エイザの奇妙な冒険

_ タバコ部屋でのヒトコマ

「今日、月曜日よねぇ」

夕方、タバコ部屋でタバコをふかしていると２人のおばさんの会話が耳に飛び込んでくる。

「いいえ、違うわ。今日は金曜日よ」

もう一人のおばさんが答える。ケムリを吐き出した後、こともなげに続ける。

「でも、明日は木曜日よ」

・・・なんだ、そりゃ？

「あ、そうかぁ」

「そうよ、明後日は水曜日だし、その次の日は木曜日」

・・・めちゃくちゃ、欺瞞だ。

「木曜日の次のひは、当然金曜日よね。」

「そうよね。金曜日の晩は忙しいのよ」

「斧持って、暴れなきゃいけないものね」

・・・今日は月曜日。世界中で一番現実逃避する人の多い日であることは間違いない。

_ 心配されて？

仕事中、ふとしたことから持病の話になる。痛風。糖尿。高血圧。おじさん達はみんなシャレにならない持病を持っていたりする。

「エイザさんは、なんか持病ってあるんですか？」

なんか、場の雰囲気が暗くなり、慌てたチュンリさんが急に蚊帳の外の私に話をふってきた。

ここで「鬱病」とか不眠症とかいうと、ますます場が暗くなる。とはいえ、「シュークリーム分の欠乏による集中力の低下」とか言っても通じない可能性が高い。

少し考えてから答える。

「突発性有休行使検討症、かな」

「なんですか、それ？」

残念ながら、通じなかったらしい。仕方ないので説明したりする。

「突発的に会社をサボりたくなる病気です。特に月曜日に多く発生します。」

チュンリさんは納得したのか、ケラケラ笑った後こう反論してきた。

「そんなのみんな持ってますよ。病気のうちに入らないんじゃ？」

「なにを言う。放置しておくと会社行きたくない病に発展するんだぞ」

それを聞いていたケン部長がつぶやいた。

「それ、オレかかってるわ」

それを聞いたワン女史がひとこと。

「慢性飲み会中毒だけじゃなかったんですね」

・・・つくづく人間関係のいい職場である。