焼けた焼けた部品が焼けた

 

 

回路図ばかり引いていてもきちんと動くかどうかわかりません。とりあえずRaspberry Pi2に電力が供給できなければ基板を作る意味もありませんので、ブレットボードで電源回路を組んでみました。今回はソーラー&カーバッテリーから5Vを生成しなければなりません。

使ったのは新日本無線のNJM2396F05、仕様上は1.5Aまで出せるリニアレギュレータです。200mA程度のRaspberry Piなら十分だろう・・・と思っていたのですよ。勝手に。

 

ドロップダウンレギュレータ

 

通電して数分すると焦げ臭い!ふとレギュレータをつまむとアイ熱ギャクォ痛アアアアアアアアアアアアア!ジュウウウウウウ!!!!!

そうです・・・仕様書を良く読まなかった以前に、アナログ回路屋の知識が全くない故のミスなのです。リニアレギュレータは価格の安さゆえに色々なところで使われています。しかし、こいつは電圧の落差分がそのまま熱になるのでした・・・・今回は12Vから5Vを生成する訳ですから膨大な熱が発生したという訳。

IMG_3920.JPG

なので部品をDC-DCコンバータに替えました。MINMAX M78AR05-0.5という3端子リニアレギュレータとピン互換でコンデンサ以外の付属回路が必要ない優れものです。今のところRaspberry Pi2も問題なく(HDMI使っても大丈夫)動作しております。

こういうこと、事前に教えてくれる人いないっすかね?(^^;ほんま辛いわ。

EAGLE、その深淵を

一応配線が完了した

電子回路CAD EAGLEを、家族が寝静まってからコツコツいじって約10日・・・ようやっと全部品の配線が完了しました。

ギッチギチだよぉ

って・・・両面基板かよ!

そんなに難しい回路じゃないはずだけど、やはり片面でできることは非常に単純な物に限られるという印象です。

色々試行錯誤していたのですが、幅3.5cmもあるLPC1114はRaspberry PiのHAT準拠基板には到底乗らず、仕方なくプログラムを書き直して、LPC810を2個に分けるようにしました。片方が電源管理、片方が電源測定(ADC)用です・・・あほかと。12pinくらいのDIPで、ADC内蔵のLPCがあればいいのに。

現実にはユニバーサル基板に実装する予定なので、赤の配線はジャンパ線に頼るしかないのですが、Raspberry Pi本体に供給する5V電源系や、メインの12V系が過熱に耐えられるかわからない状況です。

CADは難しい

ずっとソフト畑の人間でしたが、CADは難しいですね。見かけお絵かきソフトのようでいて現実の、形のある、部品を相手にしているからと気づきました。今とても困っているのはDCジャックの足のドリル穴や、ワイヤーの太さ、Viaの穴の径、ランドのパッドの大きさetc…これは実際に部品や基板を熟知していないと判断できないのです。

ソフトだとAPIやメソッドの仕様さえ共通化していれば、モジュールを差し替えることは大した困難になりませんが、ハードウェアの場合は部品の大きさや特性がまちまちなので困りますね。さらにいうと、家でやる電子工作は部品を買い替えたりすると金もかかる(^^;マジ金のかかる趣味だなーと思いました。

できればDIP部品もやめて表面実装部品に変えたい・・・・たとえば冒頭のLPC1114などはHVQFN33というパッケージでも提供されているのですが↓コレですからね。とても私のような素人の手に負えるものではありません。

40の手習いで電子回路設計

ずいぶん間が空いてしまったのですがオフグリッドサーバ制作記の続きです。

今、Raspberry Pi2をソーラーパネル&カーバッテリーで駆動するための電源基板の設計をしています。どうしてそんなものが必要か?という目的は過去のブログを読んでもらえるとよいと思いますが、仕様を簡単にまとめると以下のようになります。

  1. 電圧を監視し続けてもバッテリーを殆ど消費しない超低消費電力
  2. Pi2が動作中はPi2からも電圧をリードできる
  3. 電圧が基準値を数分連続で上回ったらPi2に+5Vを供給開始
  4. 電圧が基準値を数分連続で下回ったらPi2を安全に停止した後に+5V供給停止
  5. Pi2が動作していなさそうならリセット発行(WatchDog機能)
  6. 電源が落ちた状態でも数時間~数日後に再起動をトライできる(Timer機能)
  7. Pi2に連動する12Vサービス電源出力を提供する(周辺機器用)

要するに、バッテリ直結だと、電池無くなるギリギリだと不安定になってOn/Off繰り返したり、いきなりばっつんと落ちてファイルシステム壊されたりすると困るわけです。
このような動作は、オフグリッドサーバだけに限らず、自律的に動く無人ボットにはあまねく必要なものです。参考:彗星探査機ロゼッタの着陸機 フィレー冬眠から復帰

