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エイザの奇妙な冒険


2006-01-05 戦場で・・・

_ 「総員、戦闘配置につけ!」

今日は1月の第2営業日。実質的には今日が「本当の」仕事始め。

社員を体育館に集めて工場長の年頭挨拶。

本社から社長を筆頭に役員がわらわらとやってきて、体育館にて年賀式。

その後で、各組織・部・課で朝礼してその日の午前中が終わる、というのが普通の工場の仕事始めというものだろう。

だが、総務は違う。まず前日までに年賀式もろもろの準備を完了しなければならない。

当日の朝にはぞくぞく来場する役員の対応も必要だ。

その上、放っておくとエライ人はふらふら場内をさまよってしまい収集がつかなくなる。

つまり朝から総務は戦闘体制である。

 「ロックより全員へ、そろそろ配置についてください」

胸ポケットからノイズ混じりのロックさんの声。

「チョー、了解しました。玄関にいます」

「『姐さん』です。お茶の準備済みました」

「『ヨシオ君』です、会場OK〜よ」

胸ポケットからトランシーバーを引っ張り出す間に次々と総務メンバーからの返答が入る。

そう。PHSでもケータイでもない。戦場にはトランシーバーである。

私も送話ボタンを押し込み続ける。

「エイザ、機材準備OK。これより会場に入ります、オーバー。」

「ロックより『牢名主』さんとヨッシーへ、配置は大丈夫ですか?」

トランシーバーから少し怒ったような野太い声。

「こちら、『牢名主』。さっきから配置についてるって言ってるじゃねーか!」

通信が被っているらしい。

続けて少し困ったような声。

「えっとー、マリですけどー、ヨッシーがぁ、来ないんでー、あ来ましたっ来ましたっ大丈夫ですっ」

 しばらくしてノイズが走る。すぐにクリアーになりメンバーそれぞれの声が入る。

「正門、社長さんのクルマ、来たそうです」

「了解、『姐さん』、お茶よろしく」

「『ヨシオ君』だけど、まだ会場に人来ないけど・・・」

「マリですっ今階段の下にっ並んでもらってますっもうすぐっ先頭が2階につきますっもうつきますっ」

「うん、いま入ってきた」

 絶え間なく喚き続けるトランシーバーを握った左手を左耳にあてたまま、私は大きく深呼吸。腹式呼吸して貯めた空気を大声に換えて呼びかける。

「おはようございます!正面の看板にしたがって御整列ください!なるべく前に詰めてください!」

次から次へと入場してくる人波を切り分けるように右手を振る。正面に向かって人を掻き分ける。

「はい、A研究所の皆さん、4列になってもっと前に詰めてください!B研究所の皆さん、右に2歩ずれてください!」

寒い体育館に持ち込まれたジェットヒーターの騒音に負けないような大声で列を整える。

 いつしか体育館は人でいっぱいになっていた。

ここで、ロックさんからの最後の連絡が入る。

「全員に連絡。もうすぐ年賀式が始まります。トランシーバーのスイッチを切ってください」

「エイザ、了解。無線封鎖します、オーバー。」

トランシーバーをOFFにして、顔を上げると工場長と目が合った。

工場長が苦笑いしながら私に話しかけた。

「・・・無線封鎖って、戦争じゃないんだから」

私は済ました顔で答えた。

「似たようなものですよ」

そういって今度はズボンのポケットからデジカメを2台取り出し、確保しておいた撮影ポイント—演台正面—に向かうのであった。

無論、2台目のデジカメは不都合発生時の予備機であるのは言うまでもない。 

 年賀式が始まり、社長が演台に立つ。デジカメでバストショット2枚ずつ。足音を殺し、腰をかがめて移動。そのまま列の後ろに回り、体育館のキャットウォークを登って全景を撮影。すぐにキャットウォークを降りて舞台上全景の撮影。この間ずっとすり足。キャットウォークのきしみ音にも最新の注意を払う。まるで狙撃手のように。

 かくして、今年も無事年賀式は終了した。そして毎年ここで気がつくのだ。社長の年頭挨拶をまったく聞いていないことに。今年は何の話をしていたんだろう?

