月別アーカイブ: 10月 2015

Elecrow新基板とステンシル

Elecrow新基板とステンシル

Raspberry Pi2 用ソーラー電源基板RASP_PWR3のバージョンBを、Elecrowに発注していました。

Elecrow基板

Elecrowは最近のDIY基板作りでは一番人気のところのようです。基板のカラー指定が無料できるし、PCBステンシル(メタルマスク)が格安で作れるので、表面実装部品をリフローで載せる際には大変重宝します。

ユニクラフト&FusionPCB版では、DIP部品を使っていたためギッチギチで、センサー類が一切載らなかったので、今回は表面実装部品を使いたかったのです。

基板はFusionPCBなどと同等の条件(10枚、1.6mm、HASL処理)で、PCBステンシルをつけてみました。基板は$31.90、今回は発送にDHLを使い($18.81)、合計$50.71となりました。

時間軸は以下の通りです。

  • 10月8日 基板発注
  • 10月9日 Processing
  • 10月9日 In Production
  • 10月13日 Traceable
  • 10月16日 日本に到着(DHL)
  • 10月18日 受け取り(佐川)

うーん速い・・・ちょっとDHLが馬鹿で、住所がわからないと発狂して佐川に丸投げされて到着が遅れましたが、それでも8日でステンシル付きの基板できちゃうんですから我々未来を生きていますよ、本当に。

それで品質はどうなのよ?

シルクが汚いなあ

やっぱり長穴はずれてないよなあ!そうだと思ったんだよ。FusionPCBでずれてたのは不具合だろてめえ!!設計のせいではなさそうなので一安心ですけども。しかしElecrowはシルクが0.5mmくらいずれてるみたい(^^;というかシルク印刷が汚いですね、事前の噂通り。まあ、この値段で文句を言う筋合いもないですが。

世間では、リードタイムや、ガーバーデータ形式が全く同一であることなどから、FusionPCBとElecrowは全く同一の工場を使っているという見方が大勢なのですが、パッと見でも品質が異なるので私は不可解に思えます。同じ製造設備使ってても、現地担当者の質で変わっちゃうものなのかな、やっぱり。

あと、よく基板見比べると、FusionPCBもElecrowもHASL後のパッドに微妙な擦り傷がある基板があって、E-TESTを行っているのかもしれません。ユニクラフトはツルツルでしたので違いがわかります(※ユニクラフトは無料版だからE-TESTやっていないことはわかっているため)。

バージョンBの変更点

バージョンBでは、以下の3つを載せられるように設計しています。

まだ仕様をきちっと決めていませんが、少なくともM41T62によるディープパワーダウンには挑戦しようと思っています。ソーラーパネル+カーバッテリー運用を考えたとき、回路がつながっているだけで電力を消費してしまう問題、いわゆるバッテリードレイン問題への対処はやりすぎということはないと思うのです。

元々、Raspberry Piでバッテリー電圧を監視をする構造では、Raspberry Pi自体の電力消費が問題になるだろうと思い、より消費電力の少ないマイコン付き電源ボードを企画しました。まあ、この話を嫁にしたら「なんだコンピュータのスイッチ作ってんの?」って失笑された(血涙)んですけどね!

今回は、さらに時計機能だけの極小チップ(RTC)を載せて「コンピュータのスイッチのスイッチ」を作ろうと思っているわけです。つまり電圧が極端に低くなったような緊急時には、メインマイコンのLPC1114をディープパワーダウンで停止させ、数日間で待ってからRTCからH/W割り込みをかけてウェイクアップするというもくろみです。どのくらい違うかっていうとこんな感じになります。

  • Raspberry Pi2 動作時 → 300mA
  • LPC1114通常待機時→ 30mA (1/10)
  • M41T62+LPC1114パワーダウン時→ 0.3mA(1/100)

やりすぎですかね。まあ、別にこんな極端な動作条件だけでなくて、元々Raspberry PiにはRTCが搭載されておらず、毎回時計を忘れてしまうおちゃめさんな欠点を補うこともできます。

BME280は温度監視に使います。今回の設計では、P-ch MOSFETの回路を1組増やして、ペリフェラル電源を独立コントロールできるようにしてあります。BME280では温度/湿度を1チップで測れるので、屋外等の過酷な環境下では、温度や湿度を監視し、外部FANを自動で回して強制排気などできるようにする予定です。

実は温度を測るだけならもっとハンダ付けしやすくて安いセンサーが沢山あるのですが、これまたRaspberry Piから読めるのであれば大気圧とかも読めた方がいいかなと思って、わざわざ実装難易度の高くて値段も高いセンサーを採用しています。女性には有名な頭痛ーるの私家版を作る事もできますね。

リフロー炉が欲しい

TSSOPパッケージは意地で手ハンダしましたが、今回BME280はLGA、M41T62はLCC-8パッケージで、もうリフローができないとハンダ付けは殆ど絶望的であります。パッドがチップの真下にありますからね。

一応、オーブントースターを改造してホームリフロー炉を作るつもりではいますが、いつになるやら・・・・・ほんとうにハードウェア開発は金がかかる趣味でめっちゃ肩身が狭いです。

パトロンは随時募集中です!(ぐはぁ吐血)

 

間違いだらけの基板開発

間違いだらけの基板開発

だいたいの部品を実装して動作確認しています。

raspberry piと並んで

作ってみたらボロボロで。リセッタブルヒューズがコネクタに近すぎるとか、レギュレータのピン配置が左右逆とか、EEPROMをSOICとTSSOP発注し間違えて乗せられないとか、問題は様々ありました。でも一応動いた。

動画は、まだI/OピンをON/OFFするテストファームのときのものだけど、今はちゃんと12V電源の電圧を監視して、電源ONしたりシャットダウンしたりウォッチドック機能でリブートしたりすることができています。raspberry pi側でもWiringPiなどでデーモン開発しましたが、そこらへんのサンプルは機会があればいずれ公開します。

ここまでのまとめ

半田こても数年ぶりに握ったくらいのレベルの人間が、Raspberry Piのコンパニオン基板を企画し、回路をブレッドボードで試作しながら、40の手習いで覚えたCADソフトでガーバーデータを作成し、どこにドリルホールがあるのかさえわからないまま基板屋に発注し、TSSOPの手はんだをし、テスターだけで電気チェックをし、mbedでファームウェアを開発し、実基板に書き込んで、raspberry piを外部から電源供給できる基板ができた!というのは

ささやかな感動巨編

と言っても過言じゃないと思うんだ。うん、自己満足だけどネ(^^;

ここ最近はもっぱらサーバサイドのソフトウェア開発しかやっていなかったロートルとしては、技術者としての視野はだいぶ広がった気がします。

オシロくらいはないとダメだなとか、Eagleの部品ライブラリももっと充実させたいとか、DIP部品は手付けは確認しながらだと半日仕事だから表面実装部品とホームリフロー炉に変えたいとか、手半田の技術もまだまだだなとか、テストピンをもっと載せればよかった、あのセンサーも載せればよかった、それこそ大量に反省はあるけど・・・

いずれは他人が欲しがるようなハードウェアを開発してみたいもんですね。