とは言え、まだモノはできていません(汗;)
元々ソフト屋であって基板設計などしたこともありませんし、仕事でもOrCADでVMEのバックプレーンを設計したことがあるくらいで、デジタル回路を考えたこともありませんでしたから。

まず回路CADが必要だろうということで、DesignSparkPCB, CADLUS, EAGLEなどの試用版を試しました。そのなかでEAGLEが唯一素人にも使えそうだったので、これを使って回路図を書いています。

簡単な回路図

しかし・・・
Raspberry Pi2専用なんだから子亀(HAT)基板に載せよう、などと不埒なことを考えた時点で詰みました。せいぜいブレッドボードの延長で1層(片面)基板を想定していたのですが、
見ての通り、とても収まらないわけです・・・そんなに難しい回路じゃないと思うのですが。

おさまらない部品、ひけないパターン
いやーDIP部品って並べてみると大きいですね! 手配線で対処しようと思っているのですが、電源12V, 5V, 3.3Vの3種類混在していることが、より配線を難しくしています。

基板の部品選定・レイアウト・効率的な配線などは、ある程度ツールによる自動化が進んだ現代でも、やはりヒトの中にノウハウがあるんだろーなーということが実感できました。

さてどうしようか・・・・・・・・

そりゃそうだよな雨続きだもんな

稼働から1週間くらい経ったところ、ベランダに出していたオフグリッドサーバが、無線LAN経由でSSHを受けつけなくなった。

ボックスを回収して、バッテリー電圧を測定したところ6.5Vしかなく死亡状態。12V12Ahのシールドバッテリーで200mA程度の負荷でも丸3日以上未充電は持たないか…72h × 0.2A = 14.4Ah だよね。

さらに悪いことに、手持ちのBAL電器の安充電器では、この死に体バッテリーは充電できず、仕方なく急ごしらえで12V出力のACアダプターに100Ω程度の抵抗を挟んで、即席トリクル充電器を作った…..電池は割と高い部品なので復活してくれれば….

raspi2の消費電力が少ないからと設計を手抜きしていたのだが、やはり電源管理サブシステムが必要ですな。超低消費電力マイコンでバッテリー電圧を監視し、リミット以下ではメイン系列の電源供給を切断し、電圧が復活したら再起動するような…

プログラムは技術だけでは動かない

《書評》★☆☆☆☆

TwitterでOSS主要コミッタを年収400万円で雇おうとした馬鹿会社の話に対する反応で以下のようなことをつぶやいたら50fav.もらえました。

このコーティング以外の能力をうまく他人に説明する本はないかなーと探していて、上記の本を読んでみました。でも、内容は小俣光之の武勇伝だけでした(汗;)

この本は(あまり優秀でない)プログラマから経営者になった人のエッセイで、何か体系的な知識などを要求しなければ、そこそこ面白いかもしれません。体系的な文書を書くのは難しいよね。ある意味テーマは働き方そのものなんだから。でもだからって、プログラマが〜みたいなキャッチーで人に噛み付くようなタイトルつけんなよ。次元が低過ぎる。

要するに、完成させることが優先、ニーズは自分の外にある、という基本中の基本を蕩々と話されても困るよなあ。逆にその部分は大企業に勤めた人間の方がわかるかもよ?

OSSの主要コミッタの話に戻す。いわゆる仕事では否応無く決まるパラメータ….特に力関係みたいなものは決定的で、自分の力では殆ど覆せないでしょう。お客と殴り合う奴は即座にバカって言われるよね。そんなことは教えられ無くったってわかるでしょ。

でもOSS開発、という、ボランティア同士だと決まらないんだよね。Linux開発でもLinusに噛み付くコミッタなんて10人や20人じゃない。そんな世界で、なお協力して「製品」を出して行くのは、ロジック的に正しいと信じる方法で相手を殴りに行くこと=合理性と素直さと実装能力全てが高い次元で備わっていないとできない。これがOSS主要コミッタとなれば、世界中の逢ったこともない人たちを相手に、延々英語とコードで殴り殴られ続ける、ということになるわけだ。これがどんなに過酷なことか。要求はおろか仕様さえ決まっていない、全てができる可能性があるが、全てが手弁当で失敗すれば何の見返りも無いのがOSSの”世界”であり、「俺はXを実装するぜ!」ってのは、漫画チックに言えば少年なのに「海賊王に俺はなる!」って言ってんのと同じなんだぜ。

