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2007-06-09 『劉健一を殺さねばならない』
長恨歌 不夜城完結編
馳星周/著 角川書店より税込価格¥1680−
不夜城Ⅰが発売されたのは1996年8月というから、およそ8年かけて完結したこのシリーズ。この『長恨歌』がなかなか文庫化されず、ついに我慢出来ずに買ってしまった…(^^;)
不夜城Ⅰで自分が生き残る為に恋人である小蓮を殺し、育ての親ともいうべき楊偉民に復讐を誓った劉健一。
鎮魂歌 不夜城Ⅱにおいては、北京派閥の大物幹部事件の混乱に乗じ、楊偉民の権力を失墜させることに成功する(この時、弟分の周天文も巻き込まれて死亡)。
この長恨歌では、まず劉健一が放った刺客によって、楊偉民が殺される。いきなり劉健一の目的が果たされるコトになる。読者にとっては「復権を目指す楊偉民と劉健一との対決」という筋書ではないことを思い知らされるのだ。そして歌舞伎町裏社会を牛耳ったかに思えた劉健一も、大量流入した新たな移民よって乱された秩序のなか、その力を失い情報屋に成り下がっていた。そんな中、やはり麻薬密売組織のボス(韓豪)が日本人暴力団「東明会」との取引中、殺害される。双方の依頼で襲撃犯を捜すハメになった男、武基裕。彼には劉健一と同じ過去があった。それは「恋人を自らの手で殺した」という過去…。そして襲撃犯を捜す武基裕は運命の糸に手繰り寄せられるかのように、因果律の渦に巻き込まれるかのように劉健一と出逢う…。
そして衝撃のラストでは「恋人を自らの手で殺した」モノだけが持つ感覚と、同じ感覚を持つモノが歩む違う生き方が浮き彫りになる。そして全ての感情が麻痺しているかとも思えた劉健一の「自責の念」を垣間見ることになる…。
店主は、二つのエンディングを想像していた。それは
①劉健一だけが生き残り、変わりゆく歌舞伎町裏社会で今までと同じ行き方をしてゆく
②劉健一が死ぬ。
このどちらか以外がありえないと思っていた。
だがこの場では結論を書く訳にはいかないので、 皆様には不夜城Ⅰ〜Ⅲを読んで、ハードボイルドの世界にドップリとハマって欲しいと思います。
最後にストーリー説明が大雑把になってしまったコトをお許し下さい。まだ読んでいない方に対しての配慮であって、適当に書いた訳ではありません。あしからず…
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