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ぱぱネット(仮)


2013-06-15 写真を一生保存する方法 [長年日記]

_ [Linux][開発] 東日本大震災以来

あの地震と津波で、自宅でバックアップってことが 意味がないこともある。 という事実を、多分日本中の人が思い知ったと思うんだよね。つまり地政学的リスクというやつ。もうそろそろ風化しているのが悲しいが。

ローカルバックアップさえ行わなくてデータを飛ばし続けている俺が、いまさら地政学的リスクなどと言うと、一生ならぬ一笑にふされるであろうが.....最近自分より大事な人ができたので少し真面目に考えてみよう、というのが本稿の主旨である。なお、ここでの「一生」とは「あと高々30年」という前提にたつ。

_ [Linux][開発] Amazon Glacierを使おう

先に結論を書くと、2013年時点では、 Amazon S3とGlacierの自動連携を使うのが最適 という結論に達した。以下に理由を長々と述べる。

HDDはどうか?

この話では 自宅には1次変更先としてのHDDを残しておく のは前提としてある。それをRAID NASで残しておくのも一考に値する。

BUFFALO テラステーション ネットワーク対応HDD(NAS) 2TB TS-WX2.0TL/R1

しかしバックアップメディアとしては....20MBのSASIインタフェースHDDから20年以上HDDを使い続けているが、HDDはとにかく壊れる。 さらに「重くて持ち運びにくい」ので、震災はおろか単なる引っ越しでも壊れる可能性がある。

SDカードはどうか?

最近、俺の親も含めてメモリカードは壊れないものだと考えている人が多いようだが.....SDカードやパソコンのSSDで使われている フラッシュメモリは早ければ5年めくらいから揮発し始める。 ただ、最初からフラッシュメモリのチップには、ECCなどのエラー訂正回路が入っているので、多少抜けても訂正限界までは大丈夫というだけの話。たちの悪いことに、フラッシュメモリの微細化や多値化(SLC, MLC, TLC)にあわせてドンドン悪化する。だから今でもわざわざSLCチップ採用のSSDが売られているくらいだ。

超寿命SSD

誰もその日を迎えていないが30年は保たない構造だろう(もちろん途中で全コピーし直すと寿命は伸びる)。

光学メディアはどうか

どう考えても光学メディアは論外 だろう。だいたいDVD-R, BD-Rあたりは有機色素を採用しているので、日光を1日当てただけで半分は 分解 してしまうようなしろもの。BD-REやMOドライブなどの相変化メディアは100年くらい保つと言われているが「30年後、光学ドライブ手に入るのか?」で全て論破。なんせロジテックが2013年に「最後の出荷MOドライブ59800円」 をやったくらいである。今でもMOドライブを使い続けている人がいるのは、ひとえに「コピーが面倒くさい」に尽きると思うんだよね。一瞬で吸い出して業務システムごと移行できるなら誰でもやると思うんだ。

じゃあクラウドだ!

まあ、ネットにコピーしておけば、自宅が全壊しても大丈夫。逆に単体メディアにないデメリットは 「容量」「価格」「サービス継続性」 だ。ここではどうしても失いたくない個人データを400GB前後と定める。欲張るとキリがないわけだが、ぱぱネット(仮)でいうと、あいあんさん当たりはデジカメのデータだけで200GBはあるはず。

容量だけで料金を比較してみるとこうなる。

       Google DriveDropBoxSkyDrivePogoplug family PRO
年間料金(1ドル95円) 57000円(1TB) 47405円(500GB) 19000円(100GBx4) 9980円(1TB*)

いやー...改めて表にするとDropbox高いね。その分、高性能の差分クライアント、ファイルの履歴管理で捨てたファイルでも戻せるとか、いろいろ特徴はあるのだが、バックアップ先としては中々キツい金額だ。30年間に料金は下がって行くだろうけど。

この中ではPogoplugが一番良さそうに見える。しかし、Pogoplugはサービスの改変を何度も繰り返して非常に分かりにくいサービスになっている(日本語のページも出来がよくない)のでまとめると....

Pogoplug USB3.0対応
  • 純然たるクラウドストレージではない
  • ユーザはPogoplugというデバイスを購入、外付けUSBHDDをつなぐ
  • Pogoplug Family Proというクラウド契約をつけると、オフサイトバックアップストレージという機能が使える
  • 家のHDDにコピーしておくと、しばらくしてAmazon Glacierというクラウドにバックアップされる

おお!これは良さそうじゃないか!........と思いますよね。基本は自宅にデータがある、というモデルにも沿っているし、何よりクラウドの維持費が安い。しかし....30年と言わず

Pogoplug社って10年後残ってんの??

という激しい疑問がある。このサービスを、Linuxデバイスの派生品としてPogoplug Classicの頃から眺めていた俺の正直な感想。10年後、津波に流された後で、同じデバイスが手に入り、間違いなくデータを復旧できる、という確信が持てない。

いっそ それならAmazon Glacierを直接使えばいいんじゃね? という結論にたどり着く。

_ [Linux][開発] Amazon Glacierを使う

Amazon GlacierというのはAmazon が提供しているバックアップ用のサービス。 グレイシャー(Glacier)とは氷河のこと。そこに貯蔵庫(Vault)を作ってデータを貯める。アーカイブの平均年間耐久性が 99.999999999% となるように設計され、北米、北欧、日本のリージョンに多重バックアップされる。料金は計算が難しいが 400GBを貯めるだけなら年間4650円($48) である。

99.99.......%ってあんた、間違いなく俺が手違いで消す確率の方が高いわ!

Glacier

ただ、デメリットもあって....

  • 取り出し時、データが用意されるまで数時間〜数日かかる
  • 取り出しにお金がかかる(特急料金)
  • バックアップ時にファイル名などのメタデータが失われ、16進数の羅列のチケット(ID)が帰ってくる

ということ。まあ最初の2つはいいけど、くせ者は最後だなあ。 実は、Pogoplugをはじめ、Glacierを簡単に使えるサービスが売られているのだが、どんな名前のファイルをいつバックアップしたか?というメタデータが(Pogoplug社に)牛耳られるってこと。だからサービスの継続性が問題になるわけ。

ここで、あえて利便性を捨て、面倒でもAmazonを直接使うというのは、サービス継続性ではAmazon単体を使うのが一番ベターな解だなあと思う。 Amazonは既に「本のオンラインストア」ではなく、東京証券取引所やNASDAQも使っている、Amazon Web Servicesという世界最大のネットサービスを運営する企業であるから。 そして、そのネットワービスを外部に解放し、自社は自社サービスとして積極的に活用(ドックフードを食う、と呼ばれる)しているのだから。

長くなったので使い方は明日以降。


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このサーバーをもう12年も維持しているかと思うとめまいがしますよ。
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