日本の経営者にはわかんねーんだろうなあ、なにが企業のコアコンピタンスなのか。Google, Amazon, Twitter, Instagram, Facebook etc…これらの成功企業がなぜソフトウェアだけは内製なのか。ちょっと理由を考えてみるといいよ。サンノゼ,シアトルあたりだとエンジニアで年収2000万円は低いほうであって、それじゃ高過ぎるってんでAppleは横浜に研究施設を作ろうとしている訳だけど、さすがに無能力の大卒リーマンと同じ額400万円で雇おうってのは頭がおかしいと言わざるを得ない。

っと….ここのところ良書を立て続けに読んでしまって要求レベルがあがってしまったようだ。エッセイとしてはまあまあ読めるし、受託で食いつなぐことの悩みみたいなのは参考になるかもしれません。ごめんね、そこまで噛み付く内容じゃないんだよ。でもDHCPサーバは、俺でもRFCだけでraw packetの生成からCでフルスクラッチで書いたことあるから武勇伝にはならないと思うよーw恥ずかしいから自慢するのやめよーねーw

自律稼働型サーバの制作2

2015-06-25 13.51.14

系統電源から完全に切り離されたサーバを作ろうという計画、自律稼働型サーバの制作ですが、休日のたびにチマチマやっているのですがなかなか進みません。

2015-06-17 10.00.40

ヤフオクで買った太陽電池パネル(50W)は屋外に設置しました。ちょっと固定が甘いのですが….MPPTチャージャー製作にも興味はありましたが、パネルの動作確認もしなければならないので、安めのPWM型をチョイス。

ソーラーパネル設置場所は、マンションの東向きベランダ。100%太陽が当たる時間帯はわずかですので心配でした。

マイコン無しでカー用電圧測定可能USBチャージャーをつないで、2週間くらい観察していました。割と雨の日もあった6月初旬から現在まで、小容量のシールドバッテリーを満充電に保つには十分なキャパがあることがわかりました。それを見越して若干オーバースペックなパネルを買ったのが良かったようです。

暫定で、raspberry pi2をぶら下げたところ、意外にもサクッと起動して、無線LANもバッファローの安い奴なのですが、ベランダから室内も余裕で届き、呆気なく完全なノンワイヤーのホームサーバーがベランダに設置できてしまいました(^ω^)

センサー類とソフト何とかすれば、いわゆるIoT百葉箱 も簡単にできそうです。 

 

オープン・サービス・イノベーション

《書評》★★★★☆

自分的には、製造業の中のソフト屋という、出世街道から外れた曖昧な立場で会社を見た時感じていた強い不安、つまり「あれ?この会社大丈夫なのか?」「自分はシコシコ特許を書きつつも、世間で言うところのイノベーションから遠ざかりつつあるのでは?」という疑問に、一定の筋道を付けてくれた良書です。

すごくおおざっぱに言えば、製品企画を考えて、差別化技術を下請に考えさせて、製品にして出すということは、完全に閉じたサイクルじゃないですか。どの技術を導入し、あるいは捨てて、「一塊の固体」を作って売るというモデルは、いくらリードタイムを短縮して在庫を圧縮しても、過当競争を助長するだけであって、革新にはつながらないと。

単純に言うと、モノは真似される…という歴然とした事実の確認。亀山に巨大工場建てて、大規模投資して、部品の搬入口までステルスにして、機材は内部組み立てして、外部から流入する機材を監視しても製造工程はバレない、みたいな努力をしていたシャープでさえ、今や青色吐息なわけで。エルピーダなんてこの世から消えたじゃないですか。

だから、モノよりコトが大事ということらしい。B2Cの分野だと当然顧客体験という軸は外せないわけで。本書にも事例が多数あがっているAmazonも、最初から今みたいな巨大クラウドプラットホームになりたくてなったわけではないと思う訳です。でもインターネットの本屋として以下のような経過を辿るわけです。

  1. 顧客にホームページ表示するのが0.1秒遅れると売上が1%くらい下がっちゃうなー
  2. うんうんページ表示されないって多分すごいストレスなんだろうなー
  3. そうだなー顧客のためにサーバ増強しよう
  4. でもピークに合わせて設備用意すると大半の時間余っちゃうよなー
  5. あ?時間課金で他社に貸せばいいんじゃね?(*)

この(*)部分が外部にオープンなプラットホームの証左なのです。このループを加速度的に繰り返してAmazonは世界最大の本屋になった。サービスはドンドン良くなるわ、コストは下がるわ、本を買いたいお客さんももちろん喜ぶわ、悪い事などないように思えます。

でもね、この(*)の発想は、個人として頭では理解してても、20年くらい日本企業に勤めていると、ああ絶対無理だよなー日本の社会でこれを実現するのって、と思ってしまう。Amazonを作ろうとするとe-honになっちゃうのが日本型企業の限界ですよ。もうだめかもしれないね。

 

