夏休み最後の日曜、しかも、今日勝てばプレイオフ進出決定が決まるという大事な一戦、全てはこの男に託された。
一塁側指定席は前日のうちに完売、なればとナイターでありながら昼前に家を出て1時過ぎにマリンスタジアム到着、既に入口前には長蛇の列が!
待つこと3時間で開場、すると一塁・ライト側の内外野自由席はあっという間にファンで埋め尽くされる。
360度、ほぼ白一色に染まったスタンド、いつもとは少し違う雰囲気が球場全体を包んでいる。そしてスターティングメンバーの発表。マリーンズファンの拍手が一段と大きくなる。
「マリーンズの先発ピッチャー、黒木知宏選手!」
巻き起こるジョニーコール!オフに手術をし復活に燃えた今期、だが一軍の分厚い先発投手陣には割って入ることができずファームでのピッチングが続いていた。
が、ファンは知っていた、ジョニーのここまで苦しみと復活への執念を。そして、ファンはこの日が来るのを待っていた!
プレーボールが近づく、ゲーム前のイベントを終え、ナインがそれぞれのポジションに散って行く、そして最後に、ジョニーは先発のマウンドへ向かって歩き始めた。
割れんばかりの歓声とジョニーコール!思わず、自分の目頭が熱くなってきているのが感じられる。
ジョニーは一塁線を跨ぐ時、一度立ち止まってグラウンドに向かって一礼をした。きっと僕等では計り知れない思いがあったはずだ。
アンパイアの手が挙がる、プレーボール!ジョニーの一球目、ストライク!1球ごとに拍手が巻き起こる。
しかし、緊張もあったか、まだ調子が出ない、ストレートも130km/hそこそこだ。1アウト2,3塁のピンチを招いてしまう。が、あわやセンターに抜けようかという当たりを堀がキャッチ!たちまちゲッツーに討ち取る。
するとその裏、相手のミスで得たチャンスに3番福浦がライトオーバーのタイムリー!欲しかった先制点をもぎ取ってくれる。
2回も2塁にランナーを背負うが今度は今江がスライディングキャッチ!3回にもサブローのナイスキャッチが出る。ジョニーの気迫がナインに乗り移っているようだ。ジョニー自身もイニングが進むごとに調子が上がっていく。
すると4回にはサブローが幕張の夜空に吸い込まれていくような打球を打ち上げレフトへホームラン!待望の追加点が入る。
6回のピンチを切り抜けたときにはジョニーが雄叫びを上げる!これだ、この気迫だ!
結局、7回2死1,2塁、無失点で降板、またもジョニーコールに包まれる中ベンチに引き上げていく。最後、スタンドに向かって一礼していくのがジョニーらしいところだ。
さぁ、こうなったら後はもぎ取った点差を死守するのみ!2番手藤田も気迫のピッチングで後続をショートゴロに討ち取りピンチを脱出。そしてラッキーセブンの攻撃はまずはスンヨプ隊長がレフトへ連夜のアーチを叩き込むと、さらには里崎がこれまた豪快にレフトへホームラン!得意の連打とは行かないが確実に点差を広げていく。
後はマリーンズ自慢の投手リレーのフルコース、藤田から薮田へと繋いで、最後は幕張の防波堤、小林が危なっかしくもきっちり抑えてゲームセット!
ジョニー、今季初勝利!そして、マリーンズのプレーオフ進出なる!
「俺達の誇り」の歌声と歓喜の声の元、勝利を祝福するビッグフラッグがライトスタンドに掲げられる、そして、ヒーローインタビューは勿論、ジョニー黒木!
今宵千葉に集いしマリーンズファン、そして、CSやネット中継で観戦したマリーンズファン、誰もが思ったでしょうが、その一言をここに書かせてください。
「マリーンズファンやってて良かった!プロ野球ファンで良かった!」