境線

最終更新日2007.10.04.





米子-境港間 17.9km

※ 距離も短く本数も多いので、乗りつくしはとても楽。ただ、運休日があるので注意が必要。
● 基本データ

 境線は、山陰本線の米子から境港に至るJR西日本の地方交通線(ローカル線)である。鳥取県北西部、島根県との県境付近には三保湾と中海にはさまれた砂州が、幅約2km、長さ約20kmで広がる。このちょうど中心線を走るのが境線である。
 江戸時代、日本海側の産物を山陰、そして関門海峡や瀬戸内海を通って「天下の台所」大坂に運んでいたのが西回り航路と呼ばれ、境港も西回り航路の重要な中継地であった。しかし、明治に入るとわざわざ関門海峡を通さずに鉄道で境港から産物を姫路か岡山に出そうと計画され、明治25(1892)年6月21日に公布された鉄道敷設法に「兵庫県下姫路近傍ヨリ鳥取県鳥取ニ至ル鉄道又ハ岡山県下岡山ヨリ津山ヲ経テ鳥取県下米子及境ニ至ル鉄道若ハ岡山県下倉敷又ハ玉島ヨリ鳥取県境ニ至ル鉄道」と規定された。つまり陰陽連絡線の一角として建設が計画されていたことになる。
 こうして、境線は山陰初の鉄道として明治35(1902)年11月1日、後に山陰本線となる米子-御来屋間とともに開業した。しかし、当初の目的は大きく変化、山陰本線の建設の方が優先されることになり、境線は鉄道建設用の資材を搬入する為の路線として活用されることになった。同様の例は中央本線敷設の為に建設された武豊線に見られる。
 明治42(1909)年10月12日の国有鉄道線路名称設定で、すでに開業していた鳥取-米子-松江間を山陰本線に、米子-境(後に境港)間を分離、境線となった。
 先に記したとおり山陰本線の路線建設が目的であった為、国鉄時代には利便性があまりよくなかったが、昭和62(1987)年4月1日のJR西日本の移管後は、駅を増やし大都市並みの駅間距離とし、また高速化をはかり、利用しやすくなっている。
 また境線で特筆すべきは、境港市が漫画家水木しげるの出身地であることから、『ゲゲゲの鬼太郎』の登場人物をペイントした「鬼太郎列車(三代目)」「ねずみ男列車」「ねこ娘列車」「目玉おやじ列車」が運行されていることである。また、登場する妖怪を各駅名の愛称に採用した。愛称は以下の通りである、米子駅-ねずみ男駅、博労町駅-コロポックル駅、富士見町駅-ざしきわらし駅、後藤駅-どろたぼう駅、三本松口駅-そでひき小僧駅、河崎口駅-傘化け駅、弓ヶ浜駅-あずきあらい駅、和田浜駅-つちころび駅、御崎口駅-砂かけばばあ駅、大篠津駅-べとべとさん駅、中浜駅-牛鬼駅、高松町駅-すねこすり駅、余子駅-こなきじじい駅、上道駅-一反木綿駅、馬場崎町駅-キジムナー駅、境港駅-鬼太郎駅。同様の例は、宮沢賢治が作品中に使用したエスペラントの単語で愛称を付けた、釜石線から山田線に見られる。
 米子-後藤間で電化されているが、これは後藤総合車両所への出入庫の為で、境線を走る列車は全て気動車である。
[車窓の楽しみ方]
 米子駅の境港線のホームでは、まずその妖怪の多さに驚かされる。もちろん鬼太郎も出迎えてくれる。
 米子を出発した列車は、しばらく市街地を走る。進行(境港)方向右手に車輌基地が見えくると後藤駅。後藤を出た後も家並みの中を走っていくが、家の中に水田も混じってくる。弓ヶ浜付近からは家が少なくなり、畑や荒地などが増えてくる。弓ヶ浜と呼ばれる砂州の上を北へ走っていくのだが、車窓から海はまったく見えない。しいて言うなら、進行(境港)方向右手遠方に見える松原が続くことが海の存在を示しているようだ。また、砂州の上だからか水田より畑作地帯が長く続く。また進行方向左手は荒地が多く、夕暮れ時には雄大な日の入りを見ることができる。また、弓ヶ浜付近から進行(境港)方向右手前方に美保関で有名な島根半島の山々が見えてくる。大篠津を出発すると進行(境港)方向左手に米子空港の滑走路と施設が見えてくるが、大篠津駅からはアクセスできない感じだ。徐々に家屋が多くなると境港の市街地に入り、島根半島の山々が目前に迫ってくると、終点境港に到着する。
 度々紹介しているが、境港は水木しげるの生地で、駅前では先生自らが出迎えてくれる。駅に着いたら、是非駅から数歩の境水道を見学してもらいたい、狭い境水道が目の前に広がるからだ。対岸は、関の五本松で有名な美保関町となる。駅に併設されているのは、みなとさかい交流館。港で船を待つ為の施設のようで、レストランをはじめ入浴施設などがあり、待ち時間に楽しむことができそうだ。
 車窓は、進行(境港)方向左右それほど差がない。島根半島が迫ってくる様子を楽しみたいなら右側、米子空港を見たいのなら左側がよい。



● 乗りつぶし記録

  ・2007.08.24. 中国山地攻略作戦で、米子→境港間に乗車。完乗達成。
  ・2007.08.24. 同、境港→米子間に乗車。往復完乗達成。



● 駅舎写真

米子駅(2007.08.) 後藤駅(2007.08.) 境港駅(2007.08.)



(ともりんが)行ってみたい撮影ポイント

 車窓があまり開けないので、撮影地は少なさそう。大篠津付近で米子空港出発する航空機と撮影してみたい。



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