620円で8chロジアナが買えた話

620円で8chロジアナが買えた話

仮にも基板を開発しようというのに、測定機器が20年前のFluke社のテスターのみというのは流石に無理がありました。どうしようもなくて、会社のデジタルオシロを借りたこともありますが、職場で趣味のことをやるのは休み時間であっても肩身の狭いものです。

そこで、またAliexpressネタで恐縮ですが・・・1ヶ月くらい前にUSBロジックアナライザを注文していました。

中華製ロジアナ

$5.74(620円)で!

安すぎぃ!気が狂っている。まあ、どうみても高周波は測れそうにない外観ですし、プローブも付いていないです。でもデジタル回路設計では「信号が正しく出力されているか」ということがわかるだけでも大変助かります。テスターじゃ1Hz以上は絶対にわからないからね!

ソフトのインストールは簡単でした。Debianの場合リポジトリにpulseviewというGUIソフトが含まれているため、

# apt-get install pulseview

で必要なものは全て入りました。pulseviewを起動し、メニューFile→Connect to Device→Driver:fx2lafwと選択して、出てきたデバイス名「Saleae Logic with 8 channels」を選択するとすぐ使える状態になります。

デバイス認識

ここまで5分かかるかかからないか。

WS2812B信号

種明かし「海賊版」だから安い

設定画面のデバイス名を見て、勘の良い人はピンと来たと思いますが、これは海賊版です。Saleae社が昔売っていたロジックアナライザのハードウェアをコピーしたものです。

どういうことか?二昔前にUSB周辺機器を作る際には定番となっていた、Cypress社のCY7C63001A(EZ-USBシリーズ)というチップがありました。昔は、周辺機器に内蔵するマイコンは非常にプアで、USB2.0の400Mbpsという速度は神々の扱うスループットでした。そのためプログラマブルでマルチコア(複数のデジタル信号を並列処理できる)なEZ-USBチップが作られたという経緯があります。

Saleae社は、この高速USBのためのチップを、デジタル信号のキャプチャ装置に流用するという「発明」をした訳です。これは極めてソフト的な発明です。ハード自体はCypress社のリファレンスそのままでした。今回の海賊版も、Saleae社の基板をコピーした訳ではないようです。このため、オープンソースのpulseview(sigrokとlibusb)で使うのであれば違法性は全くありません。

しかし・・・そこは流石中華クォリティというべきか。今回買ったUSBロジアナにはSaleae社のベンダーID, プロダクトIDが、ご丁寧に書き込まれているのですよ。鬼かよ。なので、Saleae社純正のWindowsソフトでもきっちり認識し・・・・

saleae logic

実際に信号も取り込めました・・・

動いちゃうじゃん(i2c)

噂では、Saleae社は、この海賊行為を非常に怒っていて、ハードウェアチェックをして最新のソフトでは起動しないようになっているはずなのですが。1日前にダウンロードした試用版では何事もなく認識しました。

いや、もちろんWindowsで使う気は毛頭ないですけどね!

そりゃね、ぼくもまともなロジックアナライザ、デジタルオシロがほしいですよ!!寄付はいつでも受け付けております!!

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