しかし、この特撮展、最大の見所はやはり新作映像、「巨神兵東京に現る」である。
わずか9分ほどの作品であるが、…圧倒された。
ストーリーは火の七日間、その第1日目の東京を描いたものである。作品の目的の一番は現代日本の特撮技術を実際に見せる、ということになるのだろうが、林原めぐみ嬢の淡々とした語りで進む映像は日常世界に突然現れた巨神兵という非日常、その姿を携帯で撮影するという行為で昨日までの日常が永遠に続くと信じ込む人々を描き切り、さらに街を破壊する巨神兵の姿のその先にはナウシカの世界という新たなる日常へと繋がる様を見せつけた。
現在特殊映像はCGが全盛である。しかし今回の映像がここまで迫力と説得力を持ちえたのは単なるデータではなく、ミニチュアといえども質量と物理法則が適用される物質そのものであるからではないかと思えるのだ。
勿論技術面も十分注目してもらいたい。作品上映の後にメイキング紹介のビデオがあるのだが、今見たものすべてが実際に撮影された映像でのみ構成されており、その裏側で映像を表現する為に使われている技術は驚きと感心という他はない。
「巨神兵東京に現る」、単なる特撮技術のプロモーション映像ではなく、特撮の次世代の可能性を感じさせるに十分な作品であった。
なお、今回の作品、スタジオジブリ作品である(笑)