ソーシャルイノベーション

《書評》★★★★☆

社会企業家、ソーシャルイノベーションに関連のある人たちが寄稿して1冊の本にしたもの。社会企業家とは、社会を良くする、人を良くする革新をあまねく広める、くらいの意味かなと思いました。いくら慈善事業をしても「施し」では人は救えない、じゃあ「自分」はどうするか?というのが、ここに載ってる類まれなる才能と努力に恵まれた人たちの記録。

でも、そんな人たちでもいくつもの挫折、モノにならない不安、認められない苛立ちを乗り越えてきているのがわかる。たとえば、がん患者さん〜抗がん剤治療と脱毛が避けられない人たち〜を見て、なんとかしたいと思った三田果菜氏はがん患者向けの美容ケアを専門とする美容室とプログラムを立ち上げる。発端は本当に子どものころ感じた、共感力ともいうべき、人を思いやる気持ちからきているのね。

でも最初説明しても誰も理解してくれない・・・そんなことをあなたがしてどうするの?みたいなことを平気で言ってしまう周囲。でも、仕方がない。人が人であるための力をたいていの人は捨てて大人になる。「そいつの自業自得だ」「自分とは関係ない」「俺も大変だし忙しいんだ」「チョンは全員死ね」みたいな。そうして想像力なく不感になることでしか自分を保てないのが下賤な大人というものであるのだから。

特にU20の若い人には必読の書であると思うし、あなたが人の親であるなら即アマゾンで買って子供にぶつけるが良いよ。本書でたびたび触れられている社会企業家の父ビル・ドレイトン氏は、人の痛みを感じることが大事で、そうした感性を育てるには大学生では遅すぎるそうだから。俺らは手遅れだなw

病んだ部下とのつきあい方

《書評》★★★☆☆

筆者の西多昌規氏は病院の勤務医。学術書めいた話というより、実際の病んでいる人たちを診た結果、くだいた対処方法をしたためた、という本。
前半は部下の病み方のタイプ分析。14タイプについて解説しているが しかし・・・そのうちコミュ障、自己中、あがりやすい、特定職場人間NG、孤立無援、被害妄想、パニックの7タイプに当てはまる俺は死んだほうがいいw
後半は部下を病ませない10のヒント、と称して具体的な対処方法について
書いてある。そのうち4条にある「結果ではなく、努力を誉めて間違いを学ぶ」が心に残った。ミシガン州立大学の実験で、「あっしまった!失敗した!」というときに、エラー陽性電位という脳波を測定したところ、能力の向上があるグループは、前記の信号が強くでる人たちなんだそうな。
いわゆる失敗から学ぶ学習能力の素、のようなものだ。
人間の成長には、プライドを傷付けられる不愉快な経験がどうしても必要であると。逆に、素の頭の良さや、たまったまうまくいった業績をほめるのは自己成長を促すことにはならないと。頑固で誤りを認めない人間に育ててしまうと。
余談だが、最近見てるアニメの一つに、暗殺教室というジャンプ原作のアニメがあるんだが、ちょーど今の放映が、素のエリートであるカルマ君がテストで負けて成長する・・・という内容で、スッと理解できる話であった。
別に上司ではなく自分が病まないためにも良い本だと思うので★3で。

全体最適の問題解決入門

《書評》★★☆☆☆

エリヤフ・ゴールドラット博士の制約理論(TOC)の思考的プロセス(TP)を思い切り噛み砕いた本。

TPは、会社全体が共通の目標&改善意識を持てるようにする、という手順書のようなものです。都合の悪いことを、他人や他部署のせいにせず、お互いがアサーティブな状態で、問題を共有し、両立できうる解決方法を見つける(見つけられたらいいな)プロセス。さらに具体的に言えば「(不都合なことも含めて)起きうる未来を共有し、全員で未来を変える」ということです。

考え方は大いに参考になるけれど、文中で触れられているケーススタディは具体性に乏しく、この本で挙げられている内容だけで会社を変えることはできないんじゃないかなーと思います。自分はかれこれ20年くらい電気メーカーに在籍し、数々の品質改善(QC)プロジェクトにも参加していましたが、この本に書かれていることは、正に「言うは易し」という内容です。ウチの会社が過去、この手のゴミみたいな外部コンサルに騙されて何億円も払っていますが、そのだまくらかす方の人間、経営コンサルには必読書なんじゃないでしょうか。

2ちゃんねるで一時期流行ってた、ライオンが鼻ほじりながら「それ、サバンナでも同じこと言えんの?」といういうAAを思い出す。またはシリア情勢を見ながら、お互いに抱えた問題は切実で互いに歩みよれないものばかりなんだろうけど、しかし数千年の遺跡が壊されたり民族が虐殺される理由としてはあまりにもくだらねーんじゃねーかなー、って、という本誌の内容とは別のことを考えていました。読みながら。