げど、げど、げど、いざ進め~

 休日だというのに早ようから映画館の前に並ぶ私がいた…。
 今日は「ゲド戦記」の初日、ちなみに私の後ろではアニメファンらしい高校生ぐらいのグループが「ゲド戦記は難しいんだって」「トトロ見て同じようなのだと思ってきたらイカン」などとしゃべっておりましたが、果たして…。
 で、開館、入場券をキープして…一旦家へ帰る。

 午後から高校野球の県予選決勝を見る。横浜高校は守備が堅いな~、今年のマリーンズも見習ってもらいたいぐらいだ。

 時間になったのでゲーム途中でしたが出発。
 本日のメンバー、ともりん先生とエイザ氏と合流、毎度お馴染み新高島の109シネマへなだれ込む。

 ではここから後はネタバレなので、観た人だけ読んでいただければ。

 長年アニメファンをやっている人であれば、宮崎駿監督が昔からゲド戦記を映画化したいと思っていたこと、そして原作者からは断られていたというエピソードはご存知だったはず。そして昨年、ジブリの最新作がゲド戦記と発表されたとき、「遂に作られるのか!」と思ったものです。が、

 監督:宮崎吾郎

 何者??!

 まさかアニメの監督が世襲であるとは知らなかった。

 そんな訳で、「作品が破綻したりしていないだろうか」と不安な気持ちがありましたが、まずは真っ白な状態で観てみようと。
 そして2時間後…。

 話は冒頭でまず竜がおかしくなっている、そして主人公アレンが親を刺すというシーンから始まっていきます。となれば観ている方は竜の種族とアレンがどう関わっていくのか、その途中で親殺しの理由が明らかになる、という展開を自然と期待というか想像しますが、そうはいかない。
 で、アレンは旅に出てゲドと出会う訳ですが、お前本当に旅に出る気だったのかよという軽装。小道具にこだわってきたジブリにしてはどうかと。
 次にアレンがテルーと初めて出会う、テルーが人さらいに追われているところ(というかこんな街中に人さらいがいていいのか?)、人さらいを追い払った後のテナの登場がそれまでの場面と比べてあまりにノンビリしてこの落差は何、と引っかかってしまう。
 で、テルーはアレンを「命を大切にしない奴は嫌いだ」と嫌うわけですが、それが何故かテルーの唄ひとつで(しかもアレンガ聴いていただけで)仲良くなってしまう。どういう事だ?
 中盤あたりでアレンが精神的に非常に不安定であることがわかっていきますが、何故そうなったのか、自分の影に何故おびえるのか(影いい奴じゃん)は作品中では不明。そして敵役、登場時は単なる人さらいの親玉だったのが不老不死を欲する魔法使いだった、のはいいのだけれど最後は取ってつけたような「こいつを倒せばハッピーエンド」な役にさせてしまう展開はどうかと。
 クライマックス、自らの危険を顧みずアレンを助けに行くテルー、ジブリお得意のパターンですが、ついさっき(マァ数日前ですか)会ったばかりの奴のために何故そこまでできるのか(これがラピュタとかならそれまでの過程がじっくり描かれていて納得できているのですが)。最後にテルーが竜に変身するシーンも、「確かこの子は親に捨てられたんじゃなかったっけ?」つか竜になれるなら杭に結び付けられたとき変身して紐引きちぎれよ、と。
 結局、全体として展開ごとに何故そうなるのかうまく理解できない、納得できないのが連続してしまっている、それが映画に入り込めなくしているんではないかなと。

 ストーリに絡めるテーマの方ですが、中盤から最後になって(観ている方には)いきなり「限りある命を大事に生きていこう」ってテーマが浮上してくる。
 が、そんなのはアニメでは20年以上前に銀河鉄道999が見事に描ききっているのである。ゲドの命を受け継いでいくという(だったかな)という台詞もハーロックがさよなら999で決めてくれていたし。
 「生きていたくない」という気持ちと不死を願う気持ちが等価である概念は(私的には)新しかったのでそこは感心しましたが。

 何も観ている方の要求どおりの展開にする必要はない、が、展開を裏切るなら、観ている方が普通に期待する「おかしくなった世界を正す」「竜と人間の壮大なファンタジー」といった内容の斜め上をいくようなストーリーでなくては。今回は斜め下へ行ってしまった。

 絵の方の話をしましょうか。背景は相変わらずレベル高し。しかし、キャラの表情が…。アレンの怒ったときの表情なんか正直言って下手。キャラに絵で演技させていない感がした。
 ついでに声優さんの話を。イヤ、悪くはなかったですよ、今回は。でも本職を起用しない必要性もないだろうが。

 といった所なんですが…。
 ここで今回最大の話題(?!)吾郎監督について。
 今回の起用、どうだったんでしょうねぇ。ジブリの監督になってしまったのって、野球で言えば素人がいきなりヤンキースの監督やるようなもんじゃないかと。そして監督の日記を読む限り、作業やりながら監督業(というかアニメそのものについて)勉強していたような感じだし。
 ただその割には演出とかは意外と破綻してなかったんだよなぁ。コンテとかは別の人がやっていたんかな(ともりん先生は親父だろうと言っていたが)
 そうするとジブリって実は監督誰がやってもいいの?イヤ、そんなはずは…。

 と、いう訳で、いろいろ言いたい事もあるので、終わってからぱ先生と合流して飲みに行く。
 とにかく語る。語る。
 さらにともりん先生とは延長戦まで行ってしまう。それだけ語らせるあたりはやっぱりジブリの力なのかなぁ。