る"を使って下さい))。



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