《書評》★★☆☆☆
エリヤフ・ゴールドラット博士の制約理論(TOC)の思考的プロセス(TP)を思い切り噛み砕いた本。
TPは、会社全体が共通の目標&改善意識を持てるようにする、という手順書のようなものです。都合の悪いことを、他人や他部署のせいにせず、お互いがアサーティブな状態で、問題を共有し、両立できうる解決方法を見つける(見つけられたらいいな)プロセス。さらに具体的に言えば「(不都合なことも含めて)起きうる未来を共有し、全員で未来を変える」ということです。
考え方は大いに参考になるけれど、文中で触れられているケーススタディは具体性に乏しく、この本で挙げられている内容だけで会社を変えることはできないんじゃないかなーと思います。自分はかれこれ20年くらい電気メーカーに在籍し、数々の品質改善(QC)プロジェクトにも参加していましたが、この本に書かれていることは、正に「言うは易し」という内容です。ウチの会社が過去、この手のゴミみたいな外部コンサルに騙されて何億円も払っていますが、そのだまくらかす方の人間、経営コンサルには必読書なんじゃないでしょうか。
2ちゃんねるで一時期流行ってた、ライオンが鼻ほじりながら「それ、サバンナでも同じこと言えんの?」といういうAAを思い出す。またはシリア情勢を見ながら、お互いに抱えた問題は切実で互いに歩みよれないものばかりなんだろうけど、しかし数千年の遺跡が壊されたり民族が虐殺される理由としてはあまりにもくだらねーんじゃねーかなー、って、という本誌の内容とは別のことを考えていました。読みながら。