蛇足

 年賀式後も総務メンバーは忙しい。

 事務所に戻ってもトランシーバーから次々と指示・連絡・相談が飛び交う。

「ロックよりエイザへ。うちのマークⅡ裏口に回して」

「・・・K池です・・・ロックさん・・・いますか・・・」

「ロックです、K池、自衛消防隊出発式、すぐ行くから」

「ロックさん、マリですー。タヌキ課長さんがー、タクシー1台ぃ、玄関に回すからー、ヨロシクってー」

「ロックです、玄関は消防隊出発式の準備中です・・・って、ヨロシクってどうしろっての・・・『牢名主』さん、聞こえる?」

「おう、なんだ」

「消防車、そこでしばらく待ってもらって。K池、出発式の準備、他の事から進めといて!」

「おう」「・・・はい・・・」

「ロックです、エイザ、マークⅡ運転して、Y専務を隣の○○社に御案内して」

「エイザ、了解。オーバー」

「チョーです。N副社長、行方不明なんですが・・・どなたか御存知ありませんか?」

「『姐さん』です。NさんならC研究所ではないでしょうか?」

「ムジナ部長さんとタヌキ課長さんがお茶のおかわりもって来いって・・・」

「・・・『姐さん』です、すぐ準備しますって言っておいて」

「ムジナさんとタヌキさんは?」

「役員に営業中です。売っているのは・・・」

「言わんでいい・・・」

 ・・・かくして総務の戦闘状態はしばらく続くのである。

蛇足その2

 念のため。

 実際はそれぞれ「本名」で会話しております。一部を除いて、こんなあだ名、またはコードネームにて呼び合っているわけではありません。

蛇足その3

 今回、未登場のO女史。実はO女史には大きな転機が・・・。ってことでそれは次回のお話に。

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_ 通りすがりのあいあん [私も総務畑の人間なもので、情景はよぉ〜く分かります(笑) ・・・どこの職場も似たようなもんですな。お疲れ様でした。]


2008-01-05 四万温泉旅行 2日目

_ 温泉宿の朝御飯

 温泉宿の楽しみのひとつは朝御飯。干物を中心に納豆、温泉玉子、味付け海苔と白い御飯を引き立てるためのおかず。まさに日本食の精髄(大げさ)。 旅館の朝御飯

_ 四万温泉を歩く

 朝食後、宿を出て温泉地周辺を散策します。山間の道はうっすらと雪をかぶり、ところどころ凍結しています。 雪道の向こうに四万ダム  秋田・新潟と雪国ドサ廻りを経験している私にはたいしたことありませんが、自称「南国っ子」のシラガさんはずいぶんおっかなびっくり。さすがに近くのダムの上まで行くのはあきらめました。

_ シラガさんのお気に入り

 ダムから引き返すとシラガさんの大好きなJAの直売店が。 JA沢田  見ての通り古くてやる気のなさそうなお店ですが、シラガさんは大喜び。凍み豆腐だの生姜糖だのを買い込みます。今後のおかずとして大活躍してくれそうな雰囲気です。

_ 温泉場には・・・

近くの重文 薬師堂前には源泉「御夢想の湯」。入浴はできませんでしたが、ゆっくり足湯に浸かってみたり・・・。

クマ三郎氏の真似をして写真を撮ったりしてみましたが、諸般の事情で非公開に・・・。

_ で、お昼はおそば。

 お昼になり、おなかも空いたので温泉街の蕎麦屋にて昼食。  私はキノコそばを頼みます。キノコの入った温かい汁にそばをつけて食べる「つけ麺」式。これがおいしい。  是非、家でも実験してみたいと思います。 きのこそば  シラガさんはお勧めセット。人気メニュー3品を楽しめるヨクバリ・・・じゃなかったお得なセット。
そばセット  でもなぜか、リンゴの天麩羅が・・・。シラガさんは本気でびっくりしていました。日本の食文化は広大だわ・・・。

_ 楽しい時間は過ぎていって・・・

そうこうしているうちに帰りのバスの時間。他に買い込んだ御土産を抱え、バスに乗り込むのでした。

_ おまけ

東京に戻ってきたらもう夕方。蒲田の餃子の名店「歓迎」で夕食。ここの餃子もかなりイケてます。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

_ けんけん [キットオンセンニフクマレテイタげったー線デ、ヘンカシテシマッタンダヨ >諸般の事情で非公開に・・・]

_ エイザ [ゲッター線くらいで、日本人は変化しないような気がする…っていうか、もう変化済み